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実は損する? カード払いのポイントに隠された「周到な罠」

便利な上にポイントも貯まるクレジットカードや電子マネー。ネット社会となった今、使用する機会も幅も増えていますよね。さらに昨年、ボタンを押せば翌日に商品が届くという魔法のような「アマゾンダッシュボタン」が登場するなど、私たちの生活はますます便利になりつつありますが…、そこには思わぬ落とし穴があるようです。今回の無料メルマガ『音多秀茂の【富と成功の5つのタネ】』では、現金の存在感が薄れつつある「便利な世の中」で生じる問題点について考察しています。

節約にも富~お金が貯まる支払い方

さて、早速ですがあなたは買い物の支払いをする時に現金とカードのどちらを使いますか??

私の場合は「現金派」ですが、もしもあなたがカード派で、クレジットカードの他にも最先端の電子マネーに次々飛びついているなら今後ますます節約意識が必要かもしれません。

今回のテーマではこの二派を比較することで浮かび上がる、お金の使い方に関する節約法を考えてみたいと思います。

現代社会は何においても極限まで効率性とスピードを求められます。その中でも最も根幹となる「経済」の部分では、いかに消費者の購入意欲を高め購買のハードルを下げるか、という点において各企業がこぞって効率性とスピードを競っています。企業が提供するサービスの質やスピードが高まる事で我々消費者は「利便性」や「快適性」を手に入れる事が出来ます。

で、これは冒頭に挙げたカードや電子マネーに関しても同じであり、我々消費者はお金の使い方に関してこの二つのメリットを感じるから利用者がどんどん増え続けているんですね。

しかしそうした利便性を受取った結果、我々が差し出す物は何か? そう、それは「我々の財布の中身」です。支払いやすさが増せば増す程我々の財布の中身からはスムースにお金が出て行くことになります。

つまりお金の支払い方の変化によって感じる利便性や快適性などのメリットは実に幻想的なものであり、支払いやすい電子マネーなどによって我々は自分の財布の中身がどんどん外に出て行くにもかかわらず、そこから得られる快適性に誤魔化されて使ってしまっているという事です。現代の消費戦略や電子技術によって、我々の財布の紐は気づかないうちにほどかれてしまいます。

では、購入場面を想像してみましょう。例えば家の洗剤が無くなった事に気付いたら、それを手に入れる迄には様々なハードルが存在します。

「あ、洗剤が切れそうだわ」と思ってから、服を着替えて身なりを整えてお化粧をして、靴を履いて表に出て車を運転して、スーパーへ辿りついて、種々並んだ商品から一つを選んで、レジに並んで財布からお金を出して支払う、というようなステップを乗り越えなければ手に入りません

一方洗剤を売る企業にしてみても消費者にこうした行動のハードルを乗り越えてもらった上で、陳列されている競合商品の中から自社商品を選んでも割らないと買ってもらえないわけです。

ゆえに頭の良い販売側は考えました。どうすればこのプロセスをショートカットできるのかを。中でも最近特に凄まじいのがアマゾンが提供するサービスです。今回はいくつかアマゾンのサービスを取り上げてお伝えしますが、例えば昨年アマゾンから生まれた世にも恐ろしい「アマゾンダッシュボタン」。

このボタン、頭に欲しい商品が浮かんでから購入するまでのプロセスを、現時点において極限まで短縮したアイテムといえます。ご存じない方の為にそのイメージを伝えておくと、「あ、洗剤が切れそうだわ」と思ったら手元にある洗剤ボタンを押す。これだけで、その日のうちに勝手に品物が手元に届きます

「着替えて外に出て、レジに並んで、財布からお金を出して」という消費者にとってのハードル一切無くなる究極のシームレスボタン。欲しいと思ったらボタン一つ押せば終わり。現金支払いも不要なので我々は財布の口を開ける必要が有りません。ボタンを押したら後は勝手に登録済みの口座から引き落とされます

で、あなたがこうしたアイテムを見て「スゲェ~」「便利そうだな~」「使ってみたいな~」と思ってしまったら、あなたは消費行動の餌食です。既に節約の階段を踏み外している事になります(笑)。

世の中どんどん便利になるのは良い事ですが、ことお金を支払わせるステップがシームレス化して行く事には注意が必要です。

我々がお金を払うのは、商品価格を必要性と利便性の観点で思考して「お得だな」と思った場合ですが、この利便性を「財布からお金を出す手間」に絡めて考えてしまうとあなたの財布からはお金がとてもスムースに出ていくことになります。

例えば定期券などその交換対象が絞れているものに関してはその便利さを享受しても構いません。

しかしながら今まさに乱立状態の電子マネーでは、数枚のカードで小売系も交通系も全て支払いが出来てしまうから危険です。今だって四強のWAON、nanaco、Suica、PASMOの四枚を持っていればほぼ現金不要で暮らせますから便利なものです。

しかしながらそんな世界にどっぷりつかっていると、便利さと引き換えにあなたのお金はシームレスにどんどん外の世界に放流されることになります。

ではなぜこうした電子マネーや前述のアマゾンボタンでは支払いが増えるのかをもう少し深く考えてみましょう。

一つ目は上述した利便性です。支払いをカードにする事で、一々財布を開いて現金を数える必要がありませんし、かさばって重い現金を持ち歩く手間も省けます。カードなら「サッと出してピッ」で終わり。見た目も非常にスマートです。

が、これ以上に違いがあるのが現金と電子マネーがもつ目に見えない重みの違いです。電子マネーには当然物としての重みが無いのですが、それ以上に異なるのが「現金という物質に乗る持ち主の人格のような重みです。

