20代の女性配信者が生配信中に殺害された事件。容疑者の40代男性から約250万円を借り、民事訴訟で支払いを命じられた後も返済に応じなかった末の悲惨な結末だった。その顛末から、“最上あい”が命を落とし、同じ人気配信者の“たぬかな”が「刺されない」理由が見えてきた。
“最上あい”の裏の顔、サラ金総量規制の回避“指南”も
東京・高田馬場で11日、生配信をしていた人気女性配信者“最上あい”さん(22)が、リスナーの高野健一容疑者(42)に刺殺された事件。
当初は“弱者男性”の思い込みによる「ストーカー殺人」の類と見られていたが、高野容疑者は事件直後から「約250万円を貸したが、返ってこなかったため殺害した」旨を供述。容疑者の知人がSNSにその“証拠”をリークし、“最上あい”さんの「加害者」としての裏の顔が暴露されていったのは弊サイト既報のとおりだ。12日夜から今日にかけては大手マスコミでも報道され、いよいよ事件に対する世間の評価は「被害者の自業自得」に定まりつつある。
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各紙報道によると高野容疑者は2022年、“最上あい”さんから「財布をなくした」「生活費が足りない」といった理由で金を貸すよう頼まれ、合計約250万円を彼女の銀行口座に送金した。その後、2023年には返済を求める民事裁判を起こし、約250万円の支払いを命じる判決も出ていた。
ところが“最上あい”さんはこの判決を無視し、LINEもブロックして高野容疑者との連絡を絶ってしまう。結果、彼女は「借金を返さないのに配信で稼いでいる」ことに腹を立てた高野容疑者に、サバイバルナイフで数十箇所をメッタ刺しにされ殺害されるという悲惨な最期を迎えることになった。
ネットメディア編集デスクが説明する。
「SNSにリークされていた2人のLINEは、大手マスコミでも取り上げられており、本物だったということになりますね。その会話を見るかぎり、“最上あい”さんは高野容疑者を完全に“ATM扱い”していました。深夜早朝お構いなく、『数万いける?』『5万だけおねがいしていい?』『絶対返すから100万かりたい』という具合で、金銭感覚が完全にバグっていたと思われます。
さらに、高野容疑者が『虚偽の年収と勤務先を申告して消費者金融2社から金を借りたため、これ以上貸すのは難しい』旨を説明した際には、『もう1社借りてほしい』と食い下がり、サラ金の総量規制を回避する方法を“指南”する鬼のような一面も…。亡くなった方を悪く言いたくありませんが、行為だけを見るならば最低の人間という印象はどうしても否めません」(ネットメディア編集デスク)
“最上あい”さんに、「ふわっち」の配信とはまるで別人の「加害者」としての側面があったのは間違いないようだ。ただ、22歳の女性にしては消費者金融まわりの知識に詳しすぎる。彼女の背後には、もしかすると別の“指示役”がいたのだろうか?
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「ATM男」の逆襲を心配する女性たち
さらに“最上あい”さんの壮絶な死に様は、一部の“同類女性”たちにも多大なショックを与えたようだ。
彼女と同じように「男をATMにしてきた」自覚を持つ女性たちが、「反省の弁」をネットに投稿したり、久しぶりの男性に連絡を取って機嫌をうかがったり、相手にお金を返すかどうか検討しはじめたりする動きが一部で見られるという。
「一部には“ネタ”も含まれると思いますが、SNSや動画サイトのコメント欄では、≪実は自分もわりと危ない気がしてる≫≪連絡絶ちはダメ、面倒だけど今日もフォロー入れた≫≪超久しぶりに男に連絡したら結婚してくれてて助かった≫といった旨のコメントが散見されます。中には、≪借金と言えば借金のような…返さないとだめ?額が大きすぎて無理なんですけど≫という女性も。“最上あい”さんを見た後だからこそ、金を返すだけで命を守れるなら安いものだろうと思うのですが、実際の対応はなかなか難しいようです」(前出のネットメディア編集デスク)(次ページに続く)
「刺されそうな配信者筆頭」のたぬかなが「刺されない」ワケ
復讐心に燃える「ATM男」に、法律や警察はまったくの無力。そんなもので自分の命は守れない。だからこそ、たかり行為からは足を洗うのが一番だが、仮に「男を食い物にする」にしても、適切な「ヘイトコントロール」が必要になってくるということか。
この分野では、かつて「頂き女子りりちゃん」が販売していたマニュアルがよく知られているが、この「りり学」はあまりに実践的で、犯罪を助長する内容のためここでは詳しく触れないでおく。
