日韓ユネスコバトル!世界文化遺産登録を、新聞各紙はいかに伝えたか?

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審査の段階から紛糾していた明治産業遺産がようやく世界遺産に決定しました。7月5日の新聞各紙は1面で報じましたが、新聞社の姿勢により微妙なニュアンスの違いが見られました。ジャーナリストの内田誠さんが『uttiiの電子版ウォッチ』で、その詳細を論じています。

明治産業革命遺産の世界遺産への登録決定! 新聞各紙はどう伝えたのか?

各紙1面トップは、明治産業革命遺産の世界遺産への登録決定のニュースで揃いました。軍艦島とか、三菱の巨大クレーンとか、八幡製鉄所とか。以下、最初に、報道されている基本的な事実を簡単にまとめます。そのうえで、まずは見出しのみに注目して、各紙の簡単な比較を行います。そのうえで、関連記事を含めた各紙の分析を行いたいと思いますが、今日の個別的な分析部分は、基本的には総てが(uttiiの眼)的なもの、つまり比較的主観性の強いものとお考え下さい。

【基本的な報道内容】

5日、ドイツのボンで開かれていたユネスコの世界遺産委員会は、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を、全会一致で世界文化遺産に登録することを決定した。今回指定されるのは、福岡など九州の5県と山口、岩手、静岡の計8県にまたがる23資産で構成され、軍艦島や三池炭鉱、韮山反射炉など、全体をまとめて「一つの遺産群」と捉える。三菱長崎造船所や八幡製鉄所のように現在も稼働し続けている施設が含まれている。

そのうちの7施設について韓国が「朝鮮半島出身者が強制的に働かされていたことを反映させるべきだ」とし、日本側は「設定された時期が違う」などと反論して日韓が対立していたが、日本側が、「1940年代に、「その意思に反して」一部資産に連れて来られ、「厳しい環境で働かされた」朝鮮半島出身者が多く存在したことへの理解を深めるための措置を講じる方針」を表明。「被害者を記憶に止めるため」の情報センターの設置を検討するとも述べた。韓国側も日本政府が、表明した措置を「誠意を持って実行する」ことを信じて全会一致に加わったと述べた。

【見出しの比較】

次に、各紙1面トップの見出し一行目について。

《朝日》■明治の産業遺産 登録決定■
《読売》■明治の産業革命 世界遺産■
《毎日》■明治産業遺産 登録決定■
《東京》■明治産業革命 遺産登録■

何が違うのかと訝(いぶか)っておられる方もあるかと思います。もちろん、違いは微妙です。

《読売》と《東京》が使っている「革命」の2文字を、《朝日》と《毎日》は、少なくとも見出し一行目という一番目立つところには使っていません

今回登録されるものの正式名称は「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」ですので、《朝日》《毎日》も記事のどこかに「革命」の文字は入っています。当然です。ですが、1面トップの見出しに「革命」の二文字を入れるか入れないかの選択は、今回登録されるものが「革命」つまり「社会構造を根本的に変えてしまうような大変革」を意味しているのかどうかについて、各紙、記者や編集者の感じ方には微妙な違いがあったからではないでしょうか。「革命」ってのは、ちょっと大袈裟なんじゃないの?というような
…。

考えてみれば、世界史上の「産業革命」は18世紀から19世紀にかけてイギリスで起こったただ一回きりの出来事のことであり、もちろん、続いて「近代化」した例を「産業革命」の名で表現することはあったとしても、それは一種の比喩に過ぎないとも考えられます。

さらに、イギリスがそうであったように、「近代化」を成功させるためには海外植民地の存在が不可欠だったとされ、まさしく今回、韓国が日本の産業遺産登録を目指す動きに対して常に批判的であった、あの論点と絡んできます。他民族である朝鮮半島出身者を強制的に働かせ、その犠牲の上に成り立ったものだという批判ですね。

「近代化」も「産業革命」も、なんだか掛け値なしで良いことというイメージですが、当時使われていた言葉で言えば「富国強兵」策そのもの。他民族への抑圧を前提にした帝国主義的な社会改造と同時並行のことであり、今に至る日本人の外国嫌い(その主な対象は中国と韓国・朝鮮で、逆に欧米に対しては卑屈な態度を取るのが特徴)と根っこを共通にするものでしょう。

では個別に。きょうはまず《読売》から。

>>次ページ  読売、東京、朝日、毎日の論調を比較

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