今年の「夏至」は6月21日。「夏の至り」と書くものの、実際には梅雨真っ只中ですよね。そもそも「夏至」とは何なのでしょうか? その答えを知るには、太陽と地球の関係を理解する必要があるようです。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者で天文に造形の深い須田將昭さんの解説を読めば、人に説明できるくらいに頭にすっと入ってきますよ。
夏至ってなんだろう?
自然界の気候は梅雨ですが、暦の上では「夏至」、「夏の至り」ですが、感覚的にはむしろ「これから夏じゃないか」というところですね。
そこで今回はそもそも「夏至」とはなんだろう? ということを少し書いてみようと思います。
夏至は二十四節気の一つで、太陽が夏至点を通過する時をいいます。北半球では昼が最も長く、夜が最も短くなります。
夏至点?
また聞きなれない言葉が出てきました。
地球は太陽の周りを回っています。これを公転と言います。その公転してできる面を天球上に伸ばしていって、地球上の緯度、経度と似たようなものを作ります。そうすると天体の位置を座標で表せますね。これを黄経、黄緯と呼びます。
その時、春分点を0度として経度をとっていきます。そして90度進むと夏至、180度進むと秋分、270度進むと冬至、ぐるっと回って360度、つまり0度に戻って春分です。それぞれ、春分点、夏至点、秋分点、冬至点です。
さて、先ほど「夏至は夏の至り」などと書きましたが、字面はそう見えますが、もとは「至点」が先にあります。
「至点」というのは、赤道と黄道が最も離れるところをいいます。年に2回あって、「夏の至点」が「夏至点」で、「冬の至点」が「冬至点」です。なんだかややこしいでしょうか。
いずれにしろ、この「夏至点」というのは、計算によって出されたもので、国立天文台の暦計算室に一覧が掲載されています。
ちなみに、祝日「春分の日」「秋分の日」の日は、毎年、暦計算室が官報に発表する「暦要項」によって決められるのです。
おっと、今年の夏至の日がいつかを書いていませんでした。今年は6月21日。なにげなく過ごしているうちに巡ってくる季節の区切りですが、そのひとつひとつを伝統的な面と、科学的な面とすりあわせて見直していくこともまた、現代に生きる私たちに大事なことと私は思っています。季節感を肌身と知識と両方で感じていくと言ってもいいかもしれません。
「夏至とは何?」ということで書き始めましたが、実は少し不親切なところがありました。「至点」の説明で
「赤道と黄道が最も離れるところをいいます」
というようなことを書きましたが、これだけではちょっと何のことだか? と思われてもしかたない説明でした。
まず、赤道とは何でしょうか? 地球は自転をしていますが、その自転している軸と垂直に交わる面で地球を切った時の線のことです。
さて、地球は自転しながら太陽の周りを回っています。これを公転といいますが、公転してできる面(公転面)に対してちょっと傾いています。
また、地球から見たときの太陽の通り道を「黄道」と呼びます。この黄道は、地球が少し傾いて公転しているために、赤道とは重なりません。季節によって異なります。
南中高度で考えてみましょう。これは1日の中で、太陽が最も高く上った時の高さです。正午頃の角度です。春分の日、秋分の日には、正午頃の太陽は,赤道上で真上にきます。この時は、いわば赤道面と公転面が重なっているわけです。
地球は公転面に対して23度26分傾いています。そのため、春分を過ぎると少しずつ黄道と赤道はずれていって、北緯23度26分のところで正午頃に太陽が真上にくる日がきます。これが夏至です。これを過ぎるとまた赤道に近づき、やがてまた赤道と黄道が重なるのが秋分。それを過ぎて、南緯23度26分で真上にくる時期が冬至です。
さて、この23度26分の緯度ですが、この線が「回帰線」と呼ばれる線です。北緯23度26分が北回帰線。この北回帰線上で太陽が天頂にくる日が夏至なのです。
地球の自転軸と垂直に切った切断面の線が赤道。太陽の見かけ上の通り道が黄道。太陽が天頂に来る地域の北と南の限界線が回帰線。この三つが春分,夏至,秋分,冬至に関わっているのですね。
北回帰線、南回帰線に挟まれたエリアは、年中を通して太陽からの熱エネルギーをたくさん受けるエリア。そう「熱帯」です。その付近は亜熱帯となります。
地球の気候を考えた時に、やはり太陽のエネルギーをどれだけたくさん受けるか、あるいは少ししか受けないのかがとても重要な要素だというのをあらためて感じますね。
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