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たった10文字。相手が気分良く「反論」を受け入れてくれる魔法の裏技

交渉の目的とは、言うまでもなく「合意」に持っていくこと。しかし、こちらの主張を通すことばかりに注力してしまい相手の意見を否定しまくった結果、決裂してしまうこともままあります。それでは元も子もありませんよね。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、そんな状況に陥らないための「ポジティブ反証法」が紹介されています。

反論せずに反論する方法

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

交渉やセールスにおいて、非常に難しいのが、相手に「反論」をすること。反論は、双方の価値観が正面からぶつかり合う場面。結果、話し合いが完全に決裂することもよくあることです。

もちろん、交渉相手とは利害が対立していますから、相手の意見すべてに同調するわけにはいきません。しかし、交渉のそもそもの目的は、相手を否定することではなく合意にもっていくこと。決裂してしまっては、目的は達成されないことになります。

そこで今回は、反論に付きまとうネガティブさを避けながら、自分の意見をしっかり主張する方法を紹介します。名付けて「ポジティブ反論法」です。

その方法は、セールスを例にとるとわかりやすいと思います。たとえば、今あなたは、中高年の、どちらかというとお金持ちの女性に、自社が作る高級な指輪を買ってほしいと考えているとします。そこで、その指輪がいかに良いものであるかといったセールスポイントを挙げながらアピールしました。

すると「でも、デザインがちょっと派手じゃない?」「私の年齢では、もうこういうのは似合わないわ」と、断られました。

もし、ここで「いいえ、このデザインは全然派手ではありません」「その見方は間違っています。この指輪は年齢が高くても似合います」と反論すると、どうでしょうか。これでは、相手の意見を正面から否定することになります。相手の気持ちは簡単に変わらないでしょうし、下手をすると気分を害し、その時点で決裂です。

こういった事態を避けるひとつの方法として、デザインの話はいったん横において、それ以外の良いところを押すという方法もあります。例えば「でも、今なら値段を安くできます」「使っている宝石の品質が良く、保証書も付いています」。この場合、相手の価値観とは衝突しないものの、相手が最も気にしているマイナスポイントはそのまま放置されます。アピールによって「それなら買おうかしら」とはなりにくいでしょう。

ポジティブ反論法は、相手がマイナスに見たポイントをプラスに転換するものです。相手の意見をひとまず認め「だからこそ、よいのです」という形で展開するのが基本です。

たとえば「デザインが派手だ」と言われたのなら「だからこそよいのです。きらびやかな宝石を身に着けることで、見た目が若くなりますよ」「若々しさは、外面と内面両方から出てくるものですが、若々しいものを身に着けるからこそ、内面から若くなるのです。これは、心理学の法則です」と話を展開します。

ここでは、デザインに関する相手の見方、価値観は否定せず、同じ要素についてポジティブに転換しています。この方法なら、相手の意見を尊重しつつ反論をすることができるでしょう。

人気のラーメン屋に奥さんや彼女を誘ったら、「30分も待つのは嫌だ!」と言われたとします。

「今回は、待つからこそいいんだよ。30分間、何もすることがないから、全然決めてなかった夏休みの予定をそこで決めちゃおうよ。ちょうどいいじゃん。楽しい予定が決まったところで、おいしいラーメンが来る。最高だよ!」

最後に、ポジティブ反論法を成功させるコツをもうひとつ。それは、ノーを言われることを前提に、相手の典型的な断り言葉を想定しておくこと。そして、断りの言葉をポジティブに転換する想定問答をたくさん用意して交渉に臨むことです。想定通りの理由でノーを言われたら、「よし、うまくいった」と思えるくらいの準備で臨むとよいでしょう。

「YESかNOで、答えろ!」(ゴルゴのlineスタンプ)

今回は、ここまでです。

image by: Shutterstock

 

弁護士谷原誠の【仕事の流儀】
人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などでもお馴染みの現役弁護士・谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。
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