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日本で惨敗した「イケア」が、なぜ20年後の再進出で成功できたのか?

日本で惨敗した「イケア」が、なぜ20年後の再進出で成功できたのか?

米国ビジネスモデルコンサルタントの 清水ひろゆきさんが、世界の成功企業の経営戦略を紹介するメルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』。今回は、スウェーデン発祥の世界最大の家具メーカー「イケア」が執拗なまでに「低価格」にこだわる理由を探ります。多くの人を惹き付ける「イケア」の魅力は意外なところにありました。

北欧企業イケアが低価格にこだわるライフスタイル提案とは!?

素敵な暮らしのお役に立ちたい

この言葉をモットーに全世界で年5億人以上の顧客が買い物するスウェーデン発祥の世界最大の家具メーカーイケア

同社は今やグループ売上高4兆円、純利益4000億円、従業員数15万人以上に及ぶ未上場オーナー企業ですが、この会社、日本においても積極的にビジネスを展開し、顧客の支持を集めています。

創業は1943年、もとは1920年代、創業者のイングヴァル・カンプラードが5歳で近所の家々にマッチを売り始め、7歳になる頃には自転車で訪問販売を開始、17歳で優秀な学業成績を収めたご褒美に父親から貰ったお金で立ち上げたことから始まりました。

その後同社は1974年に一度、三井物産や東急百貨店と合弁で日本に進出し2店舗を展開し1986年に撤退した失敗の経験もあります。

が、日本再進出を果たし、今成功を収めています。

ではなぜイケアは一度失敗した日本で再び消費者の支持を得ることができたのでしょうか?

それは、イケアが自社の経営哲学イケアウェイに沿ってローコスト戦略を実直に実践することで、低価格を実現し、素敵な暮らしというライフスタイル提案を通して、顧客満足を獲得し続けているからです。

イケアが<低価格>にこだわる本当の理由は??

経営哲学=イケアウェイとは?

イケアは

原材料を最大に活用し、人々のニーズや好みに応じて製品を最適化することで、低コストを実現し、節約したコストをお客さまへ還元する」

ことと定義しています。

つまり、イケアウェイの実践とは?

イケアの存在意義でもあり、それは、お客さまが、イケアが提供する北欧を起源とした商品デザインにより、そのシンプルな美しさ体温を感じさせる暖かさと共に機能的高品質且つ現代的耐久性に優れた商品を、低価格で手にしてもらうことでもあります。

ではなぜイケアは低価格にこだわるのでしょうか?

それは、お客さまが、低価格という敷居の低さにより商品を購入し、その商品に付随した多様な価値(先述)に気づいた時、実はそれらが全て低価格であったと再認識することで期待を超えた価値はリピートを喚起することが可能だからなのです。

イケアのローコスト戦略はお客さまのメリットをも考えている!!

イケアは低価格を実現するために、ローコスト戦略を用いていますが、それはお客さまのメリット(*印部分)も生み出しています。

原材料コストダウン
イケアは、環境の観点から使用持続可能な地元北欧の松の種類の丸太をチップとおがくずから高密度軽量(*お客さまが持ち帰るために)の原材料となる建材(パーチクルボード)をつくり、自社の1万品目を越える商品に共有することで、原材料コストをダウン

配送コストダウン
イケアは、自社にいる20人のデザイナーにどのような商品も梱包仕様
(「フラットパック」と呼び、*持ち帰れる最大重量36キロまでを限度)を遵守するというルールのもと、配送トラックの積載効率(梱包仕様により積載量を最大化)を高め、配送コストをダウン

人的コストダウン
イケアは、40万平方メートルにも及ぶ本社物流センターのほぼ無人化を達成すると共に、店舗をワンウェイ(一方通行)導線にし、*欲しいものが欲しい場所に欲しいときに見つかる商品陳列(一方通行のため同一商品を再度違う場所に陳列する)を施し、人の配置を最少にすることで人的コストをダウン

イケアは経営哲学=イケアウェイのもと、大量生産をしつつも、環境を意識し、継続可能な原材料で商品を提供することで、お客さまの支持を集めています。

が、今後イケアが深く取り組まなければいけないのは、原材料を軸として環境に配慮した生産の仕組みにより商品を絞り込みつつも利益を生み出せるビジネスモデルの構築です。

なぜならイケアの経営哲学に沿って「節約したコストをお客さまへ還元した」としても、それが大量生産大量消費大量廃棄の流れの結果であれば会社の存在意義が問われる時代が今来ているからです。

<少量生産・高付加価値を可能にする3rdビジネス>を発信する清水ひろゆきFBオフィシャルページ

 image by: Shutterstock.com

 

『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』

著者/清水ひろゆき(H&Hコンサルティング)

日本の上場企業トップと同行し米国優秀企業を紹介した米国ビジネスモデルコンサルタントが、そのトップだけが持つ独自の視点で利益を生み続ける現場演出から分析。日本の優秀企業が、米国企業から導入し、顧客を喜ばせた「オンリーワンになる法則」を事例で解説。<少量生産・高付加価値を可能にする3rdビジネス>を発信する清水ひろゆきFBオフィシャルページ
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