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特別対談 小林よしのり×ケント・ギルバート第二弾「都知事選で痛感。日本人の衆愚化と貧困化」

『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』などを代表作に持つ漫画家の小林よしのりさん。特に時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」では、漫画を通して今の社会に問題提起を続けています。そして、米国カリフォルニア州弁護士でありながら、日本のマスメディアでもコメンテーターとして人気のケント・ギルバートさん。ともに社会問題、政治問題に対して独自の意見を述べ続けてきたお二人が、様々なテームについて熱く語り合うスペシャルトーク第二弾。お二人の有料メルマガ『小林よしのりライジング』『ケント・ギルバートの「引用・転載・拡散禁止!」』をご購読いただいている読者限定で公開する対談を、今回は特別にほんの一部だけお見せいたします。好評だった第一弾のインタビューに続いて、第二弾では「都知事選騒動」について熱く語ってくれています。公費を使い込んだ舛添氏を批判しながらも「貧困層が広がってしまってる」と民衆側にも問題があると発言、果たしてその意味とは……?

 

まぐまぐ:ちょうど舛添氏の話題が出て来たのでお聞きしたいのですが、今回の都知事辞任騒動に対して、お二人はどう思われましたか。

小林:結局、貧困層が広がってしまってるもんだから、全員がケチなのよ。本当にセコイ金額には反応するんですね、自分が分かる金額だから。回転寿司の話とか、全部自分の経済の感覚のレベルだから、反応するんですよ。じゃ、石原都知事はどうだったんですかと。ケタが違うんですよ、ぜいたくやってたケタがもう全く違ってて。ガラパゴス諸島かどっかへ行ったときなんか、クルーザーを出したりとかして。逆にここまで来ると桁違いの金額が、国民の見当に及ばないんですよね、そこまで使われると。だからもう分からないから、批判のしようがない。

ケント:(笑)。

小林舛添は“貧乏人の性”が出ちゃってるんです。せこい金しか使えない。いわば“コソ泥”なんですよね。コソ泥の金の使い方を少しずつ少しずつやってたら、それって庶民には丸分かりでしょ、金額的に。だからみんな怒るんですよ。……だけど、「無駄な税金使うな」って言うことはいいですよ。でも「辞めろ」って言うのはおかしい、たかがそんな金額で。そんで選挙やったら、50億使うんだから。しかも、この3年で3回目でしょ。だからもうそれって150億の無駄遣いを、おまえらがやったんじゃねえかっていう話でしょ。しかも東京都民は彼を、40パーセントぐらいの圧倒的な得票率で都知事にしたんですよ。それなのに、なぜその都民が文句言ってんのかと。おまえ自分のほほを張り飛ばせ、と。

まぐまぐ:ケントさんはどう思われましたか?

ケント:本当にリンチだと思うんですよ。ただ、それは本人にも問題がありますよ。僕が思うには、まず態度に謙虚さが見当たらないんですよね。例えばファーストクラスの件ですけど、今までの知事たちもみんなファーストクラスですよね。

小林:みんなやってますよ。

ケント:だからそれを言えばいいんですよ。「そうですか、今までもみんなファーストクラスだったんだけど、そういえばそれは確かにぜいたくだね。必要ないね。じゃそれやめます」って。それなのに「トップだから何が悪いんだ」って。何なんですかね、この態度は。

小林:その態度は、石原都知事のほうがもっとすごかった。もっと傲慢だった。

ケント石原さんの場合は許したんですよね、僕だって。でも舛添さんの場合、もうこれ駄目だと一番思ったのは、韓国に行って朴槿恵大統領の前にペコペコしてたとき。あれは「これじゃ駄目だね」って思った。

小林:けれども、また他の都知事が出てきたら、もっとみっともないナショナリズムゼロのことばっかりやりますよ、どうせ。

ケント:そうなの。だから不思議なんですよ、僕としてはね。……だって大した金額じゃないでしょ、だって。

小林:全然大したことないわ。

ケント国益を考えるんだったら、沖縄の翁長知事のほうがよっぽど悪い(笑)。

小林:……まぁ、そういえばそうだ。そこは特に反対はしないけど(笑)。

ケントマスコミは舛添さんに対して何か恨みがあったわけ?

