以前掲載の記事「日本市場に見切りをつけた日系大企業が海外で大ブレイクしている」でもお伝えしたように、人口減少が加速する日本の市場に見切りをつけ、海外事業を始める企業が跡を絶ちません。そんな中にあって、無料メルマガ『上海からお届け! 簡単3分、写真で覚える生活中国語』の日本人著者で中国在住のジンダオさんは、中国に限らず海外ビジネスで失敗する日本人経営者には共通点があると断言。それらをわかりやすく8つに分けて紹介しています。
甘く考えてます? 中国ビジネスを考える日本人経営者に一言
今日は中国語の話ではなく、中国ビジネスのお話。ビジネスに興味が無い方は、今日はごめんなさい。時間が勿体無いので読まない方がいいと思います。
長らく中国に住んでいると、たまにこんな相談を受ける事が。「我が社の製品をゼヒ中国で売りたいんです!」の相談(※ 私はコンサルの仕事はしていません)。
私もお世話になっている方を通じての相談だったりするので、時間があると一旦お話だけは聞くことがあるのですが、相談を受けた過去の経験を通してみると意外と共通点があるのでご紹介。こんな方は中国ビジネスの前に、他に見直す点があると思います。
共通点1
「我が社の製品は他社と違ってスゴイんです」からの説明。
各社自社の製品には自負を持っているでしょうし、何処にも負けない何かを持っているのは分かります。が、それが日本人にマッチングしたのは分かるのですが、そのまま中国人に当てはまる、と思って説明が始まります。
国も違えば、生活環境も違います。日本で売れたからって中国人を考えてないで、どうして中国人に売れると思うのでしょうか?
共通点2
「中国人に弊社製品の良さが必ず通じると思います」の説明。
中国は日本より国土も26倍近くあり、多民族国家であり、気候の地方でバラバラ、貧富の差も日本以上。
しかし中国の状況を分からず「中国人に売れます!」の自信。中国の何処の誰に売りたいのか? そもそも「中国人を調査した上で製品の良さが通じる」と思ってはいないようです。
共通点3
中国で売りたいという割には、中国に関する書籍などを読んで無く、中国人との交流もなく、中国に関する知識がほとんどない点。
事前準備もせずに現地に乗り込んで来るので、販売したいターゲットの説明がよく分からず「中国人」とだけの説明が多いです。先ほどの中国人全般に売れると思っている点にも繋がります。
相手が分からないで販売するなんて、お金をジャブジャブ捨てているに等しいと思います。
この共通点があるので「共通点1」と「共通点2」が疎かになるんだと思います。
共通点4
現地の私のように業界の専門知識を持っていない人物に相談する。私は長く中国にいるだけでコンサルではないです。
私的には見識が広がり勉強になるので相談されるのは構わないのですが、私に相談する位なので結局頼りにする場所が無い事を指しています。
もしくは中国コンサル会社はありますが、相談すると高い。だから現地にいる「誰か」という点を頼りに人伝えに調べて来るのですが、コンサル会社のプロに相談した方がいいと思います。ここの先行投資をケチって後で失敗している日本人、本当に多いと思います。
共通点5
同行している中国人がスゴーく怪しい。
聞くと日本で縁あって知り合ったという中国人が同行する事があるんですが、これが胡散臭い人が多いのですが、面と向かってアレコレ言えないので、相打ちするしか無いことがあります。
信頼できるパートナーを探す、これは中国ビジネスで重要なポイント。中国だけではなく海外ビジネスでは重要なポイントですね。
確かにビジネスを早く進めたいと思い、気持ちが焦り、知り合った中国人に相談をしたい気持ちも分かりますが、「その中国人に投資した金額を持ち逃げされても仕方がない」くらい、信用できる相手と商売をしないと海外ビジネスは成功しないと思います。
共通点6
中国で売りたい! という割には、話を聞くとスタッフは中国に駐在させず、あとは中国で対応できる誰かいませんか? と結構な丸投げ依頼をしてくる。
その状態では中国では売れないと思います。日本で開拓をした方がいいと思います。そんなに海外ビジネスは甘くないですね。
共通点7
自社製品有りきで中国人の性格、文化、考えを無視して話をする。
「共通点2や3」にも通じるのですが、製品がいいのは分かりますが、見込み客の中国人を無視して話しても意味ないです。買ってくれる中国人が「欢迎」でないと良くないですよね。
共通点8
「で、我が社の商品、中国で売れると思います?」と最終的に質問を受けるのですが、今までの共通点等などを考えると、どう答えていいのか? 何処から話をしていいのか? と困ってしまうという流れになってしまいます。
本当にそんな日本人が中国でビジネスしようと思ってるの? と思われそうですが、これ本当によくある話です。
私以外も過去に何度も、そして私の知り合いの日本人も似たような相談を受け、長く中国に住んでいる者同士で慰め合うって事があります。
中国に長く住んでいると勝手に「中国マスター」と勘違いされて、たまにこんな相談を受けたり、聞いたりするのですが、どうしても「中国で当たるとデカイぞ!」と思っている様子。
ちなみにこんなビジネス話の相談を受けて、投資金を持ち逃げしている日本人も実はいるようです。実際、怪しげな日本人も多いですからね。くれぐれもご注意ください。
ジンダオのここだけの話
今回ご紹介した以外にも、ツッコミどころ満載な話しを聞く事も多いのですが、基本的に社長が陣頭指揮を取れる体制でないと、日本の顔色を伺いながらのビジネスでは、中国もしくは海外での商売は難しく、日本に伺いを立てながら商売をすればするほど、決定までの時間がかかり、それだけチャンスを逃します。
しかし判断を自分で取ると失敗した時の責任を押し付けられたら、今後の自分の将来に影響するし、と考えると、無難に進めようと言う状態になり、何の付加価値もない形に落ち込んでしまいます。
言うは簡単、実行するは難しなのですが、日本が海外で成功しない、という話を聞くのは、この辺も一つ関係しているのでは無いでしょうか。
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