2025年7月1日、日本電信電話が正式に社名をNTTに変更しました。グループ企業であるNTTドコモやNTTデータなども再編が進んでいる一方で課題も少なくありません。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、自身のメルマガの中で、NTTの再構築はどこへ向かうのかについて語っています。
日本電信電話がNTTに生まれ変わる—-グローバル戦略に合わせた「青」に統一も、ドコモは「赤」を死守
日本電信電話は2025年7月1日、社名をNTTに変更した。それに伴い、コーポレートロゴのフォントも丸みを帯びた「NTT」に変更となった。
NTTのコーポレートカラーは濃いめの青だったが、これもNTTデータが使っていた薄めの青に統一されることになった。
島田明社長は「(NTTデータが)世界中で統一して使っている青いロゴは現在、150以上の国と地域で展開されている。この青で、NTTグループ全体をしっかり主張していきたい。一部メディアから『逆輸入』と言われたが、まさに海外で展開しているカラーとロゴを日本に持ち込むことで、グローバル戦略に合わせたグループ全体のイメージを統一している」と語っていた。
そんななか、NTTドコモにはNTTグループを象徴する「ダイナミックループ」がついた。NTTドコモグループのNTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスとなり、NTTコムウェアはNTTドコモソリューションズに生まれ変わった。
ただ、NTTドコモグループのコーポレートカラーは赤のままだ。前田義晃社長によれば「コンシューマー向けはやっぱり暖色でしょ」と語っており、そこに対して島田社長の反論はなかったようだ。
今回の社名やロゴの変更で、NTTグループ全体に一体感が出てきた。島田社長としては、世界において競争力のあるNTTグループにしていきたいという明確な目標があるようだ。
実際、囲み取材でも「アメリカではAT&Tが分割と統合を繰り返しながら新しいビジネスを生み出してきた歴史がある」と述べている。
実際のところ、もはや、NTT東日本と西日本というエリアで2つの会社になっている意味はないだろう。設備の調達も一緒だったりと、両社で競争環境があるとはとても言えない。電話からネットが中心になる中で、地域が分かれているメリットは何一つない。とっとと、NTT東日本と西日本は統合されてもいいのではないか。
また、グローバル事業や法人を手がけるNTTデータと、NTTドコモの法人部門を吸収したNTTドコモビジネスも、棲み分けができているというが、本来であれば統合しても良さそうな気がしている。グローバルで展開している企業を相手にするなら、NTTデータとNTTドコモビジネスが競合するよりも、一体化して営業した方がいいのではないか。
島田社長は「グローバルで通用する体力とフルスタックなサービスを提供できる事業体になることが不可欠だ」と語り、固定からモバイル、データセンターなど幅広い事業を持つNTTグループは世界でも希有な存在だと胸を張る。
ただ、KDDIやソフトバンクが反発するのは目に見えているが、NTTが世界で存在感を出すには、さらなる統合は避けて通れないのではないか。
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