6月からDAZN見放題の新料金プランがスタートするNTTドコモですが、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは最近のドコモの割引施策を詰め込んだ料金プランの流れについて「腑に落ちる」と理由を語っています。
NTTドコモ前田社長が語る「割引施策をモリモリにする理由」—-ドコモ経済圏に「どっぷり浸かるユーザー」を囲い込むのが勝ちパターン
6月より新料金プランがスタートするNTTドコモ。「ドコモMAX」はDAZNユーザーからすればありがたい料金プランである一方、「こんなの不要だから安くして」という声もある。
また「複雑でわかりにくい」という批判も上がっている。いまに始まったことではないが、3キャリアが得意とする「光回線や家族回線による割引」が多すぎる。派手に見せている金額は「割引適用後の金額」であるため、誠実さに欠けるという指摘もある。
「いつまで、こんな様々な割引を組み合わせた料金プランを続けるのか。もっとシンプルな設計にしないのか」という意見もあるが、実態を聞くと結構、腑に落ちるところが多い。
決算会見で前田義晃社長は「eximoでは半数のユーザーが、すべての割引が適用されている。また90%のユーザーには何らかの割引が適用されている」というのだ。
eximoでは「3回線以上のみんなドコモ割で▲1100円」「光回線セット割/home 5Gセット割で▲1100円」「dカードお支払割で▲187円」が割り引かれる。この3つの適用を受けるユーザーがeximoの半分いるというのであれば、この立て付けを維持しないことには、ユーザーの反感を買うというのが目に見えているのだ。
ドコモMAXではさらに「長期利用割」「ドコモでんきセット割」が増えている。長年、ドコモを利用し続け、どっぷりと経済圏に浸っているユーザーであれば、かなり満足がいくスペックになっているといえる。
一方、低容量の新料金プランである「ドコモmini」はirumoよりも容量の選択肢が少なくなり、また値上げ傾向にある。
irumoの0.5GBプランは月額550円と加入しやすかったが、今回、廃止となっている。
前田社長は「(廃止により)顧客獲得では短期的に影響が出るかもしれない。しかし、新規加入で0.5GBプランを契約したユーザーは1年以内に半分が他社に移行してしまう。そこにコストをかける意味がなくなっている。ユーザーは増えもしないけど減りもしないということで、あまり影響を及ぼさないのではないか」と語った。
irumoの0.5GBプランはどちらかというと、ケータイのために残した感があったが、結局はMNPの弾として大人気になってしまったというのが実情のようだ。
決算会見で気になったのが、前田社長が「古い料金プランがたくさん残っているため、コストがかかっている。いずれ見直していきたい」と語っていたことだ。KDDIの既存プランも値上げするのかと思いきや、既存プランを「整理」させていく方向のようだ。
「docomo with」がなくなったように、今後は既存プランが廃止されていき、新しいプランへの強制乗り換えみたいなことになるのだろうか。
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