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【韓国】中国に裏切られた、朴槿恵大統領の憤怒と恨み

昨年、韓国サイドが「歴史上最高の友好関係」と語った中韓関係。ところが先ごろの北朝鮮によるミサイル発射等を巡り、中国は韓国に対して不誠実とも取れる対応を連発、朴大統領の失望ぶりも報道されています。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』はこの事態を「韓国の自業自得」と一刀両断、さらに「韓国はどの国からも信頼されずに沈んでゆく」と手厳しく分析しています。

【韓国】「中国に裏切られた」朴槿恵大統領の憤怒と恨み

核問題:朴大統領、微温的な習主席に失望

北朝鮮による核実験、ミサイル発射という事態を受け、これまで「歴史上最高の友好関係」と謳ってきた中国と韓国の間にすきま風が吹き始めています。今年の1月6日に北朝鮮が核実験を行ったさいには、韓国国防部は中国国防部との間に開設したばかりのホットラインでの協議を持ちかけましたが、中国側はこれを無視、ホットラインはまったく機能しませんでした。

つながらないホットライン…対中外交間違った?

その後、朴槿恵大統領と習近平主席が電話会談を行ったのは、北朝鮮の核実験から1カ月も経った2月5日のことでした。しかも当初、中国側は深夜12時という非常識な時間に電話会談をやろうと提案してきたといいます。

先の新聞記事では、こうした中国側の不誠実な態度に、朴槿恵大統領もついに「憤怒に近い失望感を見せたと伝えています。最近では側近たちに対して、「これ以上、中国に期待するな」と発言しているそうです。

これまで極端なまでに媚中姿勢を見せてきた朴槿恵大統領ですが、利害が対立すれば、中国が韓国の意向など簡単に無視することは明らかでした。中国にとって韓国は「かつての属国」であり、意見を尊重すべき対等な国ではないのです。その辺りを見誤った朴大統領の外交失策ともいえます。

韓国の外交当局者は、「『内外の反対を押し切って、中国の戦勝節記念式にも出席したのに、中国はこんなことをするのか』という朴大統領の恨めしさが、最近の決定にまとわりついているのは事実」と語ったそうです。

しかし、こうした裏切り行為というのは、韓国が頻繁に行ってきたことでもあります。1992年の中韓国交正常化の際、台湾に対して、「断交はありえない」と言いながら韓国車を売りつけ、その直後に台湾との断交を発表、「これは韓国の外交的勝利」などと自画自賛した過去は、台湾人の記憶に生々しく残っています。

また日本にしても、いくら日韓基本条約を結んで両国で「解決済み」と確認しても、執拗に過去のことを蒸し返し謝罪と賠償を求めてくることに辟易し、国内で嫌韓ムードが広がってしまいました。朴槿恵大統領は、就任直後から海外に対して日本の非を訴える「告げ口外交を繰り返してきた張本人でもあります。

その朴槿恵大統領が中国に対して「裏切られた」として憤怒しているというのですから、ミイラ取りがミイラになったような話です。やはり中国のほうが一枚上手だったといえるでしょう。

「事大一心」の伝統を持つ韓国は、実質的には「無力」であり、「他力本願の国風だと言えます。これははるか統一新羅以来の朝鮮半島の伝統です。これをどう克服するかが韓国の大きな課題なのですが、朴槿恵大統領もほとんど誰に、どのように事大するかしか考えていないようです。

これまでもメルマガで述べてきましたが、現在の韓国は清やロシア、日本の間を右往左往、右顧左眄していた19世紀末の大院君と閔妃の時代にそっくりです。

朴大統領は北朝鮮のミサイル発射の直後、アメリカが韓国への配備を求めている「高高度防空ミサイルTHAAD)」の交渉開始を決めました。これまでは中国の反対に配慮して、「THAADは配備しない」という意向だったものを大きく転換させたわけです。

これに対して中国の王毅外相は「THAADは中国を狙う剣の舞い」だと、項羽と劉邦の楚漢戦争における「鴻門の会」の故事を引用して批判しました。「鴻門の会」とは、項羽と劉邦が行った和睦交渉のことですが、この席上、項羽は従弟の項荘に剣の舞いを行わせ、劉邦を暗殺しようとしました。これに対して劉邦の軍師であった張良が気転を利かせ、劉邦の部下であった樊カイ(カイは口へんに會)をこの舞いに参加させ、劉邦を守ったのです。要するに王毅外相は、項羽をアメリカ、劉邦を中国に見立てて、「THAADでアメリカは中国を暗殺しようとしている」と言いたかったのでしょう。

THAAD:「中国を狙う剣の舞」 王毅外相が批判

また王毅外相は「司馬昭之心 路人皆知(司馬昭の心は、路傍の人でも皆知っている)」とも語ったそうです。これは三国志で有名な魏の曹操によって将軍に引き立てられた司馬昭が、4代皇帝・曹髦(そうぼう)を殺害、魏の簒奪を図ったことに由来しています。「隠していても野心はわかっている」といった意味ですが、司馬昭が魏の家臣であったことを考えれば、家臣の謀反、つまり「韓国の中国に対する裏切り」を批判しているとも受け取ることができます。

韓国人は独自のウリナラ史観(なんでも韓国起源説)をよく唱えるように、「夜郎自大の気質があることはよく知られていますが、山東省に進出した韓国系企業経営者などは、中国人の職工からも軽んじられることがあるため、トラウマを抱えていることも少くありません。そのことはメディアでもよく報じられています。

そのため、韓国社会では在韓の山東系華僑へのいじめや報復が横行しているといいます。逃げ場を失った山東系華僑は、たいてい台湾へ逃げ延びて来るため、そういう話をよく聞くのです。

それはともかく、頼みの中国経済が目下大減速の状態で、すでに中国につくメリットがなくなりつつある韓国です。なにしろ韓国の主力産業の20大企業グループの中核企業のうち、13社(65%)が減収で1兆ウォンを超える赤字を出しています。その分野もIT、鉄鋼、造船など、中国と競合する産業が多いのです。

未曽有の危機に直面する韓国経済、主力企業の65%が減収

とはいえ、今さら中国への傾斜をやめて、再びアメリカや日本に擦り寄っても、そう簡単には信用してもらえるはずもありません。どこからも信用されず友邦もなく沈んでいくだけでしょう。

韓国では今年から平昌オリンピックが開催される2018年までを「韓国訪問の年」と名づけ、日本人観光客の誘致に躍起となっています。2月17日からは東京で観光客誘致イベントを開催するようです。

日本で観光客誘致活動を展開 東京でイベントも=韓国

一方で、ソウル市では「親日人名辞典」の購入をめぐって、市と学校との間で揉め事が発生しているようです。ソウル市は同市の中学・高校に対して、「親日人名辞典」の購入を義務付けています。これは盧武鉉政権時代に編纂されたものですが、日韓合邦時に親日的だったとする人物の行跡を紹介したものです。要するに、「新日派を糾弾するための辞典です。朴正煕なども含まれており、韓国内でもあまりに人選が恣意的だと批判されているシロモノで、購入を辞退する学校が出たことが話題になっているのです。

「親日人名辞典、当校は買いません」

上記の報道では、この辞典の中高での購入を義務付けた背景には、「ドイツでナチスの過ちをありのままに教えるように、韓国も親日について徹底的に教育すべきだ」という理由があったとしていますが、つまり「親日=悪ということを子供に教えているわけであり、そんな国が日本人観光客をいくら誘致したところで、本当に増えるのでしょうか。

THAADの配備問題については、来週、米韓が協議を始めるようです。これに対して中国がどのような反応を見せるかということもさりながら、アメリカの韓国への態度、韓国のアメリカへの態度の変化などに注目しておくことで、今後のアジアのパワーバランスの行方が読めてくると思います。

THAADの韓国配備問題 韓米協議開始は来週の見通し

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image by: Wikimedia Commons

 

黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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