先の衆院選で惨敗を喫し、11月29日の所信表明演説で国民民主党が求める「103万円の壁」の引き上げを明言した石破首相。しかしその裏では勤続20年以上のサラリーマンをターゲットにした増税が画策されていることをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、石破政権が進める「退職金課税の見直し」に関するニュース記事を紹介。その上で、40代、50代といった「同じ会社に長く勤めている人」を狙い撃ちするこの増税が日本をさらに疲弊させる可能性を指摘しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【50代必読】★石破政権が【退職金増税】を画策
石破政権が【退職金増税】を画策
岸田さん、外交、安全保障分野は、かなりまともでした。国際社会で高い評価を受けていた。しかし、人気がなくなり辞任に追い込まれました。理由は、「裏金問題」だと思われています。そのとおりでしょう。
ですが、もう一つ、裏金以上の大問題がありました。それが、【 大増税問題 】です。岸田さんは、在任中3兆円分の増税を画策していました。具体的には、
- 防衛増税(所得増税、法人増税、たばこ増税):1兆円
- 異次元の少子化対策増税(医療保険料に上乗せ):1兆円
- 脱炭素増税(化石燃料賦課金と有償の排出量取引を導入:)1兆円
岸田さんが推進していた増税は、これだけではありません。まだまだまだまだ長い増税リストがあるので、必ずこちらをご一読ください。
● 長い増税リスト:時事ネタ第23号 こんなにあるぞ!ステルス増税(税理士法人プライムタックス)
私は、「このままいくと、日本国民は、政府に〇される」と思い、自民党総裁選では、「反増税派」の人を支持しました。具体的には、「消費税減税」を掲げる青山繁晴さん、「増税ゼロ宣言」をした茂木さん、「積極財政派」で反増税の高市さんです。残念ながら、「反増税派」は敗北し、【 大増税路線 】の石破さんが総理大臣になってしまいました。
石破さんは、岸田さんの「長い増税リスト」を粛々と実行するだけでなく、ご自身でも
- 法人税増税
- 金融所得税増税
を目指している。さらに、9人いた自民党総裁候補の中で、ただ一人、「さらなる消費税増税」の可能性を否定しなかった。まさに、【 大増税王 】と呼ぶにふさわしい人物なのです。
私は、「これは本当にまずい!」と思い、衆議院選挙では、「大増税路線の石破自民党と立憲民主党以外の政党に入れましょう」と呼びかけました。
立憲民主は、なぜダメなのでしょうか?
野田さんは2012年、総理大臣でした。彼は、民主党、自民党、公明党の「3党合意」を主導し、消費税の税率を5%から10%に倍増することを決めた人です。そう、野田さんも【 増税大王 】なので、私は「立憲民主党に入れるのはやめましょう」と書きました。
そして、「減税を掲げる政党に投票しましょう」と呼びかけました。「減税を掲げる政党」とは具体的に、国民民主党、日本維新の会、日本保守党、参政党、れいわ新選組、共産党です。
そして、私は「財務省の天敵・高橋洋一先生と仲良しの玉木さんが代表を務める国民民主に入れます」と書きました。結果、国民民主は、議席を4倍増やし、キャスティングボートを握る最大の勝者になりました。
石破自民党は、過半数割れの少数与党に転落し、「簡単には増税できない状態」になったのです。しかし、ひたすら増税を目指す石破自民党は、とまることを知りません。
皆さん、今「103万円の壁」の話が話題になっているのはご存知でしょう?国民民主は178万円までの引き上げを要求しています。
国民の目が「103万円の壁」にいっている間、狡猾な石破自民党は、【 退職金増税 】を画策しているのです。「日刊ゲンダイDIGITAL」11月18日。
● ふざけるな、石破政権もサラリーマン増税かよ!潰れたはずの「退職金課税」政府税調で再浮上
まったく懲りない連中だ。昨年「サラリーマン増税だ!」と強い批判が巻き起こり、実施を断念したのに、また自民党政権が「退職金増税」に動きはじめている。
石破自民党が、【 退職金増税 】に動き始めているそうです。
首相の諮問機関「政府税制調査会」が15日に開かれ、退職金課税を見直すかどうか議論をスタートさせた。
「退職金課税を見直すかどうか議論をスタートさせた」というのは、要するに「増税したい」という意味でしょう。
その場で財務省は、勤続20年を境に控除額が変わる現行の仕組みが、1989年から変わっていないと説明。有識者からも「転職する人が増えている現状に合わない」などと、見直しを求める声が続出したという。
どうも財務省のターゲットは、「勤続20年以上の人」みたいです。どういうことでしょうか?