例えばあなたの財布に入っている千円札。これはあなたの所有物ですが、同じように電子マネーの千円をあなたの所有物として感じますか? 多分感じないと思いますが、これは物質として存在しないからです。この重みの違いが「お札」を人に与える時に「贈与的な重みとなって現れます。

一方電子マネーや引き落としでお金を払うのは単なる交換」と言えます。本来買い物とは物々交換、等価交換です。アマゾンでいくら高い買い物をしても、店頭で言われる「ありがとう」は受取れません。これは買い物本来の物々交換、等価交換だからです。

が、店頭で現金支払いをする場合、現金を介すからこその贈与的な価値が乗るので、店側は購入者にわざわざ「ありがとう」をつけるんですね。ありがとうをつけないと気持ち悪いんです。

お店で服を購入すると袋を持って玄関まで送ってくれたり、美容室で髪を切ると店先で相手が見えなくなるまで見送ってくれたりしますが、こうしたプラスアルファのサービスは現金に乗っているプラスアルファの贈与分の穴埋めでついて来る物だったりします。

そもそも現金が無くなってしまえば、こうしたプラスアルファのサービスも消滅する可能性があります。というか電子で支払えれば小売店から店員さんは消えますね。そんな未来もアマゾンによってすぐそこに来ています

自動で会計、待ち時間なし アマゾンがコンビニ進出

電子決済にはこのように人格が乗りません。その為わざわざ現金支払いのような贈与的な手間が無く、電子的に高速度かつ正確に移動できるというメリットがあります。

で、話を戻すとこの違いが「お金の貯まる支払い方」の違いその物なんですね。つまり現金は重く電子決済は軽い。ゆえに現金は出し渋りが起こりますが、電子決済はそんな事を考えずにスムースにお金が出て行きます。

「いやいや音多さん、でもカードはポイントが付くから現金よりお得ですよ!」

そうですよね。私も先日ポイント目当てでnanacoに1万円チャージしそうになりました(笑)。でもね、このポイントが更に支払いを加速させる元凶です。

「7の付く日に1万円をチャージすると100ポイント受取れます」。私もこんな張り紙を見て電子マネーに1万円を突っ込みそうになりました。が、こうしたポイントもまたお金の放流(笑)をさらに生むものです。

上述した「贈与と交換」の違いの話し。現金支払いは現金に人格が乗る「贈与」であり、電子決済はそうしたものが乗らない「交換」でしたね。ゆえに電子決済は軽いと。

が、性質的に軽い電子決済に重みを持たせるのがこの余計な100ポイントです。これこそまさには企業からあなたに対しての「贈与」なんですね。1万円しか入金していないのにチャージするだけで1万100円になる。これは1%の金利であり、銀行の普通預金金利(年率0.01%)から得ようと思ったら丸十年かかります。それをすぐに得られるわけですね。

前述したように贈与には人格や思いのようなものが上乗せされています。ゆえにそれを受け取ったあなたは無償のプレゼントを受けたことに恩義を感じ、それと同額以上のお返しを相手に戻そうとしてしまいます。つまりたった100ポイント100円を受け取ったばかりに後々数千円分の余計な出費をさせられる可能性があります。

100円の恩義をあなたの脳は忘れません。例えばそのお店を通り過ぎるたびに、「100円か…、この前もらったポイントでドーナツ一個買えるな」と計算してお店に立ち寄る事になります。で、結局ドーナツ1個では物足りず、付け合せのコーヒーやサイドメニューも注文してしまうんですね。

するとほら、このポイントはお得ではないという事になる。

心には贈与のお返しをした満足感が残るかもしれませんが、財布には無駄金を支払った事実だけが残ります

そろそろまとめに入りましょう。

じゃあ我々が「お金が貯まる支払い方」を考える際、どうすれば良いか? これは簡単で、思い切ってカードや電子マネーを処分しもう一度現金派に戻る事です。敵(企業)が仕掛けてくるのは、我々の財布からいかにスムースにお金を取り出すかだけです。その最終形態はまだまだ進化を続けていますが、とりあえず現状ではこうした電子マネーなどの引き落としシステムです。

先々暗号通過(仮想通貨)が熟成すれば、リアルマネーは消滅し、更にはカードさえ持たずに自分に埋め込んだICチップでオーダー操作が出来るかもしれません。そんな時代が来たらますますお金に重みは感じ無くなります。

そこで冷静になり振り返ってみる。それだけ便利になった所で一体なんなのかと。

買い物に行く手間や財布からお金を取り出す手間は省けても、それと引き換えに自分の手足を動かす必要が無くなり、お金がスムースに出て行くだけ。よってここで逆に現金派に戻り、更にはお金を支払うステップを長くすること出費を抑える事を考えてみます。こと支払い方法については時代に逆流するわけですね。

例えば私は財布を傷つけない為に「財布入れ」に入れているんですが、これは二次的効果として出費を踏みとどまる効果を感じます(現金を取りだす手間が増えるから)。

よって「お金が貯まる支払い方」とは、

  • 決済手段を可能な限り現金だけに絞る
  • その決済手段(現金)を取り出す手間を増やす

です。支払いのシームレス化が仕組みとして敷かれつつある現段階において、こうした現金にこだわるアナログ的な節約法はまだ数十年は使えると思います。お金の「入り」に関してはデジタルで結構ですが、「に関してはアナログを貫いた方が節約には効きます

image by: Shutterstock.com

 

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【著者】 音多秀茂 【発行周期】 ほぼ 季刊

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