現役社労士が配信する無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』。今回は従業員のメールに対するモニタリングとプライバシーについてです。モニタリングは就業中のパソコンの私的利用を防ぐのはもちろん、最近問題になっている従業員による企業情報の漏洩やSNSによる拡散被害を未然に防ぐためにも効果的です。しかし、企業が従業員を監視する行為に法律上は問題ないのでしょうか?詳しく教えてくれました。
注意! メールのモニタリング
誰であろうと、他人のプライバシーを侵害することは許されません。しかし、御社の従業員に対して、どうしてもプライバシー問題に触れる事態が発生する場合があります。
今回は、メールのモニタリング。会社のパソコンやモバイルを使っての私的なメールやネット閲覧をしていないか、チェックする必要が生じる場合があります。最近は、SNSによる拡散なども問題となることが多い。
会社や取引先の名誉を傷つけたり、不利益を与えるような情報を流出させたり、ネットの掲示板上に、会社や取引先の誹謗中傷記事を載せたりする従業員も存在します。
今の時代、企業情報を守り、信用を失わないためにも、モニタリングの必要性は高まっていると思います。
もちろん、きちんとした社員教育を行うことは必要です。就業規則に、情報流出や会社の信用を失うような行為を禁止し、違反者には、懲戒処分を科す定めをしておくことも必要です。
しかし、それだけでは安心できない。情報流出等の未然防止のためにも、必要に応じてモニタリングができる仕組みを作っておくべきです。
モニタリング自体は、違法とはなりませんし、全面的に禁止されるような行為ではありません。
まずは、モニタリングに関する定めを、就業規則に定めましょう。このとき注意していただきたいのが、モニタリングとプライバシーの侵害との関係。
裁判では、「監視の目的や手段およびその態様等を総合考慮し、監視される者に生じる不利益と比較衡量して、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視が行われた場合には、プライバシー侵害となる」とされています。要は、「やりすぎはダメ!」ということなのですが、これではあまりに分かりづらい。実際に、どのようなモニタリングを行えば良いのか、よく分かりません。
そこで、モニタリングに関する「指針」をみてみます。実際にモニタリングを行うときには、この「指針」内容に則った実施を心掛けてください。
- 労働者に対し、実施理由や実施時間帯、収集される情報内容等を「事前に通知」しておくこと
- 個人情報保護に関する権利を侵害しないよう配慮すること
- 常時モニタリングを行うことは、労働者の健康及び安全の確保または業務上の財産の保全に必要な場合に限り認められる
- ただし、犯罪行為や重大な不正行為があると思われる「相当な理由」がある場合には、上記内容に則っていなくてもOK。そんな悠長なこと、言ってられませんもんネ。
以上を踏まえて、あらためて考えてみてください。
「注意! 従業員のプライバシー保護について」
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『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』
ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。
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