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幸せはどこから?アドラー心理学が教える幸せを得る3つのヒント

人は誰しも幸せな人生を過ごしたいもの。そのための3つの大切な考え方を、精神科医のゆうきゆう先生がアドラー心理学を紐解きながら、易しく解説してくださいます。

自己受容・他者信頼・他者貢献

『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』第512回より一部抜粋

アドラー先生は、3つの考えを提唱しています。それこそが

「他者信頼」
「他者貢献」
「自己受容」
の3つ。
一つずつ説明します。

他人を信頼してみること。

「他者信頼」というのは、無条件で他者のことを信頼してあげなさい、ということ。たとえば、
「あいつの言葉は信じられない」とか
「あの人は適当だから何をやらせてもダメ」とか
「カレは絶対に浮気ばかりする」とか…。
そんな風に、他人のことを悪く思っているのではなく、他人にたいして、いい意味で期待をかけて、ソフトに接すること。
以前に
「どんな人間もカンペキではない」
「劣等感はあって当然」
と言いました。あなた自身、不完全であって当たり前。そしてそれとまったく同じように、他人だって不完全なのです。そのことをハッキリ認識して、必要以上に人に厳しくしないようにしてください。
「あの人はこうダメで」
「あいつは最悪で」
「カレは何をやらせても絶対に何もできない」
なんて風に、悪いところにばかり注目したり、相手はダメだと断定してはいけません。そう思うことは、何より自分自身の可能性を閉じていくことになります。たとえばですが、
「あの人は何をやらせてもスピードが遅いから、何もできないし、今後は見込みがない」
と考えていたとします。この場合、「自分自身」にたいしても、やはり何かで「スピードが遅くなってしまう」ということが続いた場合に、
「あぁ、じゃあ自分は何もできないし、今後の見込みがない」
と考えてしまうことにもつながります。結局、人を受け入れてあげることは、自分自身を受け入れてあげることにもつながります
また他の人をネガティブに考えたりすることは、それこそ自分と他人、ダブルで心配事を抱えてしまうことにもつながります。
たとえばチームで仕事をする場合。
「この仕事を自分が終わらせたら、あとは同僚が最終デザインを行って納品になる」
という場合。他人を信頼していないと、
「きちんとデザインができるのか」
「同僚がシメキリに間に合わなかったらどうしよう」
なんて風に、心配もどんどん増えてしまいます。その結果、自分自身の仕事の集中力も減ってしまう危険性もあります。とにかく「他人の力は問題ない」と考えてしまい、とにかく自分がやるべきことを全力でやることです。

社会は敵ではない。

特に大切なことは「社会を敵ではなく味方」と考えていくことです。みんながみんな、自分の財産を奪おうとしたり、自分を陥れようとしたり…。そんな風に思っていると、どんどん気持ちが狭まっていきます。もちろんですが、そういう人もいるかもしれません。犯罪者だって存在します。
しかし、だからといって「全体が悪」だとか「敵」だとか、考えるのはダメ。その先には何もありません
我々は、たった一人で生きていくことはできません。多くの人に助けられることで、この生活を続けていくことができるのです。根本的には、社会や他者を「味方」だと思うことです。

>>次ページ 劣等感があるからこそ前に進み続けられる

みんな、前に向かって進んでいける。

くわえてあなた自身が、劣等感があるからこそ、前に向かって進み続けられていくのと同じで、他人だって、劣等感ゆえに、やはり前に向かって進歩していくのです。
みんな、きちんと、いい方向に変わって行く。進んでいく…。
そう思ってあげることが何より大切です。それは結果的に、自分自身を受け入れることとまったく一緒なのです。
他人を、いい意味で信頼してあげること。
それこそが「他者信頼」なのです。

他人に貢献していくこと。

そして次が「他者貢献」。
結局のところ、人間は、社会の中で生きています。そして人間の最大の悩みは、人間関係にあると言いました。すなわち人間にとって最大の不幸は、
「自分はみんなに必要とされていないのでは?」
「自分がいなくても、社会は関係なく回っていくのでは?」
というような、強い「孤独感」です。それがさびしさになり、つらさにつながっていきます。これは多くの方が、納得できるのではないでしょうか。
すなわち、人間にとっての幸せとは、その「真逆」です。それこそが「みんなに必要とされること」なのです。

お金のためではなく、働く理由。

たとえば、それこそ
「私もアイドルになりたい」
「有名な人になりたい」
「大成功者になりたい」
「大企業の経営者になりたい」
と思う人は多いはずです。この目的は「お金」でしょうか? おそらく違うはず。その成功者と同じだけのお金をただもらうのと、その成功者そのものになること…。どちらかを選べと言われたら、大半の人が後者を選ぶはずです。
お金というのは、副次的なものに過ぎません。重要なのは、みんなに望まれる存在になること。多くの人に賞賛されたり、喜ばれる存在になることによって、何より本人が幸せになれるのです。
これこそが「他者貢献(社会貢献)」です。
精神医学者であるフランクルは、「他人のために尽くすことこそが、本人にとっての幸せにつながる」と言いました。フランクル自身、このアドラーから影響されているとされています。すなわちどちらも共通する部分があり、結局のところ、
「人間にとって一番の幸せは、人の役に立つこと」なのです。
これは決して、偽善だったり、いい子ぶってるわけではありません。
みんなが
「あなたがいてくれて本当に良かった!」
「あなたと一緒にいられて嬉しい!」
などと伝えてくれることは、誰にとっても幸せに感じられるのではないでしょうか。結局、誰かの役に立つことは、自分自身の最大の「存在意義」であり、幸福につながるわけです。

なぜ大企業は成長を続けるのか。

世の中には、たくさんの大成功した企業があります。我々にとって身近で分かりやすいところでは、ユニクロ、スターバックスなどの巨大チェーンがありますね。この社長、どうしてこんなに拡大を続けるのでしょうか。
たとえばですが、我々の感覚では、年収が1億円であっても、2億円であっても、それこそ10億円であっても、そんなに大差はない…と感じるはずです。
普通にゼイタクをして、不自由なく暮らしていくのなら、年収が数千万円あれば十分のはず。それ以上にチェーンが増えて、年収が倍々…になっていったとしても「だから何?」と思うのではないでしょうか。そう思うと、「なぜそこまでチェーンを大きくするの?」という疑問が湧いてくるはずです。
しかし答えはシンプル。
他者貢献(社会貢献)こそが幸せ」に感じるからです。
チェーンを拡大することで、今までその店舗がなかったところに、新たな店舗ができる…。それは結果的に、そのサービスを受けて、喜ぶ人が増えることにつながります。
それは社長や、そのグループの人たちにとって「貢献」であり「幸せ」なのです。そのため、大企業は、どれだけお金が儲かっても、関係なく、さらに拡大を続けていくわけです。働き続けていくわけです。
とにかく大切なこととして「お金のためではない」ということを覚えておくといいかもしれません。

>>次ページ 「ほめる」よりも「ありがとう」を伝える意義

ありがとうは、貢献の証明。

また以前に
「ほめる」よりも「ありがとう」と言うことが大切
ということを話しました。これはある意味、「他者貢献」につながります。相手の存在や行動にたいして、感謝を示すことで、相手は「貢献できている」ということを感じて、嬉しく思うことができます。それは「あなたは○○ができる」「△△が優れている」というような、シンプルな「ほめ言葉」より、ずっと相手を幸せにするわけです。
そういう面でも「お礼」や「アイ・メッセージ」には意味がある、ということを理解していただければ幸いです。

他人を信頼できるから貢献できる。

この「他者信頼」と「他者貢献」というのは、表裏一体の部分があります。どんな人でも「嫌いな人」や「ムカつく相手」にたいして「もっと貢献しろ!」と言われたら、イヤに感じるのではないでしょうか。すなわち「他者信頼」がない場合に「他者貢献」をしようとは、なかなか思えないのです。
しかし他者貢献なくしては、自分自身の幸せはありえません。だからこそ「他人というのは、信頼できるものなのだ」「他人というのは、いいものなんだ」ということを、無意識に感じておくこと。その前提で、他者貢献をしようという気持ちが、より強くなっていきます。
そして貢献すればするほど、他者にかけた労力が強いほど、
「他者は大切なものである」
ということが分かってきます。すなわちどちらが欠けても回らない、車の両輪みたいなものです。

それによって自分を受け入れることができる。

そしてラストが「自己受容」。これは自分自身に価値があると、明確に認識し、受け入れることを言います。
そしてこのためには、先ほどの「他者信頼」と「他者貢献」の二つが何より重要になってきます。どれだけ「自分は頭がいい!」「自分はカッコいい!」「私は能力が高い!」と自負していたとしても、それが周囲にたいしての存在意義として確立しておらず、ただ単に孤独を感じていたら、何にもなりません。心の中に、どんどんさびしさが増えていくだけでしょう。
とにかく人にために役に立ち、そして自分の存在価値を認識していく。そしてやはり、人のことを認めてあげる。この二つから、自分自身も認め、受け入れていくことができるわけです。
人間にとって、この三つは何よりも大切。アドラーはそう語ったのです。どうか覚えておいてくださいね。

 今回のまとめ。 「アドラー心理学5 ~自己受容・他者信頼・他者貢献」

○ 人間は他人を信頼すべき。

○ そしてその他人に貢献することは大きな幸せと感じること。

○ その二つがあって、自分を受容できる。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

 

『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』第512回より一部抜粋

著者/大和まや・ゆうきゆう(精神科医・心理研究家)
あらゆるジャンルの心理学を極めた、セクシーな精神科医たち。あやつる心理学のスキルは1000を超える。「ゾクゾクしなければ人生じゃない!」がモットー。読めば心が軽くなり悩みも解消されるメルマガを月に2回のペースで配信中。
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