先日掲載の記事「まだ「3.11」は終わってない。少しも先が見えて来ない南相馬の今」で、「被災地に学ぶ会」のボランティア活動を通して知り得た福島県南相馬市の状況を伝えてくださった、無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で現役小学校教諭の松尾英明さん。そんな松尾さんが、今回の活動を通して感じた「福島」という土地の素晴らしさ、そして今、被災地が最も必要としているものは何かを記しています。
日本の誇る「福島」周辺の土地の美しさ
福島を「被災地」という面だけ切り取って思ってみると、痛々しい。しかし、純粋に一つの場として見た時、とても素敵な場所である。
「被災地に学ぶ会」では、作業を開始する前に、必ず全員で黙祷を捧げる。その時、聞こえてくるのは、風の音、川の音、ウグイスの鳴き声である。山々に響き渡る、美しい音や声である。
見回すと、空も緑も山々も本当に美しい。相馬小高神社へ向かう道を自転車で走れば、川がらきらと光を照り返して流れている。神社の木も大変に立派で、神々しさが感じられる。ここの神社では、毎年7月下旬(2017年は7月29日~31日)に「相馬野馬追(そうまのまおい)」という、馬で馬を追う伝統行事が行われる。中日の30日には、大迫力の甲冑を着た騎馬武者たちのレースが見られるという。平将門の時代から、1,000年の歴史を誇る、「相馬」の地の名に相応しい行事である。相馬復活に向けた原動力として、盛会になることを願っている。
思えば、「被災地」となるまでは、元々美しい土地として誇っていた場所である。桃の産地としても有名で、わざわざ福島産を選んで買っていたぐらいである。すぐ南の県の茨城県水戸市にも、日本三大庭園である偕楽園がある。北には、牡蠣の産地として有名な三陸海岸もある。あの海岸線沿いの土地は、元々がどれも美しい土地なのである。
今、被災地に足りないのは、若いエネルギーである。若いエネルギーが注がれれば、元の美しさを取り戻せる。高齢の方々だけでは、成り立たない。ただでさえ限界集落が多い中、正直厳しい面があるとは思うが、若者が土地に根付く環境が必要である。そのために、福島だけでなく岩手や宮城などでも、NPO法人を立ち上げている人たちがいる。復興に向けた動きは、確実に進んでいると感じた。
歩み始めたことと、ボランティアが必要なことは、同義である。ボランティアセンターや各NPO法人など、金銭面での支援も大歓迎だという。できる人ができる時にできることをする。
「自分」の範囲はどこまでか。
家族までだろうか。
同学年の同僚までだろうか。
職場全体までだろうか。
町か。
県か。
「関東」というような地域か。
日本か。
一番大きいと「世界」か。
どれにしても「自分」が所属しているのだから、無理なく、何かやれることをやれたらいいと思う。
2020年の東京オリンピック開催時に、福島を訪れる外国の方もいるのではないかと思う。世界に「おもてなし」の国として認識された日本の美しさを誇るためにも、被災地への支援は続けていきたい。
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