外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんの支援先のラーメン業態中心の企業は、年商15億ではありながら「とある把握」を間違えていたとして戦略を見直すこととなりました。堀部さんは今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』の中で、売上把握の重要性について語り、さらなる利益を出すためのポイントについてこの支援先の例をあげながら紹介しています。
時間帯別売上把握の大切さ
年商15億円のラーメンを中心に食事業態を展開されるご支援先。
年間で見ると売上は前年比105%なので、まずまずかな?という判断をしていました。
売上105%=客数100%×単価105%
このような形だったので。しかし、この把握が間違えていた!と戦略を見直す事が今月のMTGでありました。
今日はその辺りを見ていこうと思います。
■値上げをしないと生き残れない
ラーメン業態の倒産は今年も多いですが、結論的に値上げをしないと生き残れない。これはまず大前提の条件。
とはいえ、価格に関してはシビアなのも事実。そのため、価格改定は行いますが、いかに集客の影響を小さくするか?がポイント。
こちらは1年に5%程度客単価が上がるように調整しています。
・下限商品はなるべく変えない
・フェアメニューから単価を上げていく
・ランチのお得メニューの圧縮
・サイドメニューの値上げは思い切って
・定番以外のラーメンの値上げ幅は大きく
・定番のラーメンの値上げ幅は小さく
基本的には上記が基本的な考え方として、半年に1回見直しを進めています。
■店別価格の導入
継続した値上げの大前提は「既存店客数が100%以上」が前提。
客数が下がり続けているのに単価で売上を維持しようとすると、どこかのタイミングで一気にお客様が離れます。
お客様の絶対数が減った中での業績アップは本当に大変!
そのため、既存店客数は前年対比で100%以上に。ここは絶対に抑えたいポイント。
その視点で見たときに上記のご支援先では、
・前年比110%以上の絶好調店
・前年比105%程度の平均店
・前年比95%まで落ち込む不振店
やはりこのような濃淡が出ました。
絶好調店はもっと振り切って値上げしたい。しかし不振店にそれを合わせられない。
喧々諤々議論をした結果、店別価格の導入です。これは本当にやるまでに様々な反対意見も出ました。
でも、取り敢えずやってみよう!と。結果1年その成果を見て言い切れるのはやって良かったということ。
かなり業績にプラスの影響が出ました。
■不調店で気づいた事
好調店は上記の通り積極的な値上げで好調。しかし不振店はなかなか上向かない。
それで細かく数字を見ていく事にしました。こちらのラーメン業態の営業時間は11時~23時までの通し営業です。
ちゃんと実態を把握しようとなり、時間別での売上を把握していく事にしました。
すると驚く程の違いが出ていたのです。
この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ
■昼別・夜別での数字の差
<昼について>
全店舗前年比でプラス!
100.7%~110%までランチに関してはしっかりと売上を伸ばされていました。
特に不振店でもランチに関しては、
売上105.3%=客数98.8%×単価106.6%
このような結果でした。
客数が若干マイナスなのでテコ入れはしますが、これだけ見ると許容できる範囲内の数字でした。
つまりランチに関しては競合比較した上でも十分優位性があり、値上げも受け入れられている。
それで考えると、より一層積極的に価格改定はしやすい状況が揃っていました。
<夜について>
なんと全体の4割が前年比でマイナス!
業績全体ではプラスでしたが、ランチで伸ばしてディナーで落とす。このような状況だった訳です。
不振店ではこのような数値に。
売上94.0%=客数89.7%×単価104.8%
これは黄色信号ですよね!
上述の単価で数字をちょっと維持している形なので、これでの追加値上げなんて絶対にNG!
満足度=価値/価格
これが釣り合っていない状況でした。そのため、これの原因把握と対策を素早く行う事が必須でした。
■夜が不調になりやすい訳1
店長の働き方改革における労働時間減がオペレーション不全に繋がっていた。これが課題でした。
各店舗の店長陣は全員がランチ中心で、ディナーは別社員さんにバトンタッチ。
このバトンタッチした後に、「任せっぱなし」で価値の管理が一切できていない状況でした。
売上構成比率として、
昼:60%
夜:40%
こうだったので昼に力点を置くのはわかります。しかし夜も40%もあるのでこちらももちろん重要です。
仕組みとしてのチェックリストなどはありますが、やはり一次情報の把握は大切。
短期的にオペレーション不全の改善を一気に推し進める事になりました。
■夜が不調になりやすい訳2
ラーメン屋ですがアルコールが安いので「中華飲み」の比率が高いのも特徴でした。
そしてこの層の離脱がーーー(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2024年12月9日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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