言い訳名人の育て方
子どもが、トラブル・問題を起こした時。多くの方は
「なんで、そんなことしたの?」
と訊いているのでは?
当然ながら、経緯を聞いて、原因を知って、再発を防いで、子どもの安全と幸せを守ることが目的ですよね。
もしかしたら、すこーし苛立ちも込められてしまっているかもしれませんが(苦笑)
そんな思いが込められた、
「え、何やってるの? なんでそんなことしてるの?」
という、親の言葉。
この言葉、子どもの側からはどのように見えているでしょうか。
子どもは言葉を文字通りに受け止めるので、(はじめのうちは)そのまま質問に答えます。
「・・・してるの。」
「・・・だから、やってみたんだ。」と。
その結果、叱られてしまうこともあるでしょう。
「ダメだよ、そんなことしちゃ」
「危ないに決まってるじゃない」など…。
このように、[訊かれる→答える→叱られる]の経験を繰り返しながら、子どもは学習していきます。
「問題が起きている時は、訊かれたことを正直に答えると
「叱られるんだ」と。
また別の面では、子どもは親の言葉を聞くのと同時に、気持ち・感情も察しているものです。
なので、親が苛立ちを含みながら
「え、何やってるの? なんでそんなことしてるの?」
と言う時、子どもはこんなふうに考えます。
- ママ/パパは、なんだか怒っているみたい。
- こういうふうに訊かれる時は、叱られる時。
- きっと今日も、ボクが悪いって責められるんだろうな。
- 責められたり、叱られたりするのはイヤだなぁ…
そしてその結果、子どもは自分の身を守る必要に迫られます。その時に護身の手段として子どもが使うのが『言い訳』という方法なのです。
(子どもによっては、殻に籠って何も話さなくなる、ウソをつく、などの方法を取ることもあります)
もし、子どもに対して「なんで」と訊いた時にすぐに言い訳が返ってくるようだったら、このパターンがすっかり定着してしまっていると思った方が良いでしょう。
思い出してください、私がいつもお伝えしていることの1つに、
「繰り返したくさん経験したこと=上達する」
があります。
だから
「上達するためには、たくさん経験する必要がある」
「上達のために親ができることは、子どもがその経験をできる状況をたくさん作ってあげること」
ともお伝えしています。
親の「なんで」に子どもが言い訳を返すパターンが定着しているというのは、言い換えれば『言い訳を上達させる流れを作ってしまっている』
ということ。
親が子どもを“言い訳名人”に育ててしまっているのです。
そんなことを、望んでいなかったのだとしても・・・
もう一度、スタートに戻ってみましょう。
子どもがトラブル・問題を起こした。
→経緯を聞いて、原因を知って、再発を防いで、子どもの安全と幸せを守りたい。
ここまでは、おかしいところはありません。
でもここで「なんで」という言葉は使えません。子どもを言い訳モードに入れるスイッチになってしまっているからです。
また、苛立っていることに気付いたのなら、切り替えが必要です。親の怒りも、子どもにとっては
『自分を守る必要を感じる=言い訳に向かうスイッチ』
になっていますから。
ただ事情を知りたいという意図で、シンプルに尋ねてみましょう。
「何がどうなったのか、最初から教えてもらってもいい?」と。
子どもが話している間は、ゆっくり聞いてあげます。
子どもが話し終えたら、こんなふうに話を続けてみてください。
「なるほど、それでこういう結果になったんだね」
「この結果、アユムにとって、どう?」
「そう。じゃ、今度はどうしたらいいと思う?」
この流れを言葉にすると、
- 子どもが、起きたできごとを振り返る
- 子どもが、原因と結果を理解する
- 子ども自身の視点・価値観で、その結果を評価する
- (その結果が望ましくないものなら)別の結果を得るための、新しい方法を子どもが自分で考える
このような経験をする時間になっていますよね。つまり、“反省と改善の名人”を育てる、そんな接し方。
親の接し方ひとつで、子どもを言い訳に走らせるのか、反省と改善を引き出せるのかが大きく変わってくるということ、ぜひ胸に留めておいてくださいね。
余談をひとつ。お気づきの方もいるかもしれませんが、『言い訳名人の育て方』と、『反省と改善の名人の育て方』は、実はよく似ています。
言い訳名人の育て方を言葉にすると、
- 親が、起きたできごとを調査する
- 親が、原因と結果を分析する
- 親の視点・価値観で、その結果を評価する
- (その結果が望ましくないものなら)別の結果を得るための、新しい方法を親が子どもに指示する
こんな具合です。
さっきの「反省と改善の名人の育て方」の主語を、すべて“子ども”→“親”に置き換えると、「言い訳名人の育て方」になるのです。
よかったら、このことがどのような意味を持つのか、じっくり考えてみてくださいね。
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