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米国にピザやブリトーの自販機が登場。「自動化するアメリカ」の裏事情

東京都内の駅構内などでよく見かける自販機には、人の表情を読み取って、各自おすすめの飲料水を薦めることができるものもあり、自動販売機大国として、一歩先をいっています。一方で、欧米では多様化する食文化にともなって、自販機や寿司ロボットなどの「自動化(オートメーション化)」が加速しています。

ピザの自販機や寿司ロボット。「自動化」するアメリカ

消費者たちが職人たちによって丹念に作られた「スロー」な食事を求めているこの時代。

Bloombergによると、そんな時代を逆走するかのように、米国ではピザやブリトーの自販機が人気だというのです。

すでに寿司を作るロボットも、アメリカのレストランや大学のカフェテリアに導入済みです。

まさにアメリカでは「自動化」が進んでいるようなのです。

ピザの自販機「24/7 Pizza Box」

image by: 「24-7 Pizza Box」公式フェイスブック

世界で1番小さなピザ屋」を謳ったピザの自販機です。

こちらは前述の「Burritobox」とは違って、ブランド化されていないので、業務量の自販機になります。

ローカルのピザ屋や、加工食品会社は自分たちの商品をこの自販機を通じて売ることができます。

フロリダやシカゴのピザ屋がこの自販機を試験的に使用中とのこと。

今年、フロリダ州で導入される予定だそうです。

1つの自販機には108枚のピザを貯蔵でき、また40秒〜1分以内に温め可能。

この自販機の値段は約3万ドル(約313万円)ですが、100件以上のオーダーを受け付けており、2017年には2500台以上が売られる見込みだそうです。

ツイッター上では色々な反応が。

「たぶん自販機からは買わないなー」

「ピザの自販機、最高!」

「ピザの自販機?なんて時代に生きているんだ!」

 手作りのブリトーが自販機で買えちゃう「Burritobox」

image by: Burritobox

2014年にロサンゼルスにお目見えしたのが、メキシコ料理ブリトーの自販機「Burritobox(ブリトーボックス)」。

熱々のブリトーにワカモレ、サルサ、サワークリームとホットソースが添えられてでてきます。

すでに現在ではハリウッド近郊やウィスコンシン州などに25台のブリトー自販機が設置され、さらに今後は50台以上が設置予定とのこと。

あのニューヨークの中心街「グランド・セントラル駅」でも通勤者のための自販機が置かれる予定だそうです。

創立者は30歳のデニス・コチ氏。

「これは自販機ではなく、“自動化されたレストラン”なんです。このブリトーは手作りなんですよ」

この自販機で売られているブリトーは、レストランで出すものと同じキッチンで作られたもの。

キッチンで作られたブリトーは鮮度を保つために急速冷凍し自販機に入れる前に解凍します。

スタッフが1日1回鮮度確認を行うそうです。

綿密なプロセスを経ての自販機販売。

このオレンジ色が目立つブリトーボックスは、”ハイテクを越えた”自販機と呼べそうです。

タッチスクリーンはもちろんのこと、携帯の充電器付き、そしてトラブルがあった際にはオンラインでのカスタマーサービス部隊を設置しています。

そして、ブリトーが出来上がるまでにはたったの90秒しかかからないそうですし、待っている間にはミュージックビデオを楽しむこともできるとのこと。

さらに嬉しいのはあまーいシナモンロールで馴染みの「Cinnabon」も購入できるそうです。

恐るべしブリトーボックス。

隙のないサービスで顧客を魅了するのも納得です

そして、ツイッター上では盛り上がりをみせています。

「私の部屋にブリトーの自販機欲しいよ〜!」

「ブリトーの自販機だってよ。本当だぜ」

「アメリカにいる誰かが最高のアイデアを実現したよ。みんな、ブリトーの自販機だって!」

「自販機から熱々のブリトーをゲットできる世界に住みたいと思ってたんだよね」

「必要なもの:ブリトーの自販機!」

回転レーンと握り寿司マシーンを導入した「Sushi Station」

image by: Sushi Stationの公式フェイスブック

米イリノイ州にある回転寿司「Sushi Station」では、ドーム型ケースの回転寿司レーンを導入しています。

この回転レーンにかかった費用は1万9千ドル(約200万円弱)。

握り寿司を作る機械も使用

1日に約1000巻を作っています。

2009年には、国際食品工業展「FOOMA JAPAN」でロボットシェフが紹介され話題となりました。

人間嫌いな若者の需要もあり、自販機ビジネスは右肩上がり

IBISWorldの調査によると、アメリカの自販機ビジネス7.52億ドル約902.4億円)までのぼりつめてきました。

売り上げは、昨年比3.3%も上昇し、2020年までには毎年平均で1.8%の収益増加が見込まれているとのことです。

「出来たてホカホカ」の食事ではないにも関わらず、消費者は利用する傾向が増加しているようです。

こうした「自動化するアメリカ」の背景には若い世代の背景が

ジェネレーションY」と呼ばれる、1980年代から1990年代にかけて生まれた世代の需要があるようです。

彼らは、アマゾンなどのオンラインサービスやアプリから物を購入することに慣れていて、出来るだけ「人との接触を避けたい」という傾向にあるのかもしれません。

その「人間嫌い」な消費者たちのために、マクドナルド、パネラ・ブレッドやCKE Restaurants などの大手ファーストフードチェーンが、キオスク形式であったり、タブレット端末を設置しているのも納得ができます。

また、Chili’sやOlive Gardenなどのカジュアルダイニングチェーンでは、テーブルにタッチパネルのタブレット端末を設置することで、ウェイターを待たずとも支払いを完了させることができます。

人件費の高騰も自販機産業をヒートアップさせている要因のひとつのようです。

今年の初めに14州が最低賃金を上げました。

ニューヨークでは2018年中に、カリフォルニアでは2022年までに、一時間の最低賃金を15ドルに設定することが決定されています。

今後も益々加速する飲食業界のオートメーション化ですが、もはや自販機ではなく自動化されたレストランとも呼べそうですね。

ピザやブリトーだけでなく、恐らく今後もどんどんバリエーションが増えていくことでしょう。

近所に一台でもあれば、お店やレストランに行かずとも食事の準備ができて多忙な現代人にとって大助かりですよね。

今後の米国のオート化市場の行方はいかに?

image by:
 「24-7 Pizza Box」公式フェイスブック

source by: Bloomberg, IBISWorld
, ビジネスインサイダー , TODAY

文/臼井史佳

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