本に囲まれて育った子ほど稼げる? 直木賞作家・石田衣良の想い

 

─ 本を読む環境を用意することはできるけど、子どもに「読ませる」という考えは捨てた方がいいんですね。

衣良:人間、集中して長時間できるのは、たのしいことだけなんですよ。なので、本のなかにどうたのしみを見つけるかというのが一番大事で、読ませるというのは、それ以降のことじゃないですかね。

─ 環境ということではご両親はどうでしたか?

衣良:ちなみに、うちはそういう環境はまったくありませんでした。逆にその足りない部分をぼくが埋めるという感じで世界のいろんな小説や文学を読むようになったという感じなんですよね。

─ 衣良さんは兄弟の中で真んなかですよね。お姉さんと妹さんはどんな感じでしたか?

衣良:やっぱりそんなに読んでいなかったですね。やっぱり家族ってそこの家の欠けているところを補おうとして自分の専門のジャンルを決めていきますよね。ぼくの場合はそれが本の世界だったんじゃないかなと思いますけれど。

─ このデータの真偽はさておき、活字にふれるというところは突破してもらいたいですね。

衣良:格差社会だっていうけれど、今ぼくたちが見ている格差社会は、たとえば中世のころ、農奴として生まれたら一生農奴で雇われたままで死んでいったのとは違いますよね。今の格差社会なんてものすごく紙のようにうすっぺらいものですから、個人の才能や努力でいくらでも突破できるんですよ。なので格差がひどくなったなんて嘆いていないで、自分の力をもっと磨いてほしいですね。古代の格差なんてとんでもないよね。誰かのお墓のために200万、300万もの人を使ってピラミッドを作るんだから。「もうピラミッド作りたくない」っていったら殺されちゃうんだよ。それにくらべたら、いろんなことがよくなっていると思います。

聞き手 早川洋平(プロインタビュアー)


「格差社会は個人の才能や努力でいくらでも突破できる」という言葉、なんだか救われるようですね。このコーナー、メルマガ本誌では上のテーマに続いてアップルミュージックと小説家の未来の関係性、捕鯨問題、成人年齢引き下げなどについて語られています。

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0001660015c石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」
著者:石田衣良
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 石田さんの直木賞受賞作

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