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新たな挑戦をリスクとしか考えない「保身」上司が会社を潰す

新たなプロジェクトを立ち上げるとなった時、「本当に儲かるのか」「失敗したら責任は誰がとるのか」などと水を差し決済を延ばしにする……そんな上役、あなたの会社にはいませんか? 今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんが、「そのような考えを持った人がいる会社は衰退していく」とバッサリ切り捨てた上で、スピード感をもった組織にするために必要なこと、すべきことを記しています。

新たなチャレンジ=リスク?

新しい商材やサービスを展開していこうとするとき、新たにプロジェクトを立ち上げようとするとき、あるいは、今まで取引したことのない相手と取引することになったとき…、大なり小なり不安を感じることもあるでしょう。ですが、「不安=リスク」という考えに凝り固まっていては、決して成果は得られません

このような会社がありました。

その会社では新たに新商品を販売することが決まっていました。商品自体、非常にユニークなもので市場性を鑑みても見込みアリでした。現場の第一線で動いている営業マン達のリサーチからも一目瞭然で、なにより、取引先、エンドユーザーにとっても喜ばれるものと判断されてのことでした。

しかし、1人の決裁権者が会議の席で、「ほんとに儲かるの?」「ほんとにその商品、ヒットするの?」「もし失敗したら責任は誰がとるの?」なんてことを連発。これにより営業マン達は意気消沈。進むものもなかなか前に進むことができませんでした(スピード感がない会社はこういう人が必ずいる)。

この決済権者と同じように新しい商品やサービスを仕入て販売しようとするとき、あるいは新たに事業を行うとき、「一体、それでいくら儲かるの?」とか、「もしうまくいかなかったらどうすんの?」とか、「それって、成功するの?」「誰が責任を取るの?」というような発言を連発する人がいます(しかも現場を離れた人に多い)。現場で毎日取引先やお客様とコミュニケーションをとっている営業マンが自信を深め、会社からもGOサインが出ているのにも関わらず、水を差すようなことを平気で言うのです。

現場からデータや試算などを踏まえてプレゼンするも「そんな簡単にうまくいくわけないだろ」と判断し、話をお蔵入りにしてしまいます。お蔵入りだけならまだしも、活気づいてる営業マンのモチベーションを奪っていくのです。こうした人は「リスク回避をした」と得意げになったりするのですが、それは間違いです。リスクを回避したどころか、将来に渡っての芽を摘んだことになるのです。

机上で物事を考え、損得勘定で動く人、自分の保身を考えている決済権者は、会社の未来の芽を摘み取ります。未来の芽というのは、たとえ、1つ新しいことにチャレンジしてそれで結果が出なくても、それを糧にできる芽です。

先述した、会社では決済権者が役員ということもあり、「もしその商品がヒットしなかったら、自分の立場が危ない」というところに頭が行っているということが分かりました(結局は、GOサインが出たものの大幅に予定が遅れ、たくさんロスが出ました)。

そんなくだらないことで、芽を摘もうとしているのです。もし、この決済権者が、未来人材や会社組織にとってに目を向けていれば、たとえ、その商品が売れなかったとしてもその結果を糧にすることできます。次はどんな戦略を立て、どう動けばいいか? あるいは、どのような商品なら受け入れられるか? と献策を講じ改善点を見つけ、会社は発展していくでしょう。しかも、スピード感が出て組織も活気づきます。

つまり、1つの商品、プロジェクトが成功するかどうか、というところが問題ではなく、「とりあえず動いてみよう」「やれるとこまでやってみよう」という「行動ありき」の判断を下し「責任は自分が持つ」くらいの器量が決済権者には求められます。「リスクが怖いからやめときましょ」「失敗したら自分が責任を取らなくちゃいけないからやめときましょ」ではないのです。

とにかく動いてみて、その商品が思い通りに売れなかったとしても、「なにがどういけなかったのか?」という原因を探り改善するといった分析力や改善力が養えるし、今まで全く気がつかなかったことも発見できることもあるし、市場がどのようなものを求めているのか? という新しいニーズをつかむこだってできるのです。

「もっとお客様にわかりやすい販促資料にしないといけないな。ということは、既存の商品でも同じことがいえるのでは? さっそく、見直してみよう」とか、「今回テスト販売できたことで、販売提供の組み立て、計画が立てやすくなった。このモデルを1つの核として、他商品の展開を見直すことができるな」とか、新しい体験によって得られることが次に繋がっていくのです。そうしたことを繰り返しながら、やがて大きな発展や成長を遂げるのです。

「1つのチャレンジの芽を摘み取ることで、得られる情報、経験、力、すべてを放棄し、会社の発展を妨げることになる」。そうした思考のない人が決済権を持ったら、会社は衰退していくだけです。

ことあるごとに否定していれば、今まで通り業務をこなすだけでラクといえばラクです。立場の保身には役立つでしょう。ですが、いつまで経っても現状に満足し、そこにしがみつく程度の会社になっていくのです。

1つのチャレンジが、うまくいくかどうか、新サービス、新商品が売れるかどうか、なんてことより、それらを通じて得られる体験情報力があるということをきちんと理解しておかなくては、未来の発展はありません。

1つのチャレンジでたとえ赤字をくっても、そこで得られるものは、いずれその赤字分を振り子のように黒字にもっていくくらいの価値は十分にあるのです。

そうしたところまで考え、社内で提案をするのも営業マンの仕事、そして、それを見極め判断するのが決済権者の仕事です。新規の仕事には確かに冷静な判断は求められる難しい部分もありますが、会社が大成・発展するには、1つの商品やサービス、プロジェクトなどの損得勘定や成功確率の計算、立場の保身なんかを考えていては無理で、1つの商品・サービス・プロジェクトを通じてどのようなことが得られるか? その体験が次にどう活きてくるのか? というところにフォーカスしなければならないのです。

■今日のまとめ

『チャレンジを否定しては未来がない。』

image by: Shutterstock.com

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【著者】 中久保 浩平 【発行周期】 毎週:火・木午前8:00発行※祝日の場合は翌日

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