退職金も所得税の課税対象になっているが、現行制度では「退職所得控除」によって税負担が軽減され、ほとんど税金がかからない仕組みになっている。
ポイントは、長く勤めるほど優遇されることだ。勤続20年までの退職金控除は1年につき40万円だが、20年を超えると控除額は1年につき70万円に引き上げられる。たとえば、38年勤務の人の場合、退職金が2,060万円までなら税金がかからない。岸田政権は、控除額を勤続20年以降も1年40万円に据え置こうとしていた。その場合、1,520万円以上は課税対象となってしまう。
どういうことでしょうか?
退職金控除は1年につき40万円。20年を越えると控除額は1年につき70万円に引き上げられる。
同じ会社に38年務めた人の場合、退職金控除は40万円×20年=800万円、70万円×18年=1,260万円=計2,060万円。退職金2,060万円までは税金がかからない。
しかし、改定されると、退職金控除は40万円×38年=1,520万円。退職金1,520万円から税金がかかる。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「隙あらば増税したい、というのが財務省なのでしょう。しかし、長い目で見たら日本経済にはマイナスだと思う。かつて、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた日本経済の強みは『年功序列』『終身雇用』という日本型経営にあった。いま、アメリカもそう評価しています。雇用が保証されていることで安心して家族を持ち、住宅ローンを組むこともできた。会社への帰属意識も高まり、生産性も高くなった。なのに、自民党政権は、頻繁な転職と、非正規労働者を前提にした税制にしようとしている。日本経済は再建できませんよ」
もう一度「退職金増税」を潰さないといけない。
確かに、今の若い人たちを見ると「転職は普通」になっているようです。しかし、50代の人たちは、「同じ会社に長く勤めている人」がたくさんいるのではないでしょうか?石破自民党は、そういう人たちをターゲットにしてくるのですね。
減税派の国民民主党。朝日新聞10月27日の世論調査では、20代の支持率が26%、30代が21%、40代が14%。50代が10%だそうです。つまり、年代が上になるほど、国民民主党の支持率が下がっていきます。
これを読まれている40代、50代の皆さん。退職金増税しようとしている石破自民党を支持するのは、やめたらどうでしょうか?もちろん、石破さんがやめて、反増税派の高市さんなどが総理になれば、自民党に戻ればいいと思いますが。
自民党は、バブル崩壊から34年、ひたすら増税に励んできました。その結果、国民負担率は増加しつづけ、一人当たりGDPは、世界2位から32位まで転落しました。同じやり方をつづければ、日本はひたすら沈みつづけていきます。
国民が声を上げないから、岸田石破自民党は増長して、「まだまだ増税してやる!」となるのです。
衆議院選挙で国民は意志を明らかにし、自民党を少数与党に転落させました。衝撃は大きかった。ところが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざの通り、また元に戻ってしまい、毎日毎日「増税の口実探し」に励んでいます。
財務省に操られる自民党のせいで、日本は【 暗黒の34年 】を過ごしてきました。
間違ったやり方をつづけて、「いつかよくなるかも」と期待するのは愚かです。根本的に変えない限り、日本は復活するどころか、ますます疲弊し、弱体化していくことでしょう。
今回の話、「その通りだ」と思われた方、是非石破総理にメールを書いてください。丁寧な言葉で、「これ以上増税はしないでください!」と。
簡単官邸メールはこちらから。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2024年11月26日号より一部抜粋)
image by: 首相官邸