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「自民のパートナー」だったハズが蚊帳の外へ。国民民主に主導権を奪われた日本維新の会が味わう“屈辱の3党合意”

衆院議員定数の削減に猛反対していたにもかかわらず、一転して自民党の折衷案を受け入れた国民民主党。比例代表を31議席減らすことで自維国の3党が合意に至った背景には、各々の複雑な思惑が絡み合っているようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、国民民主の「態度変更」に至る経緯と水面下で進められた与野党間の交渉を分析。その上で、3党による合意が今後の連立政権の枠組みや国会の勢力図に与える影響を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:世耕弘成・定数31減で3党手打ち。国民民主が「筋の悪い法案」に賛成した理由とは

猛反対のはずが一転。国民民主が「筋の悪い法案」に賛成した理由とは

「なんで、国民民主党、賛成したんやろ」(伊佐進一公明党衆院議員)。いま、永田町界隈で話題の的になっているのは、国民民主党が衆院議員定数削減をめぐり一夜にして態度を転換し、自民党にすり寄ったミステリーである。

日本維新の会と国民民主党は28日、衆院議員定数(465)を比例区で31削減する自民党の折衷案に賛成すると表明した。

(10月29日付朝日新聞朝刊)

維新が主導してきた比例のみ45削減案ではなく、31削減で三党が手を打ち、めでたく実現への道筋がついたというわけだ。だが、つい最近まで国民民主の玉木雄一郎代表は猛反対していたはずだった。

以前のX投稿でも「議員定数削減法案は筋が悪いので見送りが決まったことは適切な判断だと思う」と発言。削減対象が比例代表だけに限定され、中小政党に不利に働きやすいことから、「自民、維新に有利で、事実上のゲリマンダーになる」と厳しく批判していたはずだ。果たして、その“筋の悪さ”は解消されたのだろうか。

合意された自民党の折衷案は、麻生派の鈴木馨祐氏が国民民主の合意を取り付けるべく発案したものとされる。鈴木氏の親分である麻生太郎氏は、かねてから国民民主党を連立相手とする政権構想を抱いてきた。

朝日新聞の報道などによると、鈴木氏らは国民民主と水面下で接触し、妥協点を探っていた。国民民主は「45減には根拠がない」として19減を主張。維新案(45減)のまま法案成立に至れば維新の存在感が大きくなるため、近年の人口減少を根拠に19減を対案として提示し、議論の主役を奪い取る画策をしたわけだ。

これに対し、自民は将来の人口推計をもとに「31減」という数字をひねり出した。自維国、どの党の理屈付けにも絶対的な根拠があるわけではないが、「中をとって自民の31減」が落としどころとなった。比例に統一名簿方式を導入し、中国・四国ブロックを統合するという案が盛り込まれたのも、国民民主の提案を自民が丸のみした結果である。

ここまで自民が妥協したことに対し、維新が面白かろうはずがない。もともと企業・団体献金の禁止を強く主張していた維新が、与党入りに伴いそれを棚上げし、代わりに出してきた目玉政策が「衆院議員定数の1割削減」だった。大阪府議会での定数削減を実績として誇る維新が、連立入りの絶対条件として高市首相に突きつけたカードだ。

少数与党の衆院で首相に指名された恩義を強調する高市首相に対し、維新は当初、すこぶる強気だった。選挙に弱い議員が最も嫌がる「定数削減」を突きつけ、連立離脱を匂わせることで自民党から政策的譲歩を引き出す──それが維新にとって強力な切り札となっていた。

だが、その後の衆院解散で高市自民党が予想を超える勝利をおさめ、高市政権の支持率が上がると、維新は強気一辺倒ではいられなくなった。

一方の国民民主にとっても、野党連携による政権交代の可能性がしぼんだ以上、自民党との融和姿勢を高めて政策実現を図る路線に立ち戻る必要があった。野党がこぞって反対姿勢を強めていた定数削減法案に対する方針転換は、その最たる表れといえる。

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与党側に協力した国民民主にも向けられている野党の怒り

定数削減をめぐる国民と維新の動きを俯瞰すると、いかに両党が「自民党のパートナー」の座をめぐってしのぎを削っているかが浮かび上がる。

連立相手として、自民党総裁に就いた高市氏が最初に打診したのは国民民主だったとされる。しかし、当時は野党側にも連携の動きがあり、玉木代表の態度は定まらなかった。与野党のはざまで逡巡する玉木氏を横目に、素早く自民の連立相手に滑り込んだのが維新だった。

国民民主の玉木代表や榛葉幹事長にとって、当時の悔しさはひとしおだったはずだ。そして今回の3党合意に至る最終段階で、今度は維新が交渉の蚊帳の外に置かれた屈辱も相当なものであろう。

しかし、維新としてもあくまで45減にこだわっていては、いつまでも実現の見通しが立たない。野党はもちろん自民党内にも異論が多い政策だけに、どこかで妥協せざるを得なかった。吉村洋文代表は「これはひとえに維新の力不足」と悔しさをにじませつつも、自維連立の枠組みを守る道を選んだ。定数削減が頓挫すれば連立の存在意義自体が問われ、維新の評価を落とすことになりかねないからだ。

そうなると、ほくそ笑むのは麻生太郎氏と国民民主のラインだ。吉村氏にとって、今回の3党合意は連立を維持するための“渡りに船”だったとも言える。

もちろん、議論から置き去りにされた他の野党が一斉に反発するのは当然である。そもそも、先進国の中で日本の国会議員定数は決して多くない。それをさらに削り、民意を吸い上げるパイプを細らせてよいのかという根本的な問いが残る。本来であれば、国会や国民の間で丁寧な合意形成を図るべきテーマだ。

しかも、比例代表だけの大幅削減が妥当かどうかを十分に検証することなく、「連立維持」という党利党略の産物として実行されることへの批判は免れない。

小選挙区では地盤や知名度、資金力がものをいう。自民党の強みはそこにある。これに対し比例代表は、多様な民意や世論の風、中小政党や新人・女性候補者の挑戦を受け止める器となってきた。比例枠が削られれば、そうした多様な声が真っ先に国会から排除されるリスクが高い。

比例削減の影響を最も強く受けるのが公明党だ。獲得議席の大半を比例代表が占めるため、小選挙区と比例のバランスを「3対2」に保つべきだと主張してきた同党の岡本三成代表は、「究極に雑な法案」と厳しく批判する。参政党などの新興政党にとっても死活問題であり、神谷代表も「大きな政党の党利党略だ」と憤りを隠さない。

野党の怒りの矛先は、実質的に与党側に協力した国民民主にも向けられている。参議院で与党が過半数に届かない中、国民民主の賛成によって法案成立が決定づけられたからだ。

国民民主の狙いが、将来的な自民との連立政権参画にあるのは間違いない。しかし「自維国」の連立政権への道のりは容易ではない。維新は「身を切る改革」を掲げる新自由主義的な色彩が強く、国民民主は労働組合(連合)を支持基盤に持ち、生活重視を掲げる。外交・安保では一致しても、経済・社会政策での隔たりは大きい。

自民党内からは、参院に25議席を持つ国民民主と組めれば「維新抜きでも多数を握れる」との声が漏れ聞こえる。果たして、衆院議員定数削減という「政治のディール」を経て、本当の果実を手にするのはどの政党なのだろうか。

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image by: 玉木雄一郎 - Home | Facebook

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