世界史の教科書に出てくる「0(ゼロ)の発見」。日常で当たり前のように使っている「ゼロ」という概念ですが、教科書に載るほどの大発見なのでしょうか。今回の無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では著者の須田將昭さんが、思わず納得の理由をわかりやすく解説しています。
ゼロの発見
日本史や世界史の教科書を読んでいると、「ふぅ~ん、それがどうしたの?」と思うことはありませんか? その中の一つが、「インドでのゼロの発見」。「ゼロって発見するものなの?」と思いませんでしたか?
今の私たちにはごくごく当たり前の概念ですが、「ゼロ」というものを「表す」というのは、実は実は結構大きなことなのです。
そもそも、数字は何のために必要となったのでしょう?
例えば、「今日、馬を一頭売った。もともと三頭持ってたから、今は、二頭あればいい」ということで
- III か 三
- I か 一
- II か 二
と、縦棒でも横棒でもいいのですが、印になるようなことを書いておく。そんなところから始まったと考えられます。
漢数字では3までは横棒で表しましたが、4以上は煩雑なので字が変わっていきます。ローマ数字も同じで、縦棒を順次増やしていきます。4は「5の一つ手前」ということで、5を表すVの前にIをつけてIVとしますが、それでも基本は順番に印を増やしていく方法です。
そして、それは「1対1」の対応です。馬一頭と縦棒か横棒が一本。馬が手元になければ表す必要がありません。だから「0」はないのです。
ローマ数字に「0」はないですよね? メソポタミアのくさび形文字にも数字がありますが、これにも0はありません。だから10を超えて、100、1,000など「位」を表すためにそれぞれの数字が必要となります。
インドで「ここには何もない」ということで、「0」が発明されたことで、「1,025」というような「百の位に数字はない」ということが簡単に表されるようになり、それが計算を飛躍的に楽にしてくれました。どんな数でも0~9の10種類の数字で表せるのです。
これは本当に画期的なことだからこそ、歴史の教科書でも「ゼロの発見」というのが記述されるのです。
歴史の教科書に出てくるさりげない用語の一つにも、非常に大きな物語が隠れてるんですね。歴史の教科書にしても、授業にしても、紙幅と時間に限りがあるので、どうしても通り一遍で済ませざるをを得ません。
本当はすごく面白い、ワクワクするような話なのに、それに時間が割けない…、ということは、きっと歴史の先生も感じてらっしゃるんだろうなと思います。
そういうことをひっくり返して探してみると、いろんな発見がありそうです。気になっていた用語があったら、一度、それを深く調べてみませんか?
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