男性化粧品メーカーとしてあまりにも有名な企業「マンダム」が、女性をターゲットに「睡眠美活」というムーブメントを起こしています。そして、2016年3月期に6期連続で過去最高売上高を更新しています。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では、その商品の1つであり、美容と枕という新しい組み合わせで注目を集めているその名も「美育枕」を中心に同社の戦略を分析・解説しています。
新しい組み合わせ
今回はユニークな枕で注目を浴びている企業を分析します。
● マンダム(男性化粧品メーカー)
◆戦略分析
■戦場・競合
- 戦場(顧客視点での自社の事業領域):美育枕
- 競合(お客様の選択肢):エアーウィーヴやテンピュールなどのマットレスメーカー など
- 状況:枕などの寝具の市場規模は拡大傾向にあるようです。
■強み
1.美容ケアにつながる
- 寝ながら美容ケアできる
- 美しくなるために重要な頭部をきちんとケアできる
- 首のシワ(いわゆる寝ジワ)対策になる
2.ぐっすり眠れる&目覚めがすっきり
- 眠りに気持ちよく入れる
⇒上記の強みを支えるコア・コンピタンス
★美容と眠りの専門家が監修
- ヘッドスパのノウハウ
→ヘッドスパの第一人者であり、美容研究家の樋口賢介氏の協力を得ています。 - 枕内部に67個の指圧突起(フィンガータッチグミ)が入っており、頭部をほぐし緊張をやわらげてくれます。
→特許出願中です。 - 睡眠の専門家である生活健康学研究所の清水教永所長の協力を得ています。
上記のように美容の専門家と眠りの専門家のノウハウが組み合わさったからこそ、強みを実現できているといえます。
■顧客ターゲット
- 美容に関心がある40代の働く女性
- 快眠を求める方
◆戦術分析
■売り物
美育枕
- より質の高い眠りへ導くための優しい指圧感「フィンガータッチグミ」
- 頭を両手で包まれているような形状(手のひらフォルム)
→横向きや寝返りも穏やかに包み込む - 理想的な寝姿勢を保つ独自の形状「ネックケアフォルム」
- 枕の素材には低反発ウレタンを採用
- 4段階の高さ調整ができる
■売り値
- 1万5,800円(税込み)
■売り方
- 新聞折り込みチラシ
- エビデンス
→一般的な枕に比べ寝付くまでの時間が平均18%短縮。一般的な枕に比べ深い睡眠の時間が平均22%増加 - 30日間寝心地安心保証
→全額返金保証
■売り場
- 専用ウェブサイト、テレビ通販など
※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
まとめ(戦略ショートストーリー)
40代の働く女性をターゲットに「美容と眠りの専門家のノウハウ」に支えられた「美容ケアにつながる」「ぐっすり眠れる」という強みで差別化を実現しています。
「美育枕」という名称で、普通の枕ではなく美容に効果がある枕であるという価値を表しつつ、エビデンスや返品保証などで顧客の購買に至るハードルを下げています。
■分析のポイント
「新しい組み合わせ」
マンダムの美育枕は、「眠り」に「美容」を組み合わせることでヒットに結びつけています。つまり、枕と美容という新しい組み合わせがオリジナルのアイデアとなり、差別化のベースになっています。
何が言いたいかというと、オリジナルのアイデアを生み出すためには、いかにして「新しい組み合わせ」を見つけるかが重要ということです。例えば、美容関連では、旅行会社が「旅行」に「美容」を組み合わせたツアーを企画して人気なようです。
また、美容といえばコラーゲンが有名ですが、このコラーゲンは、「食べ物」や「飲み物」など、多くのものと組み合わされていますね。最近では、ユーグレナ(みどりむし)がさまざまな飲食物と組み合わされています。
すでにあるかもしれませんが、試しに「美容」と身の回りのものを組み合わせてみますと、「美容とメガネ」、「美容と時計」、「美容とカバン」、「美容とノート」など、いろいろと組み合わせることはできますね。これらのように美容と何かの組み合わせが、世の中に出ていない新しいアイデア(価値)につながるかもしれません。
また、美容以外の事例でみてみますと
- ウォークマン
→歩きながら、音楽を聴く。つまり、音楽プレイヤーと歩くということを組み合わせたことが新しいアイデアとなり、ヒットにつながりました。 - ヘルシア緑茶
→のどを潤おしながら、脂肪を燃焼する。つまり、緑茶と脂肪燃焼ということを組み合わせたことが新しいアイデアとなり、ヒットにつながりました。 - 木村飲料(「社員全員が猛反対。「カレー味のラムネ」はどうやって生まれたのか?」参照)
→ラムネと組み合わせたのが、カレー、わさび、お茶、バナナなど。コーラと組み合わせたのが、たくあん、うめぼし、生八つ橋など。オリジナルの組み合わせを追及することで、支持を得ています。 - 鳥貴族(「なぜ居酒屋「鳥貴族」は、280円均一で東証1部に上場できたのか?」参照)
→焼き鳥居酒屋に均一価格を組み合わせたことが、成長している理由の一つになっています。
などなど、既存の要素に別の要素を組み合わせることで、ヒットにつながった事例はたくさんあります。というか、新しいアイデアと言われるものはほとんどが、既存の要素に別の要素を組み合わせたものです。
世の中の商品やサービスが何と何を組み合わせたものなのか、という視点で見てみると視野が拡がると思いますので、ぜひお勧めです。
image by: Shutterstock
『MBAが教える企業分析』
本メルマガをとおして、ビジネスパーソンにとって重要となる企業分析能力を磨くことであなたの価値向上のお手伝いができればと思っています。
<<登録はこちら>>