「止める」と「臭い」。どちらも日常的に多く使う言葉ですよね。漢字の書き方を忘れてもパソコンやスマホの変換機能が助けてくれますが、「使い分け」は人間が判断しなければいけません。今回の無料メルマガ『仕事美人のメール作法』では、身近でありながら表記に迷う2つの漢字の使い分け方について、著者の神垣あゆみさんがレクチャーしてくださっています。
「とめる」「やめる」の書き分け
その計画はすぐに止めるべきです。
という一文に使われている「止める」。「とめる」とも「やめる」とも読むことができ、どちらの読みでも意味は通ります。
このように漢字で表記すると、二通りの読み・意味にとれてしまう言葉があります。
自分では「とめる」のつもりで入力しても「止める」と漢字変換されると、読む側は「やめる」と読んでしまう、ということが起こります。
新聞の統一表記では「とまる・とめる」の場合は「停止」の「止」を用いた漢字表記とし、「やめる」の場合は平仮名表記と区別し、統一しています。したがって上記の文例は
- 継続している計画を停止する(とめる)場合は
その計画はすぐに止めるべきです。
- 計画自体を終わりにする場合は
その計画はすぐにやめるべきです。
と書き分けます。
「止める・止まる」と表記するのはほかにも
- 交通が止まる、通行止め
- 差し止める、流れを止める
などがあり、「やめる」と表記するのは
- 会議を取りやめる、作業をやめる
のように使います。細かいことのようですが使い分けの基準を持っておくと、入力時に意図と異なる文字や意味で伝わることを避けることができ
「くさい」「におい」の書き分け
くさいにおい
これを漢字で書くと
臭い臭い
と書くことができ、これだと「くさいくさい」とも読めてしまいます。新聞の統一表記では、実際に不快なにおいがする場合は「臭い」と漢字で表記し、疑わしいとか、怪しい様子を比喩的に表現する場合は「くさい」と平仮名表記にして区別しています。
例)
- 「臭い」:汗臭い、酒臭い、臭い物にふた
- 「くさい」:うさんくさい、素人くさい、面倒くさい
「におい」の漢字表記には上記の「臭い」のほかに「匂い」もあります。どのように使い分けるのでしょう。
新聞の統一表記では、鼻で感じる刺激のうち心地よいにおいを「匂い」と表記し、不快なにおいを「臭い」と表記して区別しています。
例)
- 「匂い」:バラの匂い、匂い袋
- 「臭い」:嫌な臭い、生ごみが臭う
しかし、冒頭に挙げた「臭い臭い」のようにどちらも同じ漢字表記になる場合は紛らわしいので、「臭いにおい」と「臭い」は漢字表記で、「におい」は平仮名表記とします。もっとも「くさい臭い」の代わりに「悪臭がする」と書けば、区別はできるのですが……。
においは感覚的なものなので柔軟剤や香水のにおいも心地よいと感じる人もいれば、不快と感じる人もいます。このように良い香りか不快な臭いか判別できない場合も「臭い」ではなく平仮名の「におい」を用います。
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