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中町兄妹、悪くなくね?八潮市道路陥没事故を「笑う」のが「不謹慎ではない」理由。“中町アンチ”のヒステリーと日本のヤバい実状とは?

埼玉県八潮市の道路陥没事故をめぐり、20代の兄妹ユーチューバーが“不適切発言”で大炎上。ただ冷静に見てみると、この2人は何ら間違ったことを言っていない。何が現実で何が“不適切”だったのだろうか?

兄妹ユーチューバーが八潮市道路陥没事故を大笑いして大炎上

チャンネル登録者数約170万人を誇る兄妹ユーチューバー「中町兄妹」が2月2日、埼玉県八潮市の道路陥没事故(1月28日発生)について、動画内で“不適切な発言”をしたとして大炎上した問題。

先月9日の動画で謝罪後も批判は止まず、「(自分たちが)秒で死んだら面白いよね」と発言した妹の中町綾(24)は、ピーチ・ジョンのイメージモデル起用が白紙になり、CanCam専属モデルも降板するハメになった。

3月4日の動画では、兄の中町JP(27)が“自分たちのモラルのなさ”をあらためて謝罪。外部スタッフによる動画チェック体制を整えること、綾がYouTube以外の仕事を自粛すること、八潮市に募金をしたことなどを発表したが、いまだ炎上は続いている。

実は「中町兄妹」は、ヤバいことなんて何も言っていない

だがこの状況に関して、「さすがに2人がかわいそうだ」と擁護するのは都内芸能事務所関係者(40代)だ。

「『中町兄妹』は軽妙かつギリギリのトークで、10代の若者層から絶大な支持を受けるユーチューバーです。もともと炎上系で、人気の裏返しでアンチの数も少なくありません。ですが、2月の“不適切発言”に関しては、実はヤバいことなんて何も言っていないんです。このことを多くの人、ご年配の方にもぜひ知っていただきたいですね。

削除された動画では、ビルの足場が突然崩れてきたり、道路がいきなり陥没して大穴が空いたり、近ごろ物騒なニュースが増えているよねと。なので外出するときは、大型トラックと併走しないなど気をつけるようにしてますよと。要約するならそういうトークの流れの中で、兄のJPさんが『死なないような生き方をずっとしているんだ』と問いかけ、それに対し妹の綾さんが『で、秒で死んだら面白いよね』と返したにすぎません。

たしかに2人は笑いながら、『面白すぎる。妹が秒で死ぬ姿をあまり想像したくない』『家族としては秒で死んだら面白くないから。めっちゃ悲しいから家族は。めっちゃ穴に落ちて死んだんだけど』『あんなに気をつけていたのに、めっちゃ穴に落ちて死んだんですけどみたいな』などと話していました。でも、それは道路陥没事故の被害者を揶揄するニュアンスではなく、自虐的なユーモアの範疇でした。

そんなの不謹慎だと言われれば、それはまあそうかもしれない。でも、嫌なら見なければいいだけの話でしょう。それを、2人が謝罪した後もいまだに『行方不明になったトラック運転手の遺族を馬鹿にしている!』とか『募金したらそれで済むとでも思っているのか!』とか、ネチネチしつこく叩いている連中がいるわけです。中町兄妹よりも彼らのほうが、よほど頭がおかしいというのが私の周辺での評価です」(芸能事務所関係者)

若者世代が日本の現状を「笑うしかない」のは当たり前

綾は4日の謝罪動画で「被害者の方を笑ったわけではありません。そこだけお伝えさせてください」と説明した。これはその場しのぎの言い訳ではなく、本心からの言葉だったとみる向きも決して少なくない。

別の50代芸能ライターも“不謹慎な若者”たちの言動を「責める気にはなれない」と語る。

「理不尽な大災害に晒された後、子供たちが『地震ごっこ』や『津波ごっこ』『避難所ごっこ』などの“不謹慎な遊び”を始めることがあります。これは『ポストトラウマティックプレイ』と呼ばれるトラウマ解消に必要なプロセスで、親は遊びをやめさせてはいけないとされています。『中町兄妹』の2人はすでに成人ではありますが、これに近いものを感じました。

八潮市の事故は『いきなり道路に大穴が開いて、誰もが明日、命を落とすかもしれない』という過酷な現実を日本に突きつけました。ところが、いい年をした政治家も役人も私たち国民も、一体どう対応すればいいのか、なにも分かっていません。何の根拠もなく『自分だけはきっと大丈夫だろう』と思い込んで生活しているだけです。

その様子を見た若者世代が、ヤバすぎる日本の現状を『もう笑うしかない』と感じたとしても、責めることはできないのではないでしょうか?そもそも『中町兄妹』のせいで道路が陥没したわけでもないのですから…」(芸能ライター)

“中町アンチ”の人々は集団ヒステリーを起こしている

よく通ったであろういつもの交差点で、いきなり道路が陥没し、深さ10メートルの大穴にトラックごと飲み込まれた74歳の男性運転手。救助を待ちながら必死に耐えていたものの、穴は拡大する一方で、釣り上げ作業にも失敗し、分離した運転席は下水管内に流されてしまった。

中は汚水と有毒ガスの硫化水素が充満している。考え得るかぎり最悪に近い死に方だ。どれほどの恐怖だったか。明日は我が身、せめて苦しまずに最期を迎えたことを祈るしかない――。それが八潮市道路陥没事故の現実だろう。

マスコミは「事故から1カ月」「運転手は安否不明」「救助を急ぐ」などと報じ、国民もそれを見守っている。だが、この男性が生存している可能性はない。確実に亡くなっているのに、その事実からすら、私たちは目を背けている。

先の芸能事務所関係者が指摘する。

『中町兄妹』を叩いている人たちは、八潮市の事故でパニックかヒステリーを起こしてしまっているように見えます。あまりにも理不尽で恐ろしい事故、日本のどこでも起こりうる大惨事でした。語弊を恐れずに言えば、私やあなたも明日、穴に落ちて“汚物まみれ”で死ぬかもしれないわけです。でも日本にはカネがない、働き手もいない、ゆえに有効な対策もない。じゃあどうするんだ?と。そこでスケープゴートにされたのが『中町兄妹』の発言だったのではないでしょうか」(芸能事務所関係者)

八潮市の道路陥没事故は、『中町兄妹』の“不適切発言”とは一切関係なく発生した。これは揺るがない事実だ。それに、27歳の兄と24歳の妹に日本のインフラ老朽化の責任はほぼないだろう。

「こんな日本」にしてしまったのは国や自治体、政治家、役人、マスコミ、そして「もう若くはない」私たち国民の側。そう考えると、20代の若者に笑い飛ばされたからといって、仕事を干してしまうのはさすがに老害ムーブが過ぎる気はする。

日本のインフラは高度経済成長期に集中的に整備された。たとえば全国の橋梁(約72万橋)について、5年後の2030年には「建設後50年超」が55%に及ぶとの国土交通省の試算もある。

安心して道路を歩けない、橋も渡れない日本で現実と向き合わず、ユーチューバーの“不適切発言”を叩くというのは、いかにも罪と罰がアンバランスだ。それでも打つ手がないとなれば、いっそ私たちも『中町兄妹』に倣って笑うしかないのかもしれないが――。

【関連】石破、空気読め。八潮市道路陥没で日本に広がる“明日は我が身”感…道を歩けず風呂も入れずに何が「楽しい日本」か?

image by: 中町兄妹 – YouTube

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