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トヨタ中国「異例」の人事。初の中国人“社長”はトヨタに変革をもたらすか?

中国トヨタの人事異動が「異例」だと話題になっています。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では今回、トヨタ中国で初めて中国人が総経理(事実上の社長職)になったとして、「それが意味するもの」について紹介しています。

トヨタ中国初めての中国人総経理、100年に一度の大変革期象徴

トヨタ中国およびその両合弁、一汽トヨタ、広汽トヨタの幹部の人事異動が2025年初頭、慌ただしくなっている。

レクサス中国の李暉執行副総経理がトヨタ中国総経理に就任した。トヨタ中国総経理に日本人ではなく、中国人が就任するのは初めてのこと。

また、広汽トヨタの藤原寛行総経理が、一汽トヨタ総経理に配置転換となった。これらの動きについて、中国現地ではどう見られているのか。

また、中国現地では触れられていない部分も含めてまとめる。

100年の一度の大変革期

当然、この2025年初頭の大規模な人事調整は、「トヨタの中国で直面している日増しに増大する市場の圧力を反映したもの」と中国現地でも評価されている。

「トヨタは今回の人事調整を経て、目の前の不利な局面を有効に転換して、より良い発展実現を願っている」とした。

前提として、この分析は正しいと思われる。100年に一度の大変革期、その最前線の中国で、トヨタでも生き残りをかけた必死さは伝わってくる。

両合弁の協調強化

藤原氏の広汽トヨタから一汽トヨタへの転籍について、今まではどちらかというと独立志向が強かった両合弁を、今後の市場環境に合わせて協調させようとする意図がある、とする。

中国現地での管理能力を向上させ、両合弁の利益の最大化を図り、1+1>2を実現させたい、という。

例えば、一汽トヨタのカローラ、広汽トヨタのレビンと、両合弁は現在までに姉妹車戦略を展開しているが、カローラ/レビンはともかく、あまりうまくいっていない姉妹車(例えばアリオン/レビンGT)の解消を含む、戦略見直しが行われる可能性が指摘されている。

今後両合弁が販売台数を急増させるというのはなかなか想定しづらいが、少なくとも利益確保、できれば増益し続けられる体制整備が求められている。

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中国スピードへの対応

トヨタ中国の李新総経理は、2000年に広汽集団に加入、2009年には広汽トヨタ販売部副部長となり、2013年から広汽トヨタ執行副総経理となった。

2019年、レクサス中国執行副総経理になっている。

これこそまさに中国現地化の象徴であり、極めてスピード感の速い中国自動車市場についていくためには日本人にこだわっているわけにはいかない、という危機感の表れ。

レクサス中国で長年幹部を担っていた点も、トヨタとしては安心材料の一つなのかもしれない。

中国独特のNEV環境対応

他の日系や外資ほどではないにせよ、トヨタは中国でやはり販売を落とし苦戦中。

前々から言われている、中国の、特に動きが激しすぎる新エネルギー車(NEV)環境になじめないのが原因、とも指摘される。

その環境を熟知した業界ベテラン中国人トップによる即断即決、その人的ネットワークの有効活用が求められているのだろう。

レクサス上海工場整備

もう一つ、トヨタ中国が2025年に中国人トップを据えたのは、今後トヨタ中国の最重要プロジェクトの一つが間違いなくレクサスの上海工場整備だと思われる点。

だからこそレクサス中国幹部からの大抜擢でもあると言える。

早ければ2027年にも稼働を開始する同工場はBEV専業になる見込みで、以上のすべての要素が集約されている。

トヨタの中国事業の再建を託された、初の中国人総経理、李氏の手腕は中国現地でも注目され続けそうだ。

出典: https://auto.gasgoo.com/news/202501/24I70417233C501.shtml

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image by:  humphery / Shutterstock.com

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