「有休を取りたいけれども、ちょっと言い出せる雰囲気ではない…」と思っている方はかなりの数に上るようで、とある調査では日本人の有休取得率は50%ほどなのだそうです。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で社労士の飯田弘和さんが、「働き方改革」と一体化した「休み方改革」が必要だとして、その取り組み方について記しています。
御社では、有休取得率の向上に努めていますか?
エクスペディア・ジャパンの2017年調査によると、日本人の年次有給休暇(有休)取得率は世界30カ国中の最下位だそうです。日本人の有休取得率はわずか50%。いろいろな調査などを見てみても、日本人の有休取得率が50%を超えることはなさそうです。
なぜ、日本では有休取得が進まないのでしょう? 有休を取らない主な理由は以下のようなものです。
- 病気や急な用事などの緊急時のためにとっておく必要があるから
- 仕事量が多くて休んでいる余裕がないから
- 休み中の仕事を引き継げる人がいないから
- 休むと同僚に迷惑がかかるから
- 周囲の人が取らないので、自分だけ取れる雰囲気ではないから
- 上司が、有休取得について快く思っていないから
ところが、就職・転職活動の際には、
- 休日・休暇が取れる会社かどうか
- 時間的なゆとりを持てる会社かどうか
が重視される傾向が現れてきています。しっかり休みが取れる会社、ワークライフバランスを実現できる会社が選ばれるようになってきました。休みが取れないことを理由に会社を辞める人も増えています。
御社でも、「休み方改革」に取り組むべきでしょう。
まずは、業務の棚卸し・業務の見直しを通じて、無駄の排除と生産性向上・効率upを計りましょう。場合によっては、業務のアウトソーシングも考えるべきでしょう。労働時間の絶対数を減らすことが、「休み方改革」の第一歩です。
その後には、休みを取りやすい雰囲気の職場へと変えていくことが必要です。そのためには、管理職者の意識改革を行う必要があります。TOPが直接に管理職者に働きかけたり、研修を行うことで、管理職者が「休み方改革」を理解し、自ら進んで休みを取るようになることが必要です。また、その管理職者が部下に対して休みを取るように促すことが、有休取得率の向上につながります。
有給休暇の計画的付与について、会社として取り組んでいくことも検討すべきでしょう。私傷病のための特別休暇制度を設けることも、有休取得率の向上には効果があります。
「働き方改革」と「休み方改革」を一体のものとして、会社全体で取り組むことで、「求職者から選ばれる会社」「従業員が長く働き続けたいと思える会社」へと変わっていくことが、これからは重要になってきます。求人募集をしても、なかなか人が集まらないという話をよく聞きます。会社が継続・発展していくためには、選ばれる会社・人材の集まる会社に生まれ変わることが絶対に必要なのです。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社では、有休取得率の向上に努めていますか?」
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