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転職サイトに元いた会社の悪口を書いたら裁判で勝てるのか?

就職・転職サイト等に書き込まれる数々のコメント。サイト利用者にとっては貴重な情報ではありますが、悪意のある書き込みをされた場合、その標的となった企業にとっては命取りにもなりかねません。今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、自社の悪口を書き込まれた企業がサイト運営会社を訴えた事例を上げながら、会社としての「対処法」を記しています。

転職サイトへの自社の悪口の書き込みは許されるのか

「ネットの書き込みを見るか、見ないか」

以前、あるテレビ番組で、女優3名がこのことを話題にしていました。女優という仕事柄ネットで自身のことを書き込まれることも多くそれを見るか、見ないかそれぞれが意見を言い合っていました。

見る派の意見としては

「自分を客観的に見ることができる」
「(指摘を受け)なるほどな、と思ったら変えるようにしている」

などが出ていました。逆に、見ない派の意見としては

「(悪いことが書いてあると)正直、落ち込む」
「事実と違うことを書いてあることが多い」

などでした。実は私も以前に人事担当をしていたときに書き込みをチェックしていたサイトがありました。「〇〇〇〇〇〇活動日記」という新卒のクチコミ就職サイトです。

みなさんの中にもご存知の人は多いかも知れませんがこのサイトでは、就活中の学生たちが各会社の面接状況や採用活動について様々な書き込みをしています。

「今日の面接担当の人、すごく感じが良かった!」
「面接で話を聞いて、益々入社したくなった」

などの選考の感想から、中には「次回、最終選考なのですがすでに受けた人いますか? どんな質問されましたか?」などの情報交換をしている学生までいます。私はその書き込みをチェックして採用活動の参考にしていたのです。

ただ、いろいろな会社の書き込みを見ているとすべての書き込みが良いことばかりではありません。「今日の面接、対応が最悪だった」などと悪く書かれている会社もあったりします(幸い、私の会社にはそのような書き込みはありませんでしたが…汗)。

では、そのような書き込みをされている会社が実際に「悪い対応」をしているかというと必ずしもそうではないでしょう。中には不採用になった腹いせにそのような書き込みをする人もいるのではないでしょうか。もしそうなら、その会社もたまったものではありません。そういった「悪い書き込み」は採用活動に大きく影響してしまうからです。

では、そういった悪い書き込みをされたら会社としてはどう対処すべきでしょうか。それについて裁判があります。ある広告企画会社が某転職サイトに自社の悪い書き込みをされたとしてその削除を求めてそのサイトの運営会社を訴えました。

そのサイト上に、元社員という人が

会社の将来性はない
「社長に逆らうとすぐにクビになる

などと書き込んでいたのです。

この「ネットの削除」というのは非常に難しい問題です。誰もが自分に不都合なものは削除して欲しいと願うでしょうし、それらをすべて削除していたら偏った情報ばかりになってしまいます。ましてこのような転職サイトであれば「会社側からの一方的な情報ではないリアルな情報提供」が、その存在価値だろうと思えるからです(私の個人的な意見ですが)。

では、この裁判はどうなったか。

サイトの運営会社が負けました

裁判所はその運営会社がもっている書き込みした人のメールアドレスの開示とその書き込みの削除を命じたのです。その理由は次の点です。

いかがでしょうか。このように正当な理由があれば削除は認められるのです。

ただ、今回のメルマガでお伝えしたいのは、「会社の悪口を書かれたらその運営会社を訴えて早急に削除してもらいましょう」ということではありません。

大切なのは、「会社の(事実ではない)悪口を安易に書き込むことは許されませんよ」と、社員に周知徹底することです。

「匿名だからバレないだろう」は通用しないことをしっかり伝えましょう。

在職中はもちろんのこと退職後もしっかりと責任をもった行動をとってもらうことが重要なのです。

image by: Shutterstock.com

特定社会保険労務士 小林一石この著者の記事一覧

【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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