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ドローン対策にNASAが動く。携帯電話基地局で管制するシステム開発中

ドローンの規制に頭を悩ます各国ですが、アメリカではNASAが民間とタッグを組んだ共同研究が進められています。そこから生まれた対策の1つが、携帯電話の基地局を利用しドローンを管制するシステム。まさに「その発想はなかったわ!」の内容が、小川和久さんのメルマガ『NEWSを疑え!』で紹介されています。

米で開発が進む携帯電話によるドローンの管制

米航空宇宙局(NASA)と米国最大手のモバイル通信会社ベライゾンは、小型・低高度の無人航空機(ドローン)の航空交通管制を、携帯電話基地局を用いて行う技術の共同開発を進めている。英ガーディアン紙がNASAに関連文書の公開を請求し、6月3日に報道した。

NASAとベライゾンは、シリコンバレーのモフェットフィールド飛行場にあるNASAエイムズ研究センターを共同研究の拠点としている。無人機航空交通管制の実験を今年の夏に開始し、2017-2019年には無人機とのデータ通信・経路情報提供・監視・追跡にセルラーネットワークを利用するための概念を固めるという。

NASAエイムズ研究センターで
無人ヘリを操縦する職員

米国では、連邦航空局(FAA)がまだ商業用無人機を飛ばすために必要な規則を決めておらず、NASAとベライゾンの共同研究も予備的な段階を出るものではなく、予算も5年間で50万ドル(6000万円)にすぎない。

FAAが今年2月公表した、商業用無人機に関する規則の案は、重量25キロ以下の無人機について、対地高度150メートル以下時速160キロ以下、操縦者または監視員の視界内で、日の出から日没までの間の飛行を許可する内容だ。

この案は、商業用無人機が操縦者・監視員の視界の外を、航空交通管制の下で飛ぶことを想定していない。

そのかわり、FAAはこの条件で飛ぶ無人機には耐空証明を求めず、商業用無人機操縦者に求める資格要件も、有人機パイロット免許や実技試験ではなく、簡単な航空工学の筆記試験や運輸安全局(TSA)の身元調査にとどめる方針だ。無人機使用者の負担が大きな規則はかえって守られず、取締りの費用が高くなるので、安全の範囲内で使用者の負担がもっとも少ない規則を定めるというのがFAAの方針だ。

米本土上空を飛ぶ約7000機の航空機
(FAAサイト)

>>次ページ 携帯電話基地局をドローン管制に使う理由は?

ホワイトハウス敷地(1月26日)と日本の首相官邸屋上(4月22日発見)への無人機落下事件が示しているように、無人機はいまのところ、メーカーがソフトウェアに設定した飛行禁止区域以外の地域には、どこでも飛行することが可能である。両事件で落下した無人機のメーカーである中国のDJI社は、米政府と日本政府の要請に従って、ホワイトハウスや首相官邸を飛行禁止区域に追加したが、NASAは特定区域への無人機の進入を、米政府がメーカーに頼らずに防止する技術の開発をめざしている。

飛行禁止区域を柔軟に設定するための技術は、悪天候時の飛行禁止、高層ビルとの衝突回避、混雑空域での衝突回避にも応用できる。

飛行制限を柔軟に実施するためには、無人機が飛行禁止区域、天候、他の航空機の位置などの情報を受信する必要がある。米国の航空交通管制は、すでに通信容量の限界に達しているので、低高度の無人機との通信は、セルラーネットワークを介したインターネット接続がもっとも適している。

FAAは米国の商業用小型無人機の数を、規則制定後1年目に3236機、5年目に7550機と予測しているが、NASAはそれに見合う予算を航空交通管制の研究開発に投入していない。それもあって、米国の無人機航空交通管制は、小型無人輸送機を開発中のアマゾンやグーグルを含め、NASAの共同研究の相手に有利なものとなる可能性がある。

ベライゾン・ワイヤレス基地局
(米空軍エドワーズ基地、2007年)

静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之

『NEWSを疑え!』第402号より一部抜粋

著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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