企業間トラブルの現場では、ときにドラマのような不正行為が静かに進行していることがあります。現役探偵の後藤啓佑さんは、自身のメルマガ『探偵の視点』で、総額3000万円相当の事務機器をめぐり、「人」と「物」の行方を追うことになった調査事例です。一見すると手がかりの少ないこの状況の中で、どのようにして保管場所を突き止めたのか?企業トラブルの裏側で行われている、実務としての調査の一端を見ていきましょう。
倉庫の場所を特定せよ!
企業のトラブル案件を多く扱っていると、本当にドラマのような不正行為に直面することがあります。
先日も、比較的キャッチーな依頼がありました。
依頼者はある企業。
対象となる別会社に対して、事務機器を大量に貸し出していました。ビジネスモデルとしては、事務機器を貸し、その対価として毎月の支払いを受ける、いわゆるリースに近い形です。
事務機器の詳細は伏せますが、貸し出していた事務機器の総額は約3000万円!
ところが、先月、先々月と支払いが一切なく、督促をしても連絡が取れなくなってしまったとのことでした。
依頼内容は大きく二つです。
一つは、相手方の代表取締役が今どこで何をしているのかを把握すること。
もう一つは、貸し出している事務機器が保管されている倉庫の場所を特定することでした。
事務機器が3000万円分となると、相当な量になります。
当然、どこかにそれを保管できる規模の倉庫が存在するはず。
その倉庫を突き止めてほしい、というのが今回の依頼の核心でした。
まず、代表取締役の行動調査については、僕たちにとってはそれほど難しいものではありません。
尾行や張り込み等の手法で住所を特定し、平日と休日それぞれ数日間行動を追えば、行動範囲や接触人物、立ち寄り先は自然と見えてきます。
この情報をもとにすれば、返済をどのような形で迫るか、どのタイミングで動くかといった作戦を立てることが可能になります。
一方で、今回意外と難しかったのが倉庫の特定でした。
代表取締役本人が倉庫に出入りする可能性は低い。
となると、次に狙うべきは社員です。
そこで、社内で比較的よく動いていそうな営業マンを数名ピックアップし、その行動を追うことにしました。
今回は3名を対象に、平日の営業時間内を中心に尾行を行う方針。
その3人を、それぞれ3日間連続で調査するという作戦です。
この作戦が見事にはまります。
調査初日、ある営業マンが会社から車で1時間ほど離れた県外へ向かい、明らかに倉庫、もしくは保管場所と思われる施設に立ち寄ったのです。
そして翌日には、別の営業マン2名も同じ場所を訪れていることが確認できました。
この時点で、その場所に目的の事務機器が保管されている可能性は極めて高いと判断されますよね。
この情報をもとに、依頼者と弁護士が連携し、具体的な対応策を検討。
結果として、事務機器の返還、そして法的手続きを通じた金銭の回収まで、無事に進めることができました。
こうした調査は、必ずしも毎回うまくはまるわけではありませんが、今回は初動から歯車がかみ合い、非常に良いスタートを切ることができました。
3000万円、時には何億という額を支払わないというのはよくある事案。
そして、その「支払わない」状況をそのまま放置してしまっている企業が以外と多い。
今の社会では催促を無視したり、「必ず払います」と言ってのらりくらり時が過ぎるのを待ったりして、‘’なんとなく‘’踏み倒すという方法を取っている会社が多い。。。
そこにメスを入れていけるのは、ある種社会的意義がある仕事です。とにかくトラブルがあったら、弁護士や探偵に相談が吉!
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