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それ個人的な恨み? マンション管理会社に言ってはNGなクレーム

自分のマンション管理会社が、国の出している標準管理規約に違反しているのに改めようとしない。国に直談判しても「法律ではない」と言われてらちがあかない―。こんな時、不満を解消するにはどうすればいいのでしょうか。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんが、マンション規約を改正するための「近道」について言及しています。

管理会社のせいにしても国の権威に頼っても変わらない

こんにちは! 廣田信子です。

ある管理組合の方から、「うちを管理しているA管理会社が標準管理規約に違反している…、国が指針としている管理規約に従わないのはおかしい。国の決めたことを守っていないA管理会社がつくった規約はばかばかしくて守れない…」と言う趣旨の質問(というより主張かな…)がありました。国交省に問い合わせても、標準管理規約は法律ではないので、その通りじゃなければならないという訳ではない…と言われて、納得がいかないというのです。

マンション標準管理規約は、管理組合が管理規約を作成変更する場合の参考(モデル)という位置づけで、国交省が発表しているものです。法律ではないので、守る、守らないという種類のものではなりません。まったく標準管理規約と同じ管理規約を持っているというマンションはあまりないと思います。例えば、ほとんどのマンションが採用している1戸1議決権という規定も標準管理規約とは違う定め方です。

とは言え、分譲会社が原始規約(分譲時の管理規約)を作成するときは、概ね標準管理規約に準拠してつくられるのが一般的です。マンションの特殊性によって標準管理規約とはかなり違う管理規約案になっているケースもありますが、その管理規約案について各購入者が購入前に説明を受け、承認して区分所有者になることで、最初の管理規約(原始規約)は有効になるのです。

ただ、その後の規約改正は、管理組合の自由ですから、A管理会社がつくった原始規約に問題があったら、管理組合で話し合い総会で規約改正を行えばよいわけです。標準管理規約と同じがよければ、そのように改正することももちろんできます。それをA管理会社が拒否する理由も権限もありません。

管理規約は自分たちの自治規範ですから、法律の範囲内で、自分たちに合うように改正する自由は当然あります。管理組合で話し合って、自分たちに合う規約にしていって下さい。

大事なのは、標準管理規約ではなく、各マンションの管理規約です。区分所有者は自分たちの管理規約を守る義務があります。そして、管理会社は、管理組合との管理委託契約により各マンションの管理規約に従って業務を行うことになります。

…と、言いながら、この質問者の方は、いろいろなところで同じことを言われているんだろうな…国交省にも電話したくらいだから…。それでも、言い続けるのはどうしてだろう…と想像してみました。以下は想像です。

まず、何か気に入らない「規約の定め」があって、それを守りたくないと思っている。で、その「規約の定め」が標準管理規約とは違うと分かり、この人は、標準管理規約と同じの方がいいと思っている。ということがあるのでしょうが…。

 

では、なぜ、A管理会社を責めるのか…考えられる理由は…

理由1

原始規約の内容に、公平性を欠く(と思う)定めがあったが、不利益を被るのが少数者なので3/4の賛成を得られず規約改正は難しく、そんな原始規約をつくったA管理会社に怒りの矛先が向かっている。

理由2

管理規約を標準管理規約に合わせるように改正すべきとの信念で、A管理会社に改正するように言っても、個人的な意見であることを理由に、改正案をつくらないから規約改正ができないと思っている。

理由3

この人が規約違反に対して、○○管理会社より注意を受け、そのことに怒っていて、A管理会社に対抗するため、「規約を守らないことに対する正当な理由が欲しい

理由4

何か、A管理会社とのトラブルを抱え、いかに、A管理会社がひどい管理会社であるかの証明のため、A管理会社が国の指針に違反している…と言いたい。

この考えられる4つの理由は、私が過去に実際に遭遇したケースでもあります。本当に、規約の内容を改正することが、管理組合のためだと思ったら、「管理会社が悪いと他人のせいにすることも、「標準管理規約と違うと国の権威に頼ることも、まず、やめることです。自分たちの「自治規範」が「管理規約」なんですから。

管理組合の中の人たちに理解を求めることでしか規約改正への道は開けません。「標準管理規約と違うからけしからん」という論法は、決して広く理解を得られるものではありません。

また、もし、A管理会社に対する怒りや不信感が、個人的なものであって、そのために「管理規約」を道具にしているのであれば、それは、ご本人にも、他の組合員の人にも決してよいことではありません。A管理会社に不満があるのであれば、管理規約の問題ではなく、管理委託契約に基づき、何が問題なのかを明確にしないと、広く理解を得られないと思います。

なぜ管理会社を責めるのか…の理由は、的外れな想像だったかもしれませんが、方向性が違う憤りは、ご本人を消耗させるだけでなく、管理組合も疲弊させてしまう場合がありますから、同じような不満を持っている方に、ぜひ、一度、自分は本当は何が欲しいのか…見直して頂きたくて書きました。

自分の心にぜひ問いかけて下さい。答えはそこにあります。

 
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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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