友人のお見舞いに行った際、親切心から「自分が入院した時の話」をしたら嫌な顔をされたー。励ますつもりだったのに、一体なぜ? 今回の無料メルマガ『仕事美人のメール作法』ではマナーに詳しい著者の神垣あゆみさんが、その驚くべき理由を明かしています。
病気療養の経験談
病気療養中あるいは療養後の相手に、つい、言ったり書いたりしてしまうことの一つに、「自分の経験談を語る」というのがあります。
最初は、相手の参考になればという親切心から、「自分が入院していた時は……」「私の症状はこうで……」などと体験を語るうち、いつしか、自慢話のようになっていませんか。
入院する先も対応も自分の時と同じということはなく、また、病状や治療方法、回復の仕方も人によって異なるため、相手の参考になるとは限りません。
「自分はこうだったから、あなたの場合もこういではないか」といった安易な判断や決めつけも控えましょう。結局、押し付けになってしまえば相手に負担をかけるだけです。
良かれと思って自分の経験談をあれこれ伝えても、相手にとっては余計な情報ということもあり、却って相手を不安にしたり、迷わせたりすることになりかねません。
病気療養の経験談は、相手に尋ねられたらすればよいことで、その際も、事実だけを述べ、憶測や誇張、私情を必要以上に盛り込まないことです。
私自身、おせっかいな性質から、相手から聞かれもしないのにこうしたことを言ったり書いたりしてしまいがちで、自戒を込めて、気をつけなければと思っています。
経験談が有効なとき
「病気療養中あるいは療養後の相手に、聞かれもしないのに自分の経験談を語るのはNG」と書きました。
しかしこの経験談が、失敗して落ち込んでいる相手、特に部下や後輩には有効な場合もあります。
経験の浅さゆえにミスが続いたり、トラブルで自信を失ったりということは誰にもあること。失敗して落ちこむのは、本人が責任を感じ、周囲に迷惑をかけた自分自身を責めているからです。
それをさらに責め立てて相手を追い込むより、「私も似たような経験をしたことがあってね」とその時の状況や、どのように対処したかを伝えることで相手の気持ちは上向きます。
ミスやトラブルを招いてしまい、どうしたらいいか分からない相手には、こういう方法があるよ、と自分が経験した事例を伝えるのも一つの方法ではないでしょうか。
ただ、この場合も経験談が自慢話や昔を懐かしむだけの話にすり変わらないように注意を。
「私が若い頃は…」とか「昔はもっと~だった」という話は語る本人は気持ちの良いものですが、語られる側にとっては迷惑でしかありません。これも自戒を込めて、気をつけなければと思っています。
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