宗教は関係ない。日本人が現地で見たロヒンギャ問題の「真実」

 

この段階では、アウンサンスーチーは、まだ政権をとってなかった。

そして、ロヒンジャの人権が守られるべきだとの発言を一度した。この発言が、ミャンマー国民の反感を買い、彼女の人気が一時的に急落した。

この「事件」の後、彼女は、本件に関してはコメントを控えている

政権をとった今、事態はより複雑になってしまった。

ミャンマーの民主化は、日本の民主化とかなりちがう。限定的なのだ。選挙により、アウンサンスーチーの党、NLDが政権をとったことにはなっているが、軍と警察、入管に関しては、NLDの統制下にないのだ。選挙で変えられるのは、軍関係以外のことだけ。文民統制ではないのだ。

軍は、また、次の選挙でNLDの邪魔をしたいと思っていると推測される。

そして、軍の蛮行は、国際的にはアウンサンスーチーの責任にされることを、軍は楽しんでいる、好都合だと思っている節まである。

このような複雑な理由から、この問題は解決できない。

ちなみに似た問題は、アメリカでもあるのだ。トランプ大統領が問題としているメキシコの不法移民の子供たちとロヒンジャの問題の根源は同じなのである。彼らにも国籍はなく(ロヒンジャにも国籍が無い)、オバマ大統領は、移民の子供たちには、罪がないので、アメリカ国籍が無くても、アメリカに居住する法律を作った。トランプ氏は、オバマ大統領の功績を、全て、なかったことにしようとしており、この移民の子供たちへの居住権も奪う方向なのである。ロヒンジャの人権は問題にし、メキシコからの不法移民の子供たちの人権は無いとするのは、矛盾である。

image by: Hafiz Johari / Shutter stock

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