なぜトランプは攻撃を選んだのか?イラン核施設への空爆とイスラエルの影

Washington,D.c.,,Usa,-,April,7,,2025:,United,States,President
 

イランの核施設を攻撃したトランプ大統領は、あえて交渉路線ではなく「武力行使」に踏み切った理由は何なのでしょうか?メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、トランプ氏の判断の裏にあるロジックとイスラエルの戦略を現地報道をもとに読み解きます。

なぜトランプ大統領は交渉ではなく直接攻撃を選んだか?

米国がイランの核施設3か所を攻撃しました。

トランプ大統領はなぜ交渉ではなく直接攻撃を選んだのでしょうか?

トランプ大統領の支持基盤(MAGA)は海外の戦争に巻き込まれるのを嫌っています。それを分かりながら、なぜイラン攻撃の当事者となったのでしょうか。

理由は二つあります。

一つ目はトランプ大統領とイスラエルとの特別な関係です。先週にも述べたとおり、彼の著作を読めば、イスラエル、ユダヤと特別な関係がある事は確実です。

2つ目は調停が無理だと判断した事です。調停にはイスラエルとイランの合意が必要です。しかしイスラエルへの調停が無理だと判断したのでしょう。

本日ご紹介するのはイスラエルのニュースサイト「イスラエルディフェンス」の6月19日の記事です。

当然ながら今回の米国攻撃前の記事です。

記事抜粋

「イスラエルはルビコン川を渡った」

イスラエルは、イランとの戦場で目覚ましい成果を上げている。イスラエル空軍は、約 70 のイランの防空システムを破壊し、完全な制空権を確保、数十基のミサイル発射装置と数百発の長距離ミサイルを破壊した。

イランの防空システムとミサイルの生産インフラは完全に破壊され、同国は航空戦力を一から再構築せざるを得なくなった。

しかし、これらの戦術的成果がどれだけ印象的であっても、イランの脅威に対する長期的な解決策を保証するものではない。

イスラエルの立場からすれば、この戦争の真の戦略的目標は、イランの能力を一時的に無力化することではなく、存在を脅かす核の脅威を完全に除去することだ。

つまり、イランがイスラエルの破壊を理念とするアヤトッラー政権の下にある限り、脅威は生き残り続ける。

イスラエルがイランに対して先制戦争を仕掛けたという決定自体が、戦略的に見て合意だけで終わる道ではないことを強調しておく必要がある。

イランの最大の失敗は、ほぼ半世紀にわたり核兵器の開発を躊躇してきた点にある。現在、軍事的な打撃を受けたことを踏まえると、イラン政権は核兵器の取得が不可欠であると結論付ける可能性が高い。

現在の政権、またはそれに類似した政権が権力を維持する限り、イランは将来のすべての資源を核プログラムの完成に投入すると予想される。

したがって、イスラエルは重大な戦略的決断に直面している。戦争は、アヤトッラー政権の崩壊か、イランのすべての核施設を完全に破壊し、その核能力と知識を根絶するかのいずれかの結果で終わらなければならない。

その他の結果――政権を存続させた米仲介の合意を含む――は、単なる一時的な勝利に過ぎず、真の存亡の脅威との対峙を数年間先送りするだけになるだろう。

解説

とくに解説の必要がありません。

イスラエルは「徹底的に最後までやるしかない。」という事です。

そして「中途半場な合意」は無意味だと断じています。

イスラエルを調停するは不可能とトランプ大統領は判断したのでしょう。

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

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