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不動産屋は敵か? 管理の行き届く団地にポッカリ空いた落とし穴

郊外にある高経年団地の管理組合にとって、維持管理や修繕費用は重要な問題ですが、逆にそうした問題を抱えていない優良な管理組合は別の悩みを抱えているといいます。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、自身のセミナーで相談を受けたという、少し「もったいない」管理組合の考え方を伝えています。

不動産業者に狙われる?

こんにちは!廣田信子です。

このごろ、郊外の高経年団地に対しては、「しっかり維持管理し、将来のためのお金の準備もしていないと、おかしな利用目的で購入され、管理が難しくなりますよ」という話をセミナーでしています。

そうしたら、先日、終了後、相談に来られた方がいました。

「うちは、きちんと維持管理しているし、修繕積立金もあるので、逆に、不動産業者に狙われてしまって困っているんですよ~」と。

しっかり維持管理されているのに階段室型の4階、5階はかなり安い価格で売り出されているので、それに目をつけた不動産屋さんが、購入して、中をリフォームして賃貸物件として貸し出してるんですよね。

で、総会にも出てきて、

「ココをこうすればこの団地はもっと価値が上がるから、こうしてほしい…」

というので困っていると言います。

でも、これは、別に困る問題じゃないですよね。

不動産屋さんがしっかり住宅としての資産価値も利回りも計算して、これはお買い得だと思って買っている…というのは、団地が評価されているということで、資産価値を上げることになっても下げることにはなりません

で、不動産屋さんも区分所有者になったら、総会に出てくるのは当たり前ですし、こうしてほしいという希望も、市場のニーズを踏まえた提案でしょうから、何もいやがることじゃないのです。

ただ、ずっと住み続けていて、馴染んだ居住者で管理組合運営をしていると、総会に突如現れ、意見をいう不動産屋さんは黒船襲来のようで、みんなが警戒したんでしょうね。

:郊外型の団地では、賃貸化率が上がるのは避けられないので、空き家にならず賃貸でもちゃんと人が住んでいるというのは、むしろいいことなんですよ。修繕履歴も修繕積立金の額も評価して購入したということは、管理状況を評価したということですから。区分所有者なんですから総会で意見を言うのは当たり前で、その意見を取り入れるかどうかは、普通の住民からの意見と同様に扱い、理事会で話し合って、必要なかったら取り入れなくてもいいんですよ。でも、資産価値を上げる提案だったら前向きに検討してもいいんじゃないですか。

相談者:そうですか。じゃあ、不動産屋の言うことは聞かなくていいんですね

:最初から不動産屋さんのいうことだから聞くとか聞かないとかでなく、聞いた上で、必要なければ入れない、必要なら入れるということですよ。

相談者:(仲間に向かって)無視してもいいんだって~(うれしそうに)。

:市場を分かっている人の意見は、参考になるかもしれないので一応検討してからね。

という私の最後の言葉は、まったく相手に届いていなかったようで、

「不動産屋さんに言われても必ずしも聞き入れなくてもいい」というところだけ相手が持ち帰ったようで…帰りの電車の中でずっと気になりました


まず、一区分所有者である不動産屋さんの意見にどうしようか…とこれだけ迷うのは、たぶん、彼の話が理論整然としていて迫力があったからじゃないかな…。それで、びっくりして、どうしよう…となったのでは。

仲良しグループの中にビジネスマインドの人が入ってきてびっくりしたのは分かりますが、その提案の中に、団地の価値を高める内容も含まれていたら、最初から拒否してしまうのはもったいない気がします。

階段室団地の4階、5階に若い人を呼び込む戦略は不可欠です。購入するには勇気がいるけど、賃貸ならその分家賃が安いのが魅力という人もいるでしょうから…。ぜひ、柔軟に対処してくださいね。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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