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なぜ日本ではドローンを利用したビジネスがここまで流行らないのか?

人気コンサルの永江一石さんが、さまざまな質問に答えてくれる人気メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』。今回の質問は話題の「ドローン」を使ったビジネスについて、類似する内容の質問が2名の方から、永江さんの元に寄せられたそうです。日本では墜落事故や航空法違反の撮影ばかりが話題になりがちですが、「空撮」にはビジネスとして成功する可能性はあるのでしょうか?…果たして、永江さんが出した結論とは?

ドローンビジネスのマネタイズは可能か?

Question

ドローンには、大きくホビー、エンタメ、業務用途とありますが、空撮や測量を筆頭に業務用途の広がりはとても大きい見込みのものの、現状大した需要もなく、儲かってない供給者も多数です。

当初マッチングサービスなども考えたことがあるのですが、時にコンタクトをもらうクライアントですら、まともにドローンの活用用途がわかっていない状態でして、現在の状況下で、自分の意思で調べに来ない人にリーチして何かビジネスにつなげるのはかなりハイレベルだと思ってます。しかし、点検や測量などコスト削減に直結する分野もあるのは事実です。

そもそも顕在的な需要がない(ユーザが発見できてない)のにマッチングしてもただ仕事の取り合いになるなと思い、まずは、なんとか需要を増やすようなサービスを提供し、結果的に供給者が潤える仕組みを作れないかと考えています。

1つ考えているのは、超泥臭いのですが、供給者側のドローンによるクリエイティブを徹底的に観察、評価、解説、わかりやすいカテゴライズすることで、クライアントになり得る人がリーチしやすい形にして、供給者側に不得意なアピールを目利きとして代わりにやるようなサービスです。

例えば、どこかのお城の空撮映像の場合は、お城カテゴリの空撮、絶景タグとかで引っ張るだけではなく、場所に関する詳細情報、映像の解像度や品質、見どころの秒数表示やサマリ、使ってる機材や撮影テクニック、どういう会社やユーザーが見るべき動画か、映像からはわからない情報、ストーリーは直接当事者にインタビューします。ここは有料もあり得るのですが、マネタイズは核となる価値が決まったら考えようと思ってます。

サービスの方向性やどうこの潜在的な顧客を集客していくのが良いか、アドバイスがあればいただきたいです。長文恐縮です。よろしくお願いします。

また、別の方から同様の質問をいただきました。

ドローンを活用したイベントでの「空撮」ビジネスを始めたい!

Question

現在福岡のIT企業で勤務しているサラリーマンですが、将来的にドローンを活用したビジネスをフリーで展開したいと考えています。

ドローンに目をつけたのは現在話題性があるからというのもありますが、ここのところ事件・事故が続いて規制も厳しくなっており、ビジネス活用を考える人はあまり多くないのでは?と考えました。

ただまだドローンに対する知識も技量もなく、かつ市場調査も十分でない為、まずは現在の仕事を続けながら副業として可能性を探り、独立へ道筋を作っていきたいと思っています。

そこで永江さんに質問です。
ドローンを使ったビジネスとしては「空撮」をベースに考えたく、ありきたりなものも含め以下の様な感じです。

 ・学校の卒業/入学などのイベント用PV撮影
 ・結婚式のPV撮影
 ・現場の調査撮影

ありきたりな内容ではありますが、自分はこの様な撮影風景を見かけたことはなく、まだまだ参入者は少ないのかな?と思っています。永江さんはどの様に感じられていますか?

またIT企業勤務の経験を活かしたく、「撮影画像を画像解析する」等の何かソフトウェアを絡めた独自性を出したいと思っています。「こんなのあると良いよね!」の様なアドバイスを頂けると大変嬉しいです。

永江一石さんの回答

ドローンについてお二人からご質問をいただきましたので、同時に回答します。
最初に結論を申し上げますが、正直ビジネスとしては難しいと思いますね。まずドローンのマーケットがどこにあるのかから考えると、大きく分けて1つが「ドローン本体の販売」、もう一つが「ドローンを用いた撮影や測量など」でしょう。

ただ日本では航空法で人口密集地の上は飛ばせないし、150メートル以上の高度もとれません。30メートル未満の高度も違法です。

前者でよく知られているものにPHANTOMというシリーズがあります。

種類は様々ですが、イベントやお城の空撮用であれば約20万円で購入できるんです。それくらいなら一眼レフや高級コンデジと大差ないので、わざわざ外注するかという問題がありますね。

次に後者ですが、わたしも以前軍艦島の空撮DVDをクラウドファンディングで購入しました。ただ、それは無人島の空撮なので可能でしたが、人が大勢集まるイベントの撮影となると話は別です。2つのご質問に共通しますが、「エンタメ」「イベントのPV撮影」「結婚式のPV撮影」などの使用はほぼ不可能だと思いますね。なぜならドローンはどうしても墜落リスクが拭えないし、航空法でそもそも違法になります。

わたしも以前学校のPV撮影でドローンを使ったらどうかと思い、知り合いの学校関係者に打診したことがあるのですが、万が一墜落して生徒に当たる可能性を考えると難しいと言われました。また、わたしのクライアントのサーフィン用品販売店でもドローンを所持していますが、練習中に2度ほど墜落したことがあるそうです(人気のない河川敷の練習時に)。

アメリカなど海外ではドローン人気は高く、釣りに使ったりドローン同士をぶつけあって競うドローンバトルなど趣味での用途は多岐にわたっています。ただそれは人口密度が日本ほど高くなく、基本的に「何かあっても自己責任」という国柄があればこそであって、日本ではかなり難しいでしょう。

後は軍事利用や自衛隊の偵察などのニーズはあると思います。よく「ドローンといえば小型のラジコンヘリでしょ」という人がいますが、世界中で一番有名なドローンは米軍の偵察爆撃機ですよ。ドローンって実は今から約20年前から実用化されていて、最も初期に米軍に実戦配備されたのが「MQ-1 プレデター」です。ドローンの軍事利用について詳しくは以前ブログに書きましたのでご参照ください。

まとめると、いま世界のドローン市場の99%は軍事目的ですので、民事でビジネスとしてやるには市場が狭い。加えて、墜落リスクを考えた時に日本という国柄では場所の面でも心理的な面でも非常にハードルが高いだろうと思います。

image by: Shutterstock

 

永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ
著者:永江 一石
商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。
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