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そこで、もう少し真っ当な「身の守り方」を探すと、元プロゲーマーで配信者のたぬかな(32)の卓越したバランス感覚が参考になるかもしれないという。
「ふわっち」の競合にあたる、準大手ライブ配信サービス関係者がその理由を説明する。配信監視・ユーザー保護業務の経験も持つ人物だ。
「たぬかなさんは高田馬場の事件後、『刺されそうな配信者筆頭なので震える』と自虐的なコメントを投稿しました。ただ、私の周囲の業界関係者の間では『たぬかなは刺されるタイプではないよね』というのがもっぱらの評判です。
仮に、たぬかなさんが外配信をして居場所を特定されたとします。その場合、ちょっと頭のおかしいファンにリア凸されて乳を揉まれるくらいのトラブルはあるかもしれません。それなりに怖い思いはしそうです。ただ、いきなりサバイバルナイフはないと思うんですよ。
というのも、たぬかなさんは背の低い男性たちを“ホビット”と煽って炎上したり、何かとお騒がせな一面はあるものの、日々の配信をみるかぎり、ある特定の男性個人を追い詰めるようなことはしていないからです。もちろん、ウラで個別に男から金を巻き上げていたら話は別ですが、そういう話は聞きませんからね」(ライブ配信サービス関係者)
どちらも「男性を追い詰めている」のは同じにも思えるが――。
「前提として、極端に背が低い男性は世の女性から少し下に見られがち、という現実があります。男性側もそれは重々承知で、たぬかなさんはそれを正直に指摘したにすぎません。特定の男性個人に、60秒毎に1%ずつ背が縮んでいくデバフをかけるなどの実害を与えたわけではない。そして、なんなら男性側にも「うっせーこのブス」などと負け惜しみを言う余地があります。つまり、たぬかなさんは男を決定的には追い詰めていないわけです。
一方“最上あい”さんは、高野容疑者を決定的に追い詰めました。資本主義社会で命と同じくらい大切なのがお金です。そのお金を奪った。サラ金苦で多重債務の中年男が、自分など死んだも同然と自暴自棄になるのはある意味自然な流れでしょう。男性にお金を頼るにしても“禁じ手”は絶対にあります。これ以上は命のやり取りになってしまうという“超えてはいけないライン”を知らなかったことを、死んでから後悔しても遅いのではないでしょうか?」(前出のライブ配信サービス関係者)(次ページに続く)
「刺される配信者」と「刺されない配信者」の違い
このライブ配信サービス関係者によると、動画配信で「命を落とすリスク」を危険度の高い順に整理すると、おおむね下記のようになるのではないか、という。
(1)最上あい系(頂き女子系)配信者
(2)迷惑系・突撃系配信者
(3)集合住宅で騒音を出す迷惑隣人
(4)たぬかな系(毒舌・口撃系)配信者
「(1)は命と同じくらい大事な“お金というリアル”を奪って非モテ中年男性を追い詰めます。(2)も“平穏な日常というリアル”を奪い、相手が無視しようにも無視できない厄介な性質があります。この2つは、超えてはいけないラインを超えやすく、いつでも相手から反撃され“刺されるリスク”を負っていると言えます。非常に危険です。
それと似ているのが、動画の配信ジャンルではありませんが、(3)のマンションやアパートなど集合住宅における騒音トラブルです。“たかが騒音”が殺意を生み、実際に毎年多くの殺人事件に発展していると言います。これも“住環境というリアル”を奪い、しかも被害者は無視しようにも無視できない性質を持っています。“もう殺るしかない”となってしまうのではないでしょうか?
一方(4)は、特定の誰かをネチネチと個人攻撃でもしないかぎり、“ある層”から嫌われることはあっても、特定の誰かに復讐され、刺される可能性は相対的に低くなります。相手のほうも、たぬかなさんに悪口を言い返すことができ、鬱陶しいなら見なければいいからです。特定個人の“何らかのリアル”を奪わないようにするのが、ライバーが自分の身を守る際の重要なポイントだと考えています」(前出のライブ配信サービス関係者)
“最上あい”さんの悲劇に対し、「どんな場合も殺人は決して許されない」というお題目を唱えるのは簡単だ。だがそれは、「青信号だから自分は悪くない」と、信号無視のダンプカーに歩行者が突っ込むようなものだろう。
やはり配信者が自分の身を守るには、それぞれが“超えてはいけないライン”をしっかりと守る必要がありそうだ。
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