MAG2 NEWS MENU

楽天モバイルの大誤算。好材料を活かしきれなかった「料金表記」の落とし穴

2025年10月より楽天モバイルが新たな料金パックの提供を開始すると発表しました。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、自身のメルマガの中で、この料金パックの注目すべき点と「唯一残念だと思った点」について語っています。一体、何が残念だったのでしょうか?

楽天モバイルが「Rakuten 最強 U-NEXT」を10月に開始—-110円を引いた金額表示は「わかりやすい料金プラン」といえるのか

楽天モバイルは2025年10月より新料金パック「Rakuten 最強 U-NEXT」を開始する。U-NEXTで配信されているコンテンツの視聴料とデータ無制限がセットになって月額4378円(税込み)となるのが特長だ。

U-NEXTでは、ドラマ、スポーツ、映画、音楽ライブをはじめ、200誌以上の雑誌や3000冊以上の児童書も読み放題となっている。
また、楽天が提供する「楽天マガジン」や「楽天ミュージック」などのデジタルコンテンツ特典だけでなく、海外ローミングや無料通話アプリ「Rakuten Link」も利用可能だ。

NTTドコモやKDDIが相次いで付加価値を載せた値上げをしてきた。「楽天モバイルが載せられる付加価値とは何なのか」というのが気になってきたが、U-NEXTを持ってくるとは実に上手い。

今回、データ通信は段階制ではなく定額制を導入した。楽天モバイルの課題であったARPUの向上に寄与する。さらにはU-NEXTをセットしたことで解約抑止にも効いてくるだろう。

月額1089円、お得になる設計だが、これまでU-NEXTが提供してきた1200ポイントの付与がない。両社とも痛みはほとんどないなかで、ユーザーを囲い込める、考えられた施策と言えそうだ。

今回の発表、これまで日本のインターネットを牽引してきた楽天・三木谷浩史会長、U-NEXT・宇野康秀会長が登壇するなど、演出も上手くはまった感がある。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

初月無料で読む

ただ、唯一、残念だったのが、セット料金を「最強家族プログラム適用時」のみで表記したことだった。

楽天モバイルとしてはできるだけ安価に見せたいという本心から、110円安い料金表示に統一したのだろうが、あれでは誠意がなさ過ぎる。

やはり、ちゃんとメディアやユーザーに魅力を伝えたいのであれば、通常時の金額と割引適用時を併記する、あるいは通常時の金額表示のみにすべきだった。

単に発表会に使ったプレゼン資料だけでなく、プレスリリースにも通常時の金額表記がなかったのは本当に不親切だ。

発表会における料金表示においては、KDDIがAmazon Primeとのセット料金発表で「さよなら、au」をネットで炎上したし、つい最近も、NTTドコモが「ドコモMAX」で、各種割引を提供したあとの金額を訴求して「わかりにくい」というバッシングを浴びている。

なぜ、楽天モバイルは他社の失敗を教訓にすることができなかったのか。

どんなに「わかりやすいシンプルなプラン」を訴求しても、その金額自体がわかりにくかったら、結局、ユーザーを欺いていることになる。

そもそもの料金プランの内容や発表会の立て付け、経営に及ぼす効果など、練りに練られた「Rakuten 最強 U-NEXT」だっただけに、110円のせいでなんとも後味の悪い印象が残ってしまったのが本当に残念だ。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Michael Vi / Shutterstock.com

石川 温この著者の記事一覧

日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 石川温の「スマホ業界新聞」 』

【著者】 石川 温 【月額】 初月無料!月額550円(税込) 【発行周期】 毎月 第1土曜日・第2土曜日・第3土曜日・第4土曜日(年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け