トランプ米大統領とイーロン・マスク氏率いる米政府効率化省(DOGE)が、アメリカ国内で粛々と実行する改革の数々。米国際開発局(USAID)閉鎖やワクチン問題の追及などこれまで“陰謀論”と一笑に付されてきた領域にまで踏み込み、世界中で賛否両論を巻き起こしている。ただ、日本のマスコミはこれを批判的に報道することしかできない。そこに「天才」と「秀才」の決定的な差が現れていると指摘するのは、心理学者の富田隆教授(駒沢女子大)だ。(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
リアルタイムで時代の変化を読めるのは「天才」だけ
要は今が世界の「変わり目」なのです。
トランプ大統領であれ、プーチン大統領や習近平主席であれ、政治の舞台に登場する役者たちもまた、その背景に渦巻く巨大な歴史の潮流に逆らうことはできません。
彼ら個々の役者は、そうした波に乗って進むサーファーのような存在であり、波を読み間違えれば、一瞬にして姿を消すことになるでしょう。
この歴史の潮目がどのように変わったのかを正確に知ることができるのは、後世の人々であり、現在進行形で潮流の変化に翻弄されている私たち当事者は、断片的に身の回りで起こる変化を見据えるのが精一杯なのです。
今を生きている当事者で、これからの潮目の変化を読み取ることができる人がいるとすれば、それはほんの一握りの「天才」だけでしょう。
真面目なジャーナリストや「秀才」の科学者は、これまでに定式化された論理に従って、実証的にこうした変化を読み解こうとするわけです。
しかし、過去の経験から作られた論理を使って、これまでのデータを総合することで、これから起こる未来の変化を予測しようとする努力には自(おの)ずと限界があります。
なぜなら、歴史における変化は常に未経験の意外で「新しいもの」だからです。
「歴史は繰り返す」などと申しますが、たまたま過去のいずれかの出来事と似たような変化が生じたとしても、それらが「似ていた」と分かるのは、後の時代になってからのことです。
「秀才」は、どう頑張っても「未来が見えない」存在
常識的な認識法では、「時間差」で追いつけないのです。「天才」が「秀才」と違うのは、彼らが「実証」を超越している点にあります。
彼らは経験的に認識するのではなく、「直観」により把握した情報を基に論理を展開し近未来を認識するのです。天才は一種の「超能力者」であり、「常識の外」にいます。
そこら辺に超能力者が転がっているはずもありませんから、新聞の社説やらテレビの解説者やらの言うことをあまり真(ま)に受けないことです。
彼らに見えているのは過去の世界です。ですから、大抵の場合、彼らは潮流の変化を読み間違えてしまいます。
ほとんど変化のない、ある意味平和な時代なら、読み間違えたところで誤差の範囲なので、素人から見れば「当たっている」ということになるのですが、変化の激しい時代になるとそうはいきません。
その結果、追い込まれた秀才の皆さんは、ますます、現在起こりつつあることを「過去」になぞらえて理解しようとするので、妙なレッテル貼りをしてみたり、イデオロギーに捕らわれて希望的観測に陥ったりしがちなのです。
ですから、今、アメリカで起こっている大きな政治経済的変化に対しても、彼らはついていくことができません。
既存マスコミは「不適応状態」に陥っている
たとえば、「日経新聞」までもが、トランプ大統領やイーロン・マスク氏を悪者に仕立て上げるような印象操作を行い、彼らの悪口を言いまくっているのは、急激すぎる変化への不適応状態と言えるでしょう。
現在世界で起こりつつある大きな変化の波に乗り切れず、サーフボードから投げ出され、溺れそうになり悲鳴を上げているのです。
新たな変化への不適応が招く「現実否認」状態とでも申しましょうか…。こんな既存メディアの言うことを信じていたら、私たちまで溺れてしまいます。
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私たち「凡人」が「変化の時代」を楽しく生きる方法
そこで、私のような凡人が、そうした「変化の時代」を生き抜こうとする場合、自分が今直面する「新しい出来事」への適応に集中するように心掛けます。
あなたも私も、これまでだって、そうやって生きてきたはずです。
その昔、職場や家庭にパソコンが入ってくれば、何とかかんとか使いこなせるように頑張ったではありませんか。
スマートフォンが普及すれば、当初はタッチパネルの敏感さに戸惑いながらも、何とか指を滑らせながら、メールやLINEの入力ができるようになったではありませんか。
私たちは、あれこれと文句を言いながらも、次々に、新しいものに適応してきました。口は悪くても、意外に柔軟なのです。
今までだってできたのですから、心配いりません。これからも同じことです。
しかも、新しいものを使いこなせるようになるのは、原則、楽しいことであり気持ちの良いことなのです。
社会や経済の仕組みが変わることも、生活のスタイルが変わることも、その気になれば楽しめるはずです。
チンパンジーもゴリラも、新しいオモチャを与えると喜んで遊びます。人間も含め、霊長類は「新しいもの好き」なのです。
今、アメリカで起きていることは、ちょっと形を変えて日本にもやってくるでしょう。私たちの働き方や生活の仕方にも変化が訪れるはずです。
トランプ氏やマスク氏に対する好き嫌いはひとまず棚に上げましょう。
彼らがこのひと月余りで押し進めたことのひとつは、米国政府という巨大な官僚システムの「無駄」や「腐敗」を暴きだし、大掃除を始めたということです。その様子は完全なガラス張り状態で、逐一「X」などで開示され中継されています。
政府機関の大掃除の直接の担い手はトランプ氏やマスク氏ですが、選挙の結果を見れば明らかなように、それを望んだのは大多数のアメリカ国民なのです。
彼らは、肥大化して効率の悪い、メタボの政府機関にウンザリしていました。
しかも巨大化した政府は国民を騙して怪しげなワクチンを打たせたり、他国でクーデターを画策したり、あげくの果てに戦争まで始めている。
こうしたことが決して「陰謀論」なんかではないということがバレてしまいました。時代の潮流は、大掃除を求めていたのです。
私たちの政府や企業でも同じようなこと起きています。
明治以来、国家の中枢にドッカリと腰を据えている「官僚システム」の賞味期限も、とっくに切れていますから、既得権益の抵抗はあるでしょうが、これらの「大掃除」も始まるはずです。
これに合わせて、私たちの生活も見直すチャンスなのかもしれません。
とりあえず、私も基本に立ち返り、大掃除をしてみようと思っています。「無駄」を切り捨てる「断捨離」の精神は、私たち庶民の間ではすでに普及しています。後は、これを実行に移せば良いのです。
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私たちを助けてくれるのはマスコミの秀才君ではなく身近な人々
それと、もうひとつ。変化の時代を逞しく生き抜くためには、親しい者や仲間を大切にすることが肝心です。今さらのようですが、改めて、人の「和」というものを大切にしましょう。
一人では乗り越えられない障壁も、皆で協力し合えば乗り越えることができるからです。昔、中国の孟子という人が、次のような名言を残しました。
「天の時は地の利に如(し)かず、地の利は人の和に如かず」
天の与えてくれた絶好のチャンスがあったとしても、地理的な優位性を手にした者には勝てません。地の利という言葉を現代の社会に置き換えれば、経済的、地政学的な優位性ということになるのでしょう。孟子は、そうした地の利があっても、「人の和」には勝てないと説いているのです。
時代の潮目が変わる時も、天才なら「天の時」を読むことができるのでしょう。
しかし、私のような凡人が天才の真似をしたところで「生兵法(なまびょうほう)は大怪我(おおけが)のもと」、株で大損でもするのが関の山です。まして、マスコミに登場する秀才諸氏の言うことを真に受けて右往左往していたのでは、命がいくつあっても足りません。
それよりも確かなのは「人の和」を大切にすることです。いざという時に手を差し伸べてくれるのは、あなたの周りの親しい人々です。
それに、身近な目の前の課題を乗り越える工夫なら、家族や友人たちの方が良いヒントをくれるはずです。
「三人寄れば文殊の知恵」、皆であーだこーだと相談している内に、何か名案も生まれるものです。お互いに手伝ったり助けられたり、互恵的な協力関係から、新しいビジネスが生まれないとも限りません。
落語の長屋ではありませんが、隣近所、顔の見える共同体で皆仲良くやって行きましょう。これなら、「社会的動物」である人間にもピッタリな無理のない対処法です。変化の時代を恐れる必要はありません。(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』2月28日配信号「潮目が変わる」より抜粋。この号の他の記事(「援助漬け」「ノックス砦の闘い」「雪の朝」)もお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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