「石油はあと30年でなくなる」を最近聞かないワケ

2016.03.01
by NozomiK
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日本が経済発展するために欠かせない地下資源。「資源がなくなるから経済発展はそこそこにしよう」という声に対し、中部大学の武田邦彦教授は、自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、それは錯覚であると指摘。そして、実際に石油などの地下資源が枯渇する可能性はあるのか、詳しく解説しています。

日本経済発展のための第二の前提「地下資源の枯渇」

前回、これから日本が経済発展をするうえでの第一前提である「私たちは十分に豊かか」ということを考えてみました。最近ではしばしば「私は十分に豊かだから経済発展などしなくてもよい」という人がおられるからです。でも、先回整理したように私たちは平均的に1年で2500万円ぐらいの所得が必要で、日本ではそれはたったの1万人に8人しかいないことがわかりました。

つまり、簡単に言うと私たちはまだまだ貧乏なのです。

そして今回は第二の前提、「豊かにはなりたいけれど、資源がない。環境が悪くなる」とされることに真偽を確かめておきたいと思います。多くの経済学者は「資源や環境のことはわからない」ので悲観的になり、「どうも資源も枯渇するし、環境も悪くなるらしい。だから経済発展はそこそこにしなければ」と錯覚している人が多いからです。

まず第一に石油などの地下資源が枯渇する可能性があるかどうかを整理します。

よく「地下に埋まっているものは有限だ。有限なものを使っていくのだからそのうちなくなる」という考えが述べられますが、これはあまりにも荒すぎでなんの情報も与えません。たとえば、1年に100万円の貯金を下ろす人がいて、貯金が1000万円なら10年で貯金がなくなってしまいますが、貯金が10億円あるとなくなるまで1000年もかかります。だから、「地下にあるからなくなる」のではなく「どのぐらいあるか」が問題です。

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