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巨額赤字も。ソフトバンクの「スプリント買収」は失敗だったのか?

2013年、当時アメリカの携帯電話業界3位のスプリントを200億ドルを超える金額で買収したソフトバンク。このM&A劇の孫正義氏の狙いについては当時から様々な考察がなされてきましたが、米国ビジネスモデルコンサルタントの清水ひろゆきさんはどう見ているのでしょうか。ご自身の無料メルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』で独自の視点からの分析を試みています。

米国スプリント買収から見えてくるソフトバンクの生き残り戦略とは!?

米通信大手4社のうち3社(ベライゾン、AT&T、Tモバイル)は軒並み増収黒字を記録、スプリントは唯一減収赤字(2015年10~12月期決算)。業界3位に浮上したTモバイルは純利益が約3倍に増加、売上高でスプリントを上回る(2014年)。

ソフトバンクグループは当時米通信大手第3位のスプリント買収に続き、4位のTモバイルも買収することで、M&Aにより米通信市場でモバイルネットワークの会社2社を傘下にし、同グループに戦略的シナジーグループを構築する考えでした。が、このM&Aも米当局の壁に阻まれた今、スプリント単体では今後米通信市場でシナジーを生み出せず、苦戦を強いられるのは避けようがない模様です。

そんな状況下で米国スプリントは2015年度にやっと営業利益で過去9年初の黒字化を果たしたのですが、ソフトバンクグループが米国スプリント買収に動いた本当の意図とは一体何だったのでしょうか?

それは、日本でキャリアビジネス(電気通信事業)を成功へ導いたソフトバンクグループが、巨大な米国マーケットで携帯端末を持つキャリアビジネス企業・米国スプリントを日本で経験した手法で立て直し、同グループがM&Aが目的のグループではないというブランドを構築することでした。

ボーダフォン・ジャパンの成功事例が、米国スプリント立て直しに活きた!!

ソフトバンクグループは、米国スプリントの立て直しに、日本の歴史始まって以来最大の2兆円にも及ぶ額で買収したボーダフォン・ジャパンの事例を採用しました。その理由は、ボーダフォン・ジャパンと米国スプリントの弱点が酷似しており、米国スプリントの立て直し施策には、ボーダフォン・ジャパンの事例を採用することが効果的だったからです。

ボーダフォンの弱点=米国スプリントの弱点

米国スプリントの立て直し施策

ソフトバンクグループが米国スプリントを立て直すことは、モバイルインターネットの世界で同グループが、IT革命の地アメリカで、キャリアビジネスで成功した会社であるというブランドを示すことでもあります。

ソフトバンクグループは、つまり、このブランド力を武器に、劇的に増える世界の携帯電話のユーザーを相手に「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を目指し(ビジョン)、M&Aを手法にモバイルインターネットの世界で戦略的シナジーグループをつくり、「情報革命で人々を幸せに」(経営理念)することで、300年間成長し続ける企業グループを達成しようとしているのです。

ソフトバンクグループの考えるビジネスモデルとは!?

ソフトバンクグループのビジネスモデルとは、情報産業に関わるあらゆる会社が、M&Aにより戦略的シナジーグループとなりプラットフォームを醸成することです。

ソフトバンクグループが、スマートフォンの中核部分を握るARMを3兆円規模で買収したのも、同グループがスマホ市場を押さえるためではなく、同社がビジネスを行っているモバイルアプリケーションプロセッサー、ネットワークインフラ、サーバー、エンベデッドインテリジェンス、自動車、家電製品などの市場で、AIによるIoTの商品やサービスを生み出すことで「情報革命で人々を幸せに」するためだったと言えます。

世界中の企業やエンジニアたちの中に(米アップルや米グーグルが作ったプラットフォームの上で開発するのと同じように)医学や自動車といった分野ごとにソフトバンクグループのプラットフォームを活用する人々がつぎつぎと現れ、データを収集する機器を作り、一方で、プラットフォーム上で個人からライセンスを得たあらゆる企業が、収集されたデータを活用していく過程で、世に存在しないIoTの商品やサービスがまた生まれてくる

ソフトバンクグループが米国のキャリアビジネス企業スプリントを買収したのは、少子高齢化の日本とは反対に今も人口が増え続けている米国の企業スプリントを同グループの戦略的シナジーグループの一員にし、モバイルコンピューティングビジネスの体制を強固なものにしたプラットフォームを構築する必要があったからなのです。

 

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著者/清水ひろゆき(H&Hコンサルティング)
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