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やはり数億?高畑裕太容疑者に請求されるであろう賠償額を弁護士が予測

世間に大きな衝撃を与えた、俳優・高畑裕太容疑者の強姦致傷事件。現在でも様々な報道がなされていますが、無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』では現役弁護士が、数億円単位とも言われる損害賠償額について解説しています。

高畑裕太容疑者 損害賠償請求は数億円単位?

バラエティーやドラマなどで活躍していた俳優の高畑裕太被疑者強姦致傷罪で逮捕されたという報道には多くの方が衝撃を受けたのではないでしょうか? さて、今回のケースに限らず、芸能人が何かしらの不祥事を起こした時に、ニュースで「損害賠償請求」という言葉を目にすることも多いはずです。高畑被疑者の場合、数億円程度とまで言われています。では、そもそも芸能人が不祥事を起こした場合、どのようにして損害賠償請求がなされるのでしょうか?

この点、何かのドラマ、バラエティー番組に出演するときは、出演し、演じたりするサービスの提供と引き換えにギャランティーが生じるという契約を結ぶことになります。普通であれば、出演し、その内容が放送されることで利益を得てギャランティーが配分され万々歳という形です。

ところが、不祥事があるとドラマでいえば代役を立てて撮り直しをしたりする必要が生じます。バラエティーであれば放送予定の回を丸ごとお蔵入りとして放送せずに、別の内容に切り替えるなどする対応がなされます。これらが損害として生じるために、その賠償を求めることになるわけです(民法415条などを参照)。

ただ、「そこまで損害が拡大するのか?」と思われる方も多いはず。そこで、どのような損害としての項目が生じるのかを具体的に考えてみましょう。

まず、バラエティー番組の場合。基本的に俳優である高畑被疑者は司会進行など、画面に出ずっぱりということは少ない状態です。そのため、出演シーンをカットするなどの編集を行って放送するということが考えられます。こうした場合、再度編集を行うための費用というのが考えられます。

次に、ドラマの場合。もっとも痛手が少ないケースであれば、代役による撮り直しを行い、それを放送するということが考えられます。この場合、代役のギャランティー撮り直しの制作費。さらに言えば、再度共演者を手配するために生じるギャランティーなどが主だった損害となります。

しかし、ドラマの途中から代役を立てるような場合、後々見込んでいた再放送によって得られる利益やDVD化など他メディアへの展開が困難になることが考えられます。その場合、将来的に生じることがほぼ確定的な利益も損害の項目として算定されるため、損害が拡大することになります。

最悪のケースで言えば、「もはや放送は不可能だ」と判断すれば、ドラマ自体をお蔵入りとして放送しないことも考えられます。となれば、ドラマ制作に生じた費用やドラマの放送から得られる利益の一切合切を請求されることになるでしょう。

加えて言えば、バラエティーにもドラマにも当然CMスポンサーがいますので、不祥事を起こした芸能人が出ていた番組のスポンサーを降りるということも考えられます。そうすると、スポンサーから得られるはずであったCM収入も損害額となります。

一人の不祥事が、多方面の損害へとつながることがご理解いただけると思います。舞台や映画などもこれまで述べたような損害項目の考え方に準じることになります。

CMについては、不動産賃貸事業者1社のみの契約でした。当然、このスポンサー契約についても、当初のサービス提供ができなくなるわけですから、損害賠償請求は免れないでしょう。

基本的に当初のCM計画、例えばテレビ放映、インターネット上での展開、各種販促物への展開などで、達成できない部分が直接的な損害となります。具体的には、地上波の放映は終わっていたようですが、ウェブ上でのCM動画が削除されたり、多量に制作された販促物が使えなくなったりしていたようですので、これらも損害項目となります。

ざっと考えただけでも、さまざまな項目が挙げられます。したがって、報道で踊る「損害賠償請求は数億円単位か?」という内容はあながち嘘ではないことがわかります。

image by: Shutterstock

 

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