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30年ぶりの時を刻め! 昔懐かし「チクタクバンバン」を今さら遊び倒す

あの頃、俺たちを熱くした「昭和のオモチャ」をオトナ買い(落札)して振り返るシリーズ連載。前回の「野球盤」に続いて今回ご紹介するのは、当時の子供がみんな夢中になったボード型パズルゲーム「チクタクバンバン」です。家族みんなで楽しめるゲームとして人気でしたが、30年の時を経た今でも果たしてこのゲームで盛り上がることはできるのでしょうか。

時間に追われる日々は今も30年前も変わらない。僕らを夢中にさせた「チクタクバンバン」

急速な発展を遂げた80年代。それはオモチャたちも急速に発展した時代でした。従来の面子やけん玉、ベーゴマというシンプルなゲームから、より複雑なゲームがどんどん登場し、遊びの幅が急激に増えました。子どもたちはアニメや特撮番組の合間にジャカジャカ流れる珍しいオモチャのCMに心を奪われていったのです。

「新しいゲームを買ったから遊びに来いよ」

学校帰りに誘われることもあったのではないでしょうか。ゲームはひとりで遊ぶものもありましたが、当時のゲームの多くは友達や家族と遊ぶといった、コミュニケーション要素が強く打ち出されていたような気がします。

今回の昭和オモチャ、「チクタクバンバン」も友達を誘って遊びたいゲームです。

チクタクバンバンは1984年、野村トーイから発売されました。パズル要素のあるボードであり、4×4マス盤面上で線路パネルを動かし、前進する人形を常に移動させるようにするゲーム。盤面の上に自分たちが直接操作することができない第三のキャラクターを配置することで、スリリングなゲームとして人気を博しました。

でしょうか…?」

パッケージは思いっきりアメリカンなテイスト。本体側面にはこの司会者らしき人物による「アメリカからやってきた、エキサイティングなゲームです」という解説が刻まれています。本当にチクタクバンバンがアメリカ発祥なのかは定かではありませんが、アメリカのオモチャというだけで、最新のトレンドオモチャであるかのような錯覚を覚える、不思議な売り文句です。

今回落札したチクタクバンバンは、事前に「ベルト切れ」で動作不良のジャンク扱いでした。ゆえに1,000円という破格値(?)で落札できました。

パッケージを開封。保存状態はかなり良好で、この時代のオモチャの梱包品が揃っていること自体がミラクル。なんと説明書も付属しています。ただし、気になるのが手前に落ちている黒い部品

そう、これが切れたベルトの欠片です。ベルト不良とはいえ、その欠片までちゃんと同梱してくれるあたり、出品者様のご丁寧さが見受けられます。また、同時にこのオモチャは本当に大事にされていたのかもしれない。という前オーナーの心が垣間見えました。

この特集の趣旨は「遊ぶこと」です。たとえベルトが切れていようが、遊べるように修理していきましょう。

足なんて飾りですよ。チクタクバンバンの修理箇所を確認する

壊れていたのはでした。こちらが盤面を動き回る「チクタク(仮称)」。左右に足のようなものが見えますが、これはただの飾りで本当はお尻の部分にある車輪が回転して前進します。

本来であれば、こんな風にギアにはベルトが巻かれており、キャタピラのような強いグリップを生み出しながら盤面を前進していくようです。

しかし目につく問題箇所といえばそのくらいで、全体的な程度はすごく良いコンディションです。ただ、さすがに30年前の代物であるため、あちこちススけて黒ずんでいたり、ススが付着しているため、まずはそれらを除去するところから始めました。つまりクリーニングです。

パネルは拭いただけではどうにもならないことが判明したので、ワイドマジックリンにつけ置きしてたわしで洗い。天日干しで乾燥させます。盤面の土台部は大きなパーツだったので、アルコールを含ませたティッシュでクリーニングしました。

続いて修理箇所の確認です。チクタクの中はこんな風になっています。モーターがギアを動かしており、速さ調整はギアを手動で変えるというシンプルな作り。この底部の車輪を取り外して、ゴムベルトの代わりになるものを装着していくことにしました。

本当であれば、純正の保守パーツを手に入れたいところなのですが、発売元の野村トーイは1992年に米ハズブローに買収され、1998年トミー(現タカラトミー)と業務提携契約を結び、2013年にはブシロードに移行しています。継ぎ足しされた秘伝のタレのように、おそらく、野村トーイの要素はすでに元素レベルでも検出できなくなってしまっていることでしょう。そもそも、30年も昔のおもちゃの保守パーツが未だ残っているとは思えません。いざ、自作です。

ようはキャタピラでなくても、盤面を捉えるグリップがあれば良い訳です。まずは滑り止めシートを切り取って装着してみました。しかし、盤面の継目を超えることができません。グリップ力が足りないようです。

さまざまなパーツを試したのですが、結局付属しているゴムベルトを再利用するという方向に落ち着きました。左右のゴムベルトともに同梱されていたのですが、切れてちぎれて長さが足りていません

しかし、ゴムは伸びる性質と瞬間接着剤に非常によく馴染むという性質があるため、わずかに伸ばしつつ接着剤で貼り付けることで、足りない長さを補うことに成功。また、前オーナーの思いやりで詰め込まれたゴムベルトの残骸のおかげで、この子は足を取り戻すことができたのです。

再び時を刻めるか?チクタクバンバン

準備は整いました。動力源は単三乾電池2本。今回は贅沢にeneloop proを利用します。30年の眠りから目覚めるチクタクバンバンの姿をご覧ください。

長らく時間が止まったままだった時計は、今こうして元の姿を取り戻し。僕だけでなく、家族にまでたくさんの笑顔を与えてくれました。そう、アメリカからやってきたエキサイティングなゲームは、30年を経た今もなお、エキサイティングなままだったのです。

2016年、現在のチクタクバンバンは?

現在、チクタクバンバンはすでに中古市場でしか購入できませんが、ハナヤマから同様の商品である「ミッキーマウス チクタクタウン」が数年前まで販売されていました。こちらの方がまだ入手しやすいかもしれません。

あのおもちゃのその後

前回レビューした「ジャイアンツ野球盤BM型」。故障箇所を直し、遊べるようにした状態で「メルカリ」に出品しています。

今の所「いいね!」もコメントもゼロです。くすん…。

 

文/小暮ひさのり
ガジェット類が大好物。雑誌やWebで執筆しているテクニカルライター。群馬県在住で農業が趣味であるため「兼業ライター」と揶揄されることもあるが、本人的には農業1割、執筆9割。

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