メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者で交通ジャーナリストの吉田武さんが、現役の警察官Tさんへのインタビューで「自転車の取り締まり」に関する裏話を暴露する当シリーズ。「理不尽すぎる原付きバイクの法律」について語られた前回に続き、今回は一部警察官の「やりたい放題」について。吉田さんが日本の正義はホンモノなのかを問いただします。
軽車両の自転車はどこまで車両や歩行者と共存できるのか? その11
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吉田:ふと思ったのですが、警察官が同じ同僚の警察官を交通違反で検挙した時って、違反キップを作成する際に職業が必ず聞かれるじゃないですか? 6、7年前に警察の方々との飲み会へ参加した時、結構皆さん酔っぱらっていたから部長クラスの人たちへ伺ってみたら、あっさりとゲロったんですね。色々と(笑)。
Tさん:おお、それはお聞きしたいですね!
吉田:あざとい警察官は交通違反で検挙されたら早々に警察官アピールをし見逃してもらおうと画策したり、スピード違反の速度をオマケしてもらおうとすると聞きました。それは警察官同士、つまり同僚には甘いって部分を突いたやり方で卑怯だと思うんですね。Tさんはしなかったんですか?
Tさん:私みたいなまだ警察官になって10年足らずの若輩者ではやろうと思っても、捕まえた警察官がベテランの人だったら説教されてしまいますからね(苦笑)。
吉田:え? そういうもんなんですか?
Tさん:私もその白バイ隊員にスピード違反で検挙された時には、職業を公務員としか答えませんでした。そこで敢えて警察官と言う人があざといってことなんでしょうね。別に警察官と語る必要はないですし。
吉田:つまり、交通違反で検挙されたら自分が警察官アピールする者が多いってことなんですか?
Tさん:まぁ、あまり私の口からは言いづらいですが……役職就いている上の方々の警察官アピールは多いと聞きます。
吉田:クソですねぇ、警察官アピールした場合って検挙した警察官側はどういう対応したりするんですか?
Tさん:どこの署に配属されているのかを聞かれたりして、本当の警察官だと検挙した警察官の方が分かれば敬礼して「失礼致しました!」的な感じで見逃してくれることも多々あるそうです。私も同僚から伺った話なのでやったことありませんし本当かどうかは謎ですが(笑)。あとは検挙した側が公務員と伺った場合、どこへお勤めですかって聞くケースもあるので、その際に警察官でどこどこの署に勤務していますと言うのはフェアだと思います。
吉田:わざわざ検挙したその場でその相手が警察官かどうかを端末へアクセスして調べるなんてことしないでしょうし、もしかして警察官じゃなくても職業聞かれたら自己申告で「国家公務員です。どこどこの警察署に所属しております」みたいに嘘ついてもイケるんじゃないかとふと思いました。
Tさん:言われてみればそのやり方で警察官と嘘を付くことも可能ですが……やっぱり、それなりのリスクはありますよね。交通違反を絶対オマケしてくれるとは限らないですし。
吉田:ちなみに僕の女房は出産する前まで看護師をしていて、都立病院勤務の公務員でしたが、急に呼び出され原付バイクで出勤時に白バイ隊員にスピード違反で捕まりましたが、一切オマケもなければ見逃してくれることもなかったですね。
Tさん:そう考えますと警察官ってやはり同僚には甘いってことを痛感します。恥ずかしい限りですが……。病院へ緊急で出勤しているにも関わらず、その場で速度超過で違反キップ切っている時間が物凄いロスタイムだというのに……。同じ公務員でも同僚じゃないと融通利かせないんですね。
吉田:こんなこと言うのも微妙ですが、警察官の自転車での走行でも物申したいことがあります。
Tさん:ええ、どうぞ。
吉田:自転車の歩道走行が禁止されているところや、自転車も道路は左側通行のはずなのに、急いでいるのか逆走している姿を見たことがあるんですね。ああいうのは同僚の警察官は取り締まらないといけないと思うんですよ。まぁ、パトカーや白バイと違って赤色灯やサイレンがないから自転車が緊急車両扱いというわけにはいかないと思うんですけど……交通違反で民間人と同じように扱わないとまずいんじゃないかと?
Tさん:私が交番勤務時代に近隣の住民の方から似たようなクレームが来たことがあります。道路の逆走に関してだったんですけど、警察官になってまだ1年目だったでしょうか。若い巡査が道路の逆走を頻繁にしていたようなんです。
そのクレーム入れてきた方は小学校のPTAで理事を務めている女性でして、「学校の前で自転車の逆走を警察官がされていると、生徒たちにも悪影響が出てしまいますのでやめてほしいんです。警察官は市民の模範になる運転をするべきです!」と結構強い口調で…。私がちょうど交番にいましたので、そのクレーム対応を致しました。
しかし、逆走しているのがどの警察官なのかその段階ではわからず、論より証拠が警察官の仕事でもありますので「大変申し訳ありませんでした。今後そのようなことのないよう努めます」みたいな当たり障りのない対応をしたのが悪かったんでしょうね。「逆走している警察官を調べてくれないのでしたら、こちらでその証拠を用意します!」と、何かのスイッチを入れてしまったのかどうか不明ですが、その方の逆鱗に触れてしまったようで、怒って帰ってしまったんです。それから1週間か10日ぐらいしてからでしょうか、再びその方が交番を訪れたのです。
吉田:おお、不謹慎ながら何かドラマチックな展開に期待してしまいます!(苦笑)
(次回へつづく)
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