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なぜスタバのコーヒーは高いのに売れるのか?行きたくなる仕組みの謎

「マーケティングって難しい…」そんな専門書片手に挫折しかけている人に朗報です! メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の著者でコンサルタントの理央 周(めぐる)さんが、自身の経験、そして不動の人気を誇るスターバックスコーヒーの経営戦略から、最低限知っておきたいマーケティング「3つの掟」を非常にわかりやすく解説してくれました。

売ろうとするからなかなか売れない

アマゾン、マスターカード、フィリップモリス、ラッキーストライク……

私がこれらの企業やブランドの?中の人″として、25年間10社でマーケティングマネージャーブランドマネージャーとして仕事をしてきた中で1つ学んだことがあります。

それは、

売ろうとするとなかなか売れない

ということです。

マーケティングに従事していたのにおかしいじゃないか?と思われるかもしれません。

では、どうしたら売れるようになるのでしょうか?

それは、「売ろう!」という気持ちを、「売れるようにしよう」というマインド設定に変えていくことです。

言い方を変えると、売ろう=セリングSelling)を、お客様が「買ってくれる」ようにしようマーケティングMarketingと考え方を転換していくことになります。

マーケティングは難しい

みなさんはこの「マーケティング」をややこしく、難解なものだと思っていませんか?

私は根っからの『マーケティングおたく』で、フィリップモリス時代にアメリカのインディアナ大学(当時のランキング7位の名門校)にMBAを取得しに留学までしました。

この時は、企業派遣という制度も社内に無く、自費での留学でした。

現在は『コンサルタント』として経営者に、『講師』としてビジネス・パーソンに、「マーケティングは重要だけど同時に楽しくやれるものだ、ということを、すべてのメディアを使って伝えていく」ことを経営理念として活動しています。

セミナーの受講者は経営者や管理職の方が多いのですが、みなさん口をそろえて、

「マーケティングは大事だと思うけど、専門用語も多くてとっつきにくい」

「本を読んでみてもだいたい10ページくらいで嫌になってしまうのです」

とおっしゃいます。

しかし、複雑なマーケティング理論は、大企業のマーケティング部や大学の先生にまかせておいて、われわれビジネス・パーソンはもっと身近なところから始めていけばいい!と、常に伝えています。

ドラッカー先生が教えてくれた、「マーケティング」とは?

前号でも書いたように、ピーター・ドラッカー氏は著書の中で、

企業の使命は顧客の創造である」と言い、そのために必要なことは、「マーケティングとイノベーションである」と言っています。

イノベーションについては以降またお話しするとして、「マーケティング」をひとことで言うと「自然に売れる仕組みを創ることだ」とお話ししました。

では、どのようなことをすると、自然に売れていく仕組みが出来上がるのでしょうか?

スターバックスの売れる仕組みは?

私はスターバックスが大好きで、仕事の合間にひと休みをしたり気分転換を兼ねてスタバで原稿を書いたりしています。

以前、スターバックスでコーヒーを買ったときにあるキャンペーンをやっていました。

購入したレシートに書いてあるスターバックスのインターネットのサイトに行き、アンケートに答えると自分だけの番号をもらえ、その番号を持ってスタバにいけばドリンクが1杯無料になるという企画でした。

アンケートの内容はお客様満足度の調査でした。

スターバックスの基本戦略はやはり顧客満足度を上げること、特にバリスタと呼ばれる店員さんの対応や、100%ではなく120%やっているかを中心に質問していましたので、社員の個別対応に満足度アップのカギがあると考えていたようです。

これは、スターバックスにとって値引きやおまけつきのキャンペーンよりも、顧客満足度を上げることを最優先の課題にしているために、このような質問をしていたのだと推測できます。

そして、この調査に回答したお客様に、無料で1ドリンクさしあげるという、来店プロモーション=クーポンを実施し、お客様に再来店=リピートを促しています。

これは、スターバックスもお客さまもハッピーになれる企画だと言えます。

また私はスタバにはマイカップをもっていくのですが、先日忘れたことがありました。その時に店員さんが、

「今日はマイカップではないのですね」

と声をかけてくださいました。

スターバックスのコーヒーは、ドトールやカフェドクリエよりやや高めですが、落ち着いた雰囲気とコーヒーのおいしさに加えて、このお客様に対する姿勢で選ばれる」ファストフードのカフェになっています。

飲食店のマーケティング活動でも、再来店をしてくれるお客様はとても大事なお客様です。そして、大事なお客様は値引きやおまけよりも、丁寧な対応や落ち着ける店内、そしてなにより食べたり飲んだりするメニューのおいしさを評価してくれるお客様だといえます。

このようなキャンペーンを実施することによって、重要なお客様であるリピーターの来客促進と同時に顧客満足もあげることができますよね。

スターバックスは「Third Place」、人の第1の場所である「家庭」、第2の場所である「職場や学校」に続いて、落ち着いて楽しんだり勉強や仕事ができる第3の場所を提供しよう、という意味です。

この理念を元にしての、様々なサービスや販売促進が、スターバックスへのゆるぎないロイヤルティ(=忠誠心)につながって、カフェといえばスタバだな、と一番に思い出してもらえるようになっています。

すなわち、売れる仕組みですよね。

大企業のスターバックスのこの企画を、中小企業や個人事業主が運営する飲食店やサービス業でも少しアレンジして取り入れてみると、自然と来店してもらえる“来客の仕組み”を創ることができます。

マーケティングの中身は3つだけ

では、どうしたらスターバックスのような売れる仕組みを創り出すことができるのでしょうか?マーケティング本を買い漁って、専門用語と理論を習得すること。それも大事ですが、私はいつもマーケティングの基礎講座で、“マーケティングに必要なのは3つだけ”という話をします。

それは、

の3つです。

マーケティングを本格的に学ぼうとすると、4P、3C、STPといった専門用語や、難解な理論が多く出てきます。でも、マーケティング活動を構成しているのは、基本的にこの3つだけと言っても過言ではありません。

この時に、1点だけ注意するべき点があります。それは、まずは“何を”と“誰に”を最初に徹底的に考えて決めることです。そのあとに“どうやって買っていただくかを決めるということです。

なぜなら、最後の「どうやってプロモーション」というのは選択肢が多いので、本当に買ってくださるお客様に届かなかったり、自社の強みを十分に伝えられなかったりするからです。逆にいうと、多すぎる手段に「振り回されてしまう」からです。

私がアマゾン時代に担当した初のマスメディアキャンペーンでは、

『アマゾンで買う人ってやっぱりネットのヘビーユーザーだよね』

『他社がやってない送料無料キャンペーンが、アマゾンの強みだからここをプッシュしましょうよ』

というような議論を徹底的にして、ターゲットと自社プロダクトの強みをきっちりと決めます

『じゃあ、テレビ媒体よりも詳細を伝えることができる新聞での広告がメインだよね』

『お客さんは箱を開けるときが一番うれしいから、デザインはいっそロゴと箱だけで表現しようよ』

などと、自社の強みが響くお客様が見ている媒体を選び広告をうつ、すなわち「どうやって、何を伝えるか」=いわゆるプロモーションを考え始めることになります。

お客様に何を買っていただくのか、ということが、ビジネスのすべての起点になります。

あなたのビジネスがうまくいかなくなってきたら、まずは自社の製品や商品やサービスが正しいかどうかを見直すことから始めてください。

image by: SirinS / Shutterstock.com

 

理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】

著者/理央 周(めぐる)

あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。
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