小林:ないですよ、そんなの。だから、貧乏人のひがみですよ。全員が貧乏人になってるからですよ。

ケント:なるほど。その分析は面白いね。

小林:舛添は本当に傲慢だったら、もっとお金使ってますよ。それが、なんでホテル三日月なの(笑)。そんなところ泊まったことないわ、普段都内の高級ホテルに泊まってるから……。しかも、なんで芋を洗うような状態のプールに都知事が入るのかって。信じられないわって話で。もうセコイんですよ、やってることがね。貧乏症が抜けない庶民なんですよ。そんなちっぽけなコソ泥しかできなかった人ですよ。でも石原都知事なんか最初から金持ちだから、もっとでっかく失敗してますからね。新銀行東京とか……これもう千何百億かつぎ込んで失敗ですからね。

ケント:よっぽど大きな問題ですよね。

小林:そう、とんでもないですよ。……でも、金持ちが踏ん反り返ったらもうダメなんですよ、日本人って。だから、わしは民主主義が嫌いだから『民主主義という病い』の中でも、パリにある三つ星の最高のレストランにばっかり訪ねていくシーンを、どんどん入れたんですよ。要するに、日本人はもう富裕層には逆らえないから。……みんな貧困層になってて、例えばグルメの話とかいったって、どこのインスタントラーメンが一番うまいかって話しかしてないんだから、今は。昔はグルメっていったら、もうちょっとフランス料理の話とか、和食ならどこが一番うまいかみたいな話をしてたんですよ。ところが今はもう本当に“貧困グルメ”になっちゃってるから。それって、もう貧困に慣れちゃってるというか、奴隷の生活に慣れ始めたんですよ。それに警告する意味で、最近はもう自分で「わしは富裕層だ」と豪語するようになってしまった。「どうだ、嫉妬してみろ」っていうふうに言わないと、もうみんな貧困に慣れ過ぎてるから(笑)。

ケント:確かに「僕、ちょっと金持ちなんで」って言っちゃうと、結構許されますよね、日本ではね。

小林:そうなんですよ。もうそれに対して文句は言えないんですよ。

ケント:それ、ちょっと使ったらいい結果が出たんで。半分ウソですけど。

小林:そういうふうになってるんですよ、今の日本は。

ケント:じゃ、次の知事は金持ちじゃないとダメなの?

小林:だから、そうじゃなくて、あんな金額なのに無駄遣いしているっていうふうに思ったから、今度はもっとけちなやつ選ぼうとしてるでしょ。

ケント:そうそう(笑)。

小林:だからもう次、本当に都知事になったやつ大変だよ、エコノミーしか乗れないもん。ヨーロッパとかアメリカ行くときに、エコノミーで乗ってごらん?

ケント:時間が長くて、大変だよ(笑)。

小林:若いやつはいいよ。だからわしも海外に行くとき、自分と自分の奥さんと秘書を連れてくけど、秘書はエコノミー、わしと奥さんはファーストクラスで行くんです。それはもう、こっちは60過ぎてんだから。もちませんよ、背骨が。

ケント:寝ればいいんですけど、眠れば。

小林:ファーストはフラットにできますから、座席がね。

ケント:ビジネスでもできますよね、今ね。

小林:フラットにはならんでしょう。

ケント:いや、航空会社によってはなります。

小林:だから次の都知事は大変じゃないかな、金使えなくって。それともう一つは、都知事って本当は舛添じゃないといかんかったわけ。なんでかって言ったら、あいつマッチョでしょ。もし関東大震災が起こったとしたら、あいつは絶対活躍したと思うんですよ。でも、湯河原に居ちゃ駄目ですよ(笑)。あそこじゃ駄目だから、あの旅館さえ売っ払ってしまえば、そういう災害時にすごい働きするやつなんですよ。もう寝なくてもガンガンやれるみたいな。

まぐまぐ:そんなにマッチョなんですか。

小林:前に舛添と『朝まで生テレビ』の楽屋で話したときに、「北朝鮮が崩壊したら工作船がどんどん来るぞ。そうなったらどうなるんですかね」って聞いてみたら、舛添は「全部、沈没させちゃえばいい」って言うんですよ。だから、こいつすげえなぁって、こういうやつ好きだなって思ったんです、そのときは。……あんなけちとは知らんかったけど(笑)。でも、その辺のマッチョな感覚、これがないと非常時は乗り切れないなと。それが村木厚子だったらどうなるの。ちょっとヤバいでしょ、関東大震災のときに村木厚子とか女は困ると思ったんですよ。蓮舫だろうと誰だろうと、女は危ないと思うんですよ。

まぐまぐ:公示が迫れば、より有力な候補も名乗りを挙げてくるんでしょうけどね……。

小林宇都宮弁護士とかか。あんなの関東大震災になったら倒れるよ!

ケント:確かに(笑)。

小林:そんなとんでもないことになるんだって、関東大震災になったら。マッチョなやつじゃないと、乗り切れない。

ケントいるかな、そんな人。

小林:いや、それは一番けちくさいやつを選ぼうとしてるから、出てこないわけで。もうどうしようもないよ、そんなの。舛添よりけちなやつ選ぼうっていうんだから、どうしようもない。

ケント:でもすごいね、けちだから降ろされるっていうことは。

小林:民衆がなめてしまうわけ。権威が崩壊するんですよ。「何だ、俺が分かる程度の金のちょろまかしをやってんのか」と。すると、本当に小物だなってみんな思うんですよ。そうするともう権威が崩壊するから、もう幾らでもでもやっていいってことになると。もうとにかく相手をもう処刑台に上げて、首を吊るさないと駄目だっていうところまでいくんですよ。これが民主主義の恐ろしさで、フランス革命でも証明されてることなんですよ。民衆が群れをなして暴走し始めると、もう止められないんです。それはマスコミも同じなんですよ。マスコミは視聴率だけで動くから。そうなると、もう舛添のニュースを延々とやるんですよ。やったら必ず視聴率取れるんです、キラーコンテンツなんですよ。やんなければ負けるんです。

ケント:就任して割合すぐに、舛添リコールのデモがありましたよね。でも、全然マスコミは報道してなかったですね。

小林:そうなんですよ。だから、それ視聴率だから

ケント視聴率にならなかったですかね。

小林:そのときはね。今はもう視聴率になり過ぎるから、辞めてしまった後でもまだやってるでしょ、毎朝。だからここが問題で、要するに視聴率取っとけば、これでスポンサーが取れるわけですよ。だから、マスコミなんか全然大したことないし、全然権力でも何でもないわけ。視聴率が権力なんですよ。で、それは民衆なんですよ。民衆が権力を持っていて、例えば安保法制反対っていう論陣をマスコミが全部張ったとしても、視聴率が下がればやめるんですよ。成り立たないんですよ。

取材・文/まぐまぐ編集部 撮影/南山浩太朗

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2014年からブログや新聞、雑誌等で政治問題などの意見を発信するようになりました。思い切って本音や皮肉、冗談も書いてみたら、とても反応が良かったので、最近はすっかり楽しんでいます。しかし、テレビのコメンテーターをやってた時代に、私は日本のタブーを教わりました。不特定多数に向けた媒体で書ける話題には限界があります。有料メルマガであれば、そのような話題にも踏み込めます。読者の方からもテーマを募って、さらに本音の私をぶつけて行けたら良いなと考えています。

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