いじめ防止法が施行されてから2年半が経とうとしていますが、相変わらず学校側の「いじめの隠蔽」は後を絶ちません。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、この法律に学校や教師に対する罰則規定がないことがそもそもの原因と指摘し、1日も早い改正を強く求めています。
いじめ防止法の改正を
3月16日、山形県天童市のいじめ自殺事件で、教師が懲戒処分になったという報道がなされました。
2014年1月に中1女子生徒が新幹線に飛び込み自殺をしたこの事件について、第三者委員会は、その原因をいじめであると結論付けました。担任と部活顧問は女子生徒が悩んでいるのを知っていたのに対処を怠ったこと、加えて、保護者が学校に相談したのにもかかわらず責任者に報告や相談をしなかった、と報道されています。これを受けて、山形県教育委員会が、担任と部活顧問を、減給10分の1(3か月)の懲戒処分にしたものです。
この懲戒処分に処したという姿勢は、大変評価できるものだと思います。生徒がいじめで自殺しても、大半のケースでは教師が懲戒されることがありません。その意味では山形県教委の「勇気」に心から拍手を送りたいと思います。
しかしながら、いじめを放置して死に追いやったことを考えれば、減給10分の1というのはあまりに軽すぎる処分だと言えます。
いじめ防止対策推進法は学校や教師はいじめに対処すべきと規定していますが、違反した場合の罰則規定はありません。法律を守らなくても何も責任を取らなくてもすんでしまうのが現状です。そのために、いじめを放置してしまう教師が出てくるのです。
このメルマガでも何度も主張していますように、いじめを隠蔽、放置、黙認、加担などした教師については懲戒処分が必要です。いじめ防止対策推進法に教師への懲戒規定を設けることがいじめによる不幸な事態を減らすことにつながります。
すでに、いじめ防止対策推進法(いじめ防止法)が施行されてから2年6か月近く経ちました。しかし、いまだにこの法律が徹底されていないという現実があります。
先般、「重大事態」に関する規定が守られていないという報道がありました。いじめが原因で、自殺や大けが、不登校など重大な被害が生じた「重大事態」は教育委員会から首長に報告しなくてはならないと決められています。しかし、文部科学省が調査したところ「重大事態」のうち特に重大な自殺などの事件の実に15%が首長に報告がなされていなかったことが判明いたしました。さらに言えば、文科省にも報告されず、首長にも報告されずに学校で握りつぶされた事件はこの数字には出てきません。深い深い闇が隠れているように見えます。
さらに、いじめ防止法ではアンケートなどのいじめ調査を行うことが規定されていますが、相談を受けていると「アンケートも面談も、うちの学校では一度もありません」という保護者もいました。
いじめ防止法は、いじめの防止、早期発見、いじめの対処などの対策についてさまざまに規定しています。しかし、この法律には「責務」はありますが、「罰則」がありません。これをよいことにして、「やらなくてもいい」と考えるとんでもない教師、とんでもない学校が出てきています。その結果、いじめ自殺事件が相次いで起きているという現状につながっています。
本来、「いじめ防止法」は子供たちの悲劇を予防するためにつくられた法律です。このままでは、いじめの予防につながらない形だけの法律で終わってしまいます。改正しなくては効果が期待できません。同法が定めるいじめ防止対策を実行しなかった場合の「懲戒規定」を定めることが不可欠です。皆様と共に、教師への懲戒処分の必要性を訴えてまいりたいと考えています。なにとぞ、ご支援、ご協力のほどお願いいたします。
いじめを絶対に許さないという意識を多くの方々にもっていただくために、セミナー、シンポジウムなどを通じて啓発活動を続けてまいりますし、いじめ相談も承っております。お子様に関して、気になることがございましたら、ご遠慮無くご相談ください。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
井澤・松井
image by: Shutterstock
『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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