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韓国国民だけでなく、米中からも嫌われた朴大統領の失態

数々のスキャンダルでレームダックと化した韓国の朴槿恵大統領。最新の調査では支持率4%とも言われています。そんな朴大統領、外交でも大きな過ちを犯していたようです。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、朴政権が長年行ってきたバランス外交は「二股外交」に過ぎないと指摘し、米中から見放されてしまった失敗の要因について考察しています。

韓国・朴大統領、辞意表明~二股外交の結末

皆さんご存知だと思いますが、韓国の朴大統領が辞意を表明しました。

万策尽きた朴大統領 特異な政治手法、知人らの介入招く

朝日新聞デジタル11/29(火)15:11配信

 

韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が29日、本来は2018年2月までだった任期の短縮に応じる考えを表明した。大規模な抗議集会や低支持率、検察捜査などで苦しむなか、国会による弾劾(だんがい)手続きが目前に迫っていた。ここにきて、与党セヌリ党の「親朴派」議員らも離れ、万策尽きた形になった。

シャーマンのチェ・スンシルさんが国政に深く関わっていたことは、日本でも広く報じられています。今回は、朴さんの外交を振り返ってみましょう。

「反日統一共同戦線」に参加した韓国

08年9月、リーマンショックから「100年に1度の大不況」が始まった。これで、世界中の国々が、「アメリカの一極支配体制は終わった!」と認識しました。そして、「中国の時代がやってくる!」と。

そんな世界情勢を反映し、日本でも09年、親米の自民党が沈み、親中の民主党が政権をとった。韓国でも、朴さんの前任の李さんは、親米から親中に移行していきます。この方、2012年8月、

ことで、日韓関係を破壊します。

翌2012年9月、日本政府は尖閣を国有化。日中関係が戦後最悪になった。2012年11月、中国はモスクワで、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線」結成を提案。プーチン・ロシアは、この話に乗らず。しかし、韓国は喜んで反日統一共同戦線に参加することにした。とはいえ、李大統領の任期は終わりに近づいていました。「反日運動」は、次の朴槿恵さんに引き継がれます

朴さんの反日親中外交

朴さんの外交を簡潔に表現すれば、

これは、何でしょうか?

韓国は、世界の多くの国々同様、「アメリカは08年に没落した。これからは中国の時代」と認識していた。経済関係も深まっているので、中国と仲良くしたい。すると、いままでの主人アメリカが怒ります。アメリカをなだめるために韓国は日本をダシにする。「アメリカの要求を聞きたいのですが、日本が邪魔をするのです!」と。

朴さんは2013年2月、大統領に就任しました。2013年6月、中国を訪問。この訪問を「心信之旅」と名づけた。彼女は、習近平との会談で言います。「ハルピン駅に、安重根の記念碑を建ててください!」。安重根は、伊藤博文を暗殺した人物。習近平は、1度目に言われ、「安重根て誰????」という反応だったようです。しかし、再度言われ、「わかりました」と答えた。

このように、朴さんは、「反日で中国と仲良くしよう!という作戦だった。そして、それは、うまくいったのです。2014年3月、朴さんと習近平は、ハーグで会談。朴さんは言います。「安重根の記念碑を建てて下さって、ありがとうございます!」。習近平は、こう応じました。「それ(安重根記念碑建立)は、私が指示したのだ。中韓は隣国同士であり同じ夢と目標を持っている!」。

同じ夢と目標」とは何でしょうか「日本を破滅させること」????

2014年7月、習近平は、韓国を訪問。この時、朴さんは中国中央テレビのインタビューで、こんなことを言っています。「北東アジア最大の問題が歴史問題です。日本の一部の政治指導者が北東アジアの友好関係を悪化させている。特に慰安婦問題は、人類普遍の人権問題です」

2015年9月、北京で「抗日戦争勝利70周年大会」が行われました。記念撮影で、習近平の右にプーチン。左に習夫人。その左に、朴槿恵。記念写真のど真ん中に、「反日統一共同戦線の国首脳が集結していました(プーチンは、反日ではありませんが、日欧米から制裁されている関係で親中です)。

このように、朴さんの外交は、2015年末まで、ずっと親中だった。そして、彼女と習近平を結びつけていたのは、「日本への憎悪」だったのです。

アメリカに戻る

ところが、皆さんもご存知のように、日本と韓国は2015年12月28日、いわゆる「慰安婦合意」しています。これは、なんだったのでしょうか?

金正恩は2015年12月15日、「水爆実験」への許可を出した。そして、2016年1月6日、実験が行われた。朴さんは、「中国は北朝鮮から韓国を守ってくれない」ことに気がついた。

2016年2月、アメリカと韓国は、「THAADミサイル配備の交渉に入った」ことを発表しました。これで、アメリカは、「韓国は戻ってきた」という認識になった。以後、日韓・米韓関係は改善してきています。しかし、朴さんは、ボロボロになってやめていきます。

小国の二股外交と、大国のバランス外交の違いは?

日本をダシにして米中とバランスをとる」という朴さんの外交。なぜ失敗したのでしょうか?

例えば、インドは、見事な「バランス外交」を実践しています。インドは、日本、アメリカ、ロシアと良好な関係にある。そして、敵対していた中国との関係も改善させている。しかし、こういう美しい外交は、インドのような自立した大国にしか許されないのです(ロシアや中国も、もちろんバランス外交を実践できる)。

同じことを小国がやると、「バランス外交」ではなく「二股外交と呼ばれ失敗します。たとえば、韓国に似た例はウクライナです。ウクライナのヤヌコビッチ前大統領は、「親ロシア」として知られていました。しかし、浮気心を起こし、EUと「欧州連合協定」を結ぼうとした。ところがクレムリンからの圧力があり、「やっぱ署名しません!」と変心した。これをきっかけに、大規模デモが起こり、結局革命で失脚しました。

韓国も同じですね。アメリカと仲良くしながら、日本をダシにして中国とも仲良くする。ある程度まではうまくいきますが、最後に「どっちを取るんだ!?」と迫られることになります。

朴子さんは、アメリカ君、中国君、2人とデートできて幸せだった。しかし、アメリカ君からも中国君からも、「結婚しよう!」と言われ、「私は、アメリカ君も中国君も好きなの! 2人と結婚したいわ!」と言えば、アメリカ君も中国君も「ふざけるな!」となるでしょう。

こうして、「告げ口外交で知られる朴槿恵大統領は去ります。次の大統領、親日はムリでしょうが、少なくとも親米であって欲しいと思います。

 

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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