ジーンズの聖地といえば、あなたはどこをイメージしますか? 海外と思いきや、実は日本の岡山県倉敷市の児島地区なんです。日本発の国産ジーンズメーカー「BIG JOHN」の発祥の地としても知られる児島のジーンズは世界的にも高い評価を得ています。さらに現在はジーンズを使った町おこしとして、「ジーンズストリート」という通りまであるのだとか。岡山県倉敷市を訪れた場合はぜひ寄ってみてください。
もっと売り出したい観光地「岡山・児島ジーンズストリート」
ジーンズストリート入り口
世界最高峰のジーンズがどこで作られているか、ご存じでしょうか。ジーパン発祥の地・アメリカ? それともファッションの都・イタリアやパリ? いえいえ、なんと、それは日本なのです。
今、ジーンズの聖地は岡山と言われています。岡山を中心に製造されている日本製のジーンズは、縫製や加工などの高い技術と品質で、世界中で高評価。シャネルやディオールといった高級ブランドにも採用されています。アメリカやヨーロッパでは、タグにわざわざ「メイド・イン・オカヤマ」と記載することもあるとか。
そして、岡山の中でも、倉敷市南部に位置する児島地区には「ジーンズストリート」があります。児島発祥のジーンズメーカーといえば、ご存知「BIG JOHN(ビッグジョン)」。国内初のジーンズメーカーです。
同社の説明を見ると、創業は1940年。1950年代にアメリカで作られたジーンズを日本人用にリメイクすることを始め、1965年、国内初のジーンズ製造に着手。1967年、アメリカ製の生地を使用したBIG JOHN(ビッグジョン)ブランドを誕生させたとあります。
そして、その後のジーンズブームにより、児島には多くのジーンズメーカーが誕生しました。「BIG JOHN」か、懐かしいなと、行ってみたくなりました。と同時に、ジーンズで街を活性化する取り組みらしいことにも興味がわきました。それは「児島ジーンズストリートは、かつて児島でもっとも栄えた商店街の空き店舗への誘致活動として行っている」とあったからです。ジーンズでまちおこし。なかなかいいアイデアではありませんか。
ジーンズストリートを見聞
岡山からマリンライナー高松行に乗り換えて約20分、児島駅に到着します。駅前の看板や交通案内では、「ジーンズストリート」は駅からバスで5分ほどのところにあるとか。歩いてもたいしたことないと、徒歩で向かいました。
15分ほど歩いたところで、看板が見えてきました。400メートルほどの商店街には40軒近いジーンズ専門店が軒を並べているそうです。
2通りの両側に専門店が並ぶ
最初に目立つのはやはり「BIG JHON」の看板。
4国内初のジーンズメーカー「BIG JHON」
ここが本店らしく、大きな店舗。縫製工場の名残か、縫製機械らしいものも展示されています。縫製前のデニムを物色している人も。布地から小物までなんでも揃っているという感じです。
もちろん布(デニム)の販売も
縫製工場の名残か
最近話題なのは2006年に誕生したという「桃太郎ジーンズ」。高級コットンを使った10年保証付きジーンズ。はくほどに独特の色味になるジャパンブルーに特徴があります。こうした元気のいいメーカーが次々生まれれば活性化は間違いなし。
BIG JHONのディスプレイ
通りを進んでいくと、小さいけれど、小粋なショップがいくつも並んでいます。そのうち1軒に話を聞くと、布自体は岡山で製造していて、ここでは縫製と小売りのみをやっているとか。どうやら誘致した小売店のようです。
着古したジーンズが、通りに鯉のぼりのように青空にたなびく様子はなかなかにユニーク。
古いジーンズが通りを飾る
また、ジーンズをラッピングした自販機やデニム色のソフトクリームのポスターなど、インスタ映えしそうなものも目につきます。観光地としての条件は十分。
自販機もジーンズ仕様
インパクト大のデニムソフト、そのお味は?
外国人観光客やシニア世代にもアピールを
しかし、岡山がジーンズの産地ということはある程度浸透してきていますが、ジーンズストリートはまだまだ知られていないという気がします。仕事の関係で午前中の訪問だったためか、人影はまばら。また、開店前なのか、それとも閉店してしまったのか、シャッターが下りたままの店舗もちらほら。ちょっと寂しい感じでした。これだけいいものがあるのだから、もっと人を呼ぶ方策はないものでしょうか。
ひとつのアイデアはシニア世代へのアピールです。ジーンズは老若男女を問わず、愛されています。当時ジーパンといっていたジーンズを最初にはいた日本のかつての若者は、今や70歳になろうとする団塊の世代です。この世代はもっとも旅をする世代でもあります。ジーンズとの縁が深かった彼らにアピールすることは、観光客増加に効果的な気がします。
もうひとつ、ジーンズは外国人にも十分アピールできるコンテンツです。しかも、日本の藍染の技術が活用されている『Japan Blue(ジャパンブルー)』は、日本の伝統をアピールできます。世界最高峰のジーンズの聖地を訪問し、本物の製造過程を見学して、しかも購入できるという街は他にはありません。どの国のどの世代にも大変魅力的な観光地となるではないでしょうか。
児島ジーンズストリートの奮闘を期待したいと思いながら、児島を後にしました。
ジモトのココロ