中国で「反テロ法」成立。海外メディアのメールも検閲へ

 

すでに中国国内で、当局がメールを監視検閲していることは公然の秘密ではありますが、これを堂々と、海外メディアに対しても行うことができるようになるということが、「反テロ法」の恐ろしいところです。

加えて暗号化技術というのは、当然ながらIT企業にとっても企業秘密の部分であり、その仕組を教えるということは、非合法なハッキングなどでも、中国政府は通信内容を把握できてしまうということになります。世界中でやり取りされているメール情報は暗号化されていますから、メールが送信途中で盗まれたとしても、内容を見ることができません。しかし、そこで使われている技術がわかってしまえば、内容を復元することができてしまうわけです。

中国が反テロ法を立法化した政治目的については、国内外から主に次のような3点が指摘されてきました。

1 外国の中国企業や関連企業に対する「情報窃取」
2 ウイグル人をはじめ、少数民族(非漢族)の弾圧、虐殺の強化と正当化
3 言論統制、異議、異派の取り締まり強化と目的としての正当化

同様の手口は、歴史的にもよく見られます。たとえば、

1 易姓革命という物理的、暴力的手段を、国盗りや強盗行為の美化と正当化に利用
2 朱子学も陽明学も尊皇攘夷、華夷の分別から「異民族虐殺」を天誅だとして正当化
3 祖国防衛、公平是正、農奴解放などを理由に、対外挑発を民衆運動のテコとする

といったことです。

12月16~18日にかけて、中国の浙江省烏鎮で第2回世界インターネット大会が開かれましたが、この大会で、習近平は、「中国は平和、安全、開放、協力のサイバースペースの共同構築、多国間、民主的、透明なグローバル・インターネットガバナンス体制の共同構築を提唱している」と述べました。

中国のグローバル・インターネットガバナンス観

しかし、中国のネット環境、規制のどこに開放的で民主的、透明性があるというのでしょうか。まるで笑い話でしょう。その欺瞞が明らかなため、外国の要人はこの大会に全く参加しませんでした。

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