一口に英語と言っても、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語など、国・地域によって発音の仕方や言い回しなどはかなり違います。英語のスペシャリストで、無料メルマガ「カリスマ英語ナレーターユッキーがお届けする!週間ラジオ英会話♪」の著者ユッキーさんは、メルマガの中で、イギリスが大好きなのに、実はイギリス人との対面会話がずっと苦手だったことを明かし、なぜ苦手だったのかという理由について独自に考察しています。
実は、イギリス人との会話が苦手だった
実を言うと私、イギリスが大好きなのにイギリス人との会話が苦手なんです。苦手というのはイギリス人が苦手なのではなく、対面で話す時の、【生のリスニング】がとっっっっても苦手なんです。
リスニングにはかなり自信もあるし、テストでイギリス英語が出る時もすごく点数がいいのにな・・・。でもなぜか、イギリス人と対面で話すと何度も聞き返さなきゃいけなかったりとにかく速すぎてあっぷあっぷしてしまう、、、と、イギリス人と話す度に毎回絶望していました。
ですがつい先日、一体なぜ自分が“あっぷあっぷ”していたのか。その謎がやっと、解けたんです!…ということで今週のテーマはずばり、イギリス英語!英語動詞の音の違いなんて意識するのはまだ早い、イギリスなんてあまり関係ないしなぁ・・・とは思わずに、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
【英☆英語の驚き1】「〜?」の文なのに語尾が上がらない。
イギリス英語というと、
・「can’t」がキャントではなく「カーント」
・「tomato」はトメイトゥじゃなくて「トマト」
・「r」の音はあまり巻かない
・「better」を「ベラー」と言ったりしない
このくらいは私も理解していたんですが、それ以上の違いというのを知らず、何となくイギリス英語っぽく喋って、自己満足することしかできていませんでした。
でも本当はもっと大きな違い、決定的な違いというのがあるんです。そのひとつが、“語尾”の話。
イギリス英語ではどんな気持ちで聞く場合も
Are you Japanese? は
「アー ユー ジャパニィイズ?」↑↑ と語尾を上げることはせず、
「アー ユー ジャパニーーズ?」↓下げるんです。
聞いている時の、答えの確信度に関わらず、【下げて読む】のがスタンダード。
イギリス英語がちょっと偉そうに聞こえたり高圧的に聞こえたりするのは、この読み方(=上から下に)が理由なんですね!
これを意識してイギリス映画や、イギリスのドラマを見てみると、見事に「上から下」「上から下」の読み方が多いことがわかっておもしろいです。疑問文なのに、なんだか不思議な感じです。
このことを知って自分のことを思い返してわかったのですが、疑問文が上から下に読まれると、【疑問の文なのか普通の文なのか】の聞き分けができなくなるんですね。^ ^;
そういえば今までイギリスの人と英会話をしている時、
(わたし)Yes, I want to〜〜.
(イギリス人)That’s nice. I also〜〜〜.
(わたし) Oh, really?〜〜〜.
(イギリス人)〜〜〜〜?
(わたし) -会話が終わったと思い込んでだまっている-
(イギリス人)〜〜〜〜? ※2回目
(わたし)…?! Oh, sorry?
聞かれているのに、「聞かれている」ということに気づいておらず相槌風にしていて、もう一度聞かれる、ということがよくあったんです。
そしてその度にちょっとした焦りが生まれてしまい、その後の会話が更に聞こえなくなる。という事態に毎度陥っていました。幸いにも会話する相手の人はみんな親切でしたが、やっぱり同じことは何度も言いたくないですよね。一発で聞き取れるようになりたいけど、なんか難しいなぁ。この難しさは一体何なんだろうなぁ・・・と、長年ナゾだったのですが、理由はこれだったのか、と初めて理解できました。
もちろん、「疑問文」であることに気づかず聞き流しが続くと、意識的に語尾を上げ気味にしてくれるイギリスの方もいらっしゃいます。
そして、全員が全員、イギリス人は「下げながら読む」というわけでもないとは思うのですが【下げるのがスタンダード】だということは初めて知りました。発音の仕組みを知ることは、やっぱり大事ですね!しみじみと感じました。
【英☆英語の驚き2】 母音が縮まりすぎ!
イギリス英語は、速く喋っているような何だか【途切れて聞こえている】ような、そんな感じがするなと思っていたのですが、この謎も解けました。
今度は、Where are you from?
のフレーズを例にして見ていきたいと思います。
-Where (真ん中のeにアクセント)
-are(最初のaにアクセント)
-from(oにアクセント)
アクセントは、アメリカ英語と全く同じです。ですが、母音の読み方にとっっっても大きな違いがあるんです!アクセントが付いた箇所の英語は、「叩く」ようなイメージで強く読みます。ボールを遠くに投げるようなイメージで、声を前に出す、押し出す感じですね。
イギリス英語も同じようにイメージしてOKなのですが、この時の【ボールを投げる速さ】が、かなり異なります。母音がギュッ!!と縮まるような、一瞬のうちにボールを投げるような、そんな感じなんですね。
なので頑張ってカタカナで書くと、
【米】ホウェアァ アー ユー フローム?
【英】ホウェ ア ユ フォ?
もしくは
【米】ホウェアァ・アー・ユー・フローム?
【英】ホウェ・ア ・ユ・フォ?
といった感じになります。ちょっと強引ですが、でもホントにこんな感じ!
【英☆英語の驚き3】 標準語を話す人は3%しかいない
今回私が学んできたセミナーは、イギリス英語の発音関連の書籍でも有名な小川直樹さんのセミナーでした。
驚きポイントは数え切れないほどあったのですが、その中でも最も衝撃的で最も納得したのが、イギリス英語の容認発音(=Received Pronunciation:RP)を話すのは、イングランド人口5300万人のうち、3〜5%しかいない、ということでした。
つまり、観光やお仕事でロンドンに行っても、そこで出くわす人のうち私達が普段聞いているイギリス英語の音で話す人はわずか数人で、道を尋ねたり、ちょっとした会話をしたりする相手は、この3〜5%以外の人の方が圧倒的に多い。ということなんですね。
このお話、日本に置き換えて考えてみると更にイメージしやすくなります。
例えば、東京に住んでいるからと言ってNHKのアナウンサーが喋るような、標準的な日本語で話す人はほとんどいませんよね。
東京に生まれて東京で育った人であっても、「標準」とされている日本語の音で話しているかというと、そんな人はなかなかいないんじゃないかなぁ…?と思います。
TOEICなんかのリスニングテストで流れてくるイギリス英語はバッチリ聞き取れるのに、イギリス人と英会話すると、かなり苦戦してしまう。
スコットランドやウェールズ、北アイルランドではなく、イングランドの人と話しているのに、それでも聞き取りづらい。
なぜ・・・と、ずっとモヤッとしていたのですが、そもそも標準を話す人が少なすぎる。と同時に、それ以外の訛りが多すぎる。ということが理由でした。
そしてそんなことに気づくと、少し気持ちが軽くなったような気がしました。聞き取れない、どうしよう。きっと、自分の力不足だなぁ。と、ちょっとかなしく思っていたのですが、こんなにも種類がたくさんある、しかも標準を話す人がほとんどいないなんて。・・・なぁんだ、じゃぁ完ペキに聞けなくてもしょうがないね!と、少し自分に甘くなれました。
疑問文でも上から下に読むこと。そして母音が縮まること。
こういった特徴をきちんと知ったことは、わけもわからずマネしたりひたすら長時間聞いたりするしかなかった試行錯誤の独自トレーニング法に答えをくれました。
音の仕組みを知ることは、肩に力の入ったトレーニングをいとも簡単にラクに楽しく変えてくれるんですね。改めて「音は大事だなぁ」と感じた最近の出来事でした。
知らないとマネするしかないし、マネというのは非常に曖昧です。モノマネが上手い人でも、合っているのか合っていないのか判断ができないし、マネは苦手、という人の場合はとても辛いことです。
でも仕組みというか、カラクリを知っていれば気持ちに余裕もできるし、やり方もわかるので練習がどんどん楽しくなります。
私もまだまだ発音トレーニング中ですが、今回学んだことを元に、もっともっと練習を重ねてうまくなりたいと感じました!
最後に、ですが「◯◯英語」というのは、あまり気にしなくても良い問題なのかもしれません。
さんざん「イギリス英語」と言ってきたのにすみません☆
ユッキーの日本語、ユッキーの英語。
があるように、人それぞれの日本語・英語があります。
・伸ばして喋るクセのある人、
・なんだか「サ行」が上手くしゃべれない人、
・滑舌が悪いけど、それが可愛いと言われている人
全部、個性です。
「あの人の英語、聞き取りづらい」
「イギリス英語、難しい」
「インド英語はクセが強い」
・・・とか
よく耳にすることもあるし、私も、言ってしまいそうになる時がありました。でもよく考えると、“難しい、聞き取りづらい”というのには必ず、理由があるんですね!しかもその理由は、カラクリを知ってみると、かなりわかりやすい理由だったりします。
聞けない、難しい!と感じて耳を閉じてしまうのではなく、“自分はまだカラクリを知らないだけだ”という考え方に変えてみると、何だか気も楽になるし、どんな英語でもどんとこいという強い気分になれます。
…と、ごくごく最近、そんなことを考えています^^今日もこんなところまでお付き合いいただき、
ありがとうございました!
苦戦しつつ読んだ私の、イギリス英語。
よかったら聞いてください♪↓
こちらのリンクから。
(※通常読み(アメリカ英語寄り)の後にイギリス英語の発音で読んでいます)
話すべきか迷った、イギリス英語のお話でしたが楽しく読んでいただけましたか?
それではまた、お会いしましょう!
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