何か新しいことに挑戦する時など、頭の中で理想を描いていても実際にアクションを起こすのは簡単なことではありません。ベストセラー『数学ガール』シリーズの作者である結城浩さんのもとに「どうすればすぐにアクションが起こせるようになるのでしょうか」という質問が届きました。結城さんが自身のメルマガ『結城浩の「コミュニケーションの心がけ」』の中で、考えすぎて悩む読者に出した回答とは?
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:すぐにアクションが起こせるようになりたい
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すぐにアクションを起こせない時こそ自分自身に聞いてみる
Question
結城さん、こんにちは。
自分は、何をするにしても頭の中でいろいろと考えてしまい、初動が遅くなりがちです。
どのようにすれば、すぐにアクションが起こせるようになるのでしょうか。
結城浩さんからの回答
ご質問ありがとうございます。
まずは、あなたご自身で、この質問文を細かく分解してみることをおすすめします。
「頭の中でいろいろと考えてしまい、初動が遅くなりがち」について……
- 「初動が遅くなりがちである」という現象がある
- その原因は「頭の中でいろいろと考えてしまう」からである
あなたが経験している具体的事例を思い出して、自分の行動や思考を書き出してみましょう。そしてその書き出した内容を読み返して考えます。
- 「初動が遅くなりがち」と言ってるけれど、それは本当か。
- 「初動が遅い」というのは具体的にどれくらい遅いのか。
- 「初動が遅い」とことで何か困ることはあるのか。誰が困るのか。
- 初動が早くなれば嬉しいのか。どのくらい早くしたいのか。それでどんないいことがあるのか……。
- 「頭の中でいろいろと考えてしまう」と言うけれど、それは本当か。
- 「頭の中でいろいろと考えている」ことは、具体的にどんなことか。それはいつも同じか。
- 「頭の中でいろいろと考える」ことで時間が経過しているのか。他に原因はないかのか。
具体的事例を使って、そのように細かく考えてみるのです。
「初動が遅い」と感じる人はたくさんいます。またその原因が「頭の中でいろいろと考えてしまう」人も多いでしょう。でも、何か対策を打つためには十分に具体的に考えを進める必要があります。
「自分は、本当のところ何を考えているのか」というのは「自分は何を求めているのか」を考えることに通じます。自分が行動を起こすために必要な「情報」を探し求めているのか。行動を起こすのに障害となっているものの「解決」を求めているのか。行動を起こした後どうなるかの「懸念」を分析しているのか。そのために過去の「経験」を思い出しているのか。「他人」のことを気にしているのか。「予算」が気になるのか……そのように、多次元から分析します。
「どのようにすれば、すぐにアクションを起こせるようになるでしょうか」というのは直接的な解決方法を求めていることになります。でも、その前に、あなた自身で自分の身に起こっていることを分析して、原因を考えてみるのをオススメします。さもないと、本当の原因ではないところでウロウロするかもしれません。
また実のところ「いろいろと考える」部分は、あなたのいい点かもしれません。もしもそうなら、安易にすぐにアクションを起こす方法を試すことは、あなたのいい点を損なってしまうことになりますよ。
以上です。ご質問ありがとうございました